経費
所有権移転外リース取引とは。
リース資産は賃借人が取得したものとしてリース期間定額法で償却し、少額資産や一括償却の特例は使えません
コピー機、車、パソコン。小さな会社でもリースで設備を入れることはよくあります。そのリース料、毎月そのまま経費にしてよいのでしょうか。
答えを先に書くと、法人税では、所有権移転外リース取引のリース資産は賃借人が買ったものとして扱い、リース期間定額法という方法で減価償却します。そして、このリース資産には少額減価償却資産や一括償却資産の特例が使えません。
「所有権移転外」とは何か、どんな契約が当たるのかは、国税庁のタックスアンサーNo.5704に6つの基準で示されています。順に確認していきます。
この記事の要点
所有権移転外リース取引とは、平成20年4月1日以後に契約した法人税法上のリース取引のうち、リース資産が無償や名目的な対価で賃借人に譲渡される、著しく有利な価額で買い取る権利がある、リース期間が法定耐用年数の70パーセント(10年以上は60パーセント)を下回るなど6つのどれにも当たらないものです。賃借人はリース期間定額法で償却し、少額減価償却資産や一括償却資産の制度は使えません。国税庁タックスアンサーNo.5704をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
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所有権移転外リース取引とは。6つのどれにも当たらないリース取引
所有権移転外リース取引とは、平成20年4月1日以後に締結される契約に係る法人税法上のリース取引のうち、次に挙げる6つのいずれにも該当しないものです。国税庁のタックスアンサーNo.5704はこう定義しています。「所有権が移る要素が1つもない」リース取引、と言い換えられます。
国税庁 タックスアンサー No.5704「所有権移転外リース取引」
所有権移転外リース取引とは、平成20年4月1日以後に締結される契約に係る法人税法上のリース取引(注)(以下「リース取引」といいます。)のうち、次のいずれにも該当しないものです。
前提となる「法人税法上のリース取引」の中身は、No.5704ではコード5702を参照するよう案内されています。まず法人税法上のリース取引に当たり、そのうえで6つの基準のどれにも当たらないものが所有権移転外、という2段階の判定です。
6つの基準。1つでも当たれば「所有権移転」の側
No.5704が挙げる6つの基準は次のとおりです。1つでも該当すれば所有権移転外リース取引ではなく、実質的に資産を買ったのと同じ「所有権移転」の側になります。
| 該当すると所有権移転外リース取引ではなくなる基準 | |
|---|---|
| 1 | リース期間の終了時または中途において、リース資産が無償または名目的な対価の額で賃借人に譲渡されるものであること |
| 2 | リース期間の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース契約において定められているものであること(契約書上明示されていなくても、事実上、当事者間においてそのことが予定されていると認められるものを含みます) |
| 3 | リース期間の終了時または中途においてリース資産を買い取る権利が賃借人に与えられており、かつ、その権利がリース資産を著しく有利な価額で買い取るものであることその他の事情によりその権利が行使されることが確実であると見込まれること |
| 4 | 賃借人の特別な注文によって製作された機械装置のようにリース資産がその使用可能期間中その賃借人によってのみ使用されると見込まれるものであること、または建築用足場材のようにリース資産の識別が困難であると認められるものであること |
| 5 | 賃貸人に対してリース資産の取得資金の全部または一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、その資金をしてその賃借人のリース料等の債務のうちその賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているものであること |
| 6 | リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当短いもの(賃借人の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限ります)であること |
1から3は、リース期間が終わったあとに資産が賃借人のものになる、または実質的にそうなる契約です。4は、その賃借人しか使えない特注品や、足場材のように個別に識別できないものです。5は金融機関が関わる特殊な構造、6は期間が短すぎるリースです。
3について、No.5704は括弧書きで、令和7年4月1日前に締結された契約については、リース期間終了の時または中途においてリース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること、としています。契約日によって3の文言が違いますので、いつ契約したかを確かめてください。
リース期間が法定耐用年数の70パーセントを下回ると対象外
6の「リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当短いもの」には、数字の基準があります。No.5704は、リース期間がリース資産の法定耐用年数の70パーセント(法定耐用年数が10年以上のリース資産については60パーセント)に相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間であるものをいう、としています。
| リース資産の法定耐用年数 | 「相当短い」とされるリース期間 |
|---|---|
| 10年未満 | 法定耐用年数の70パーセントに相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間 |
| 10年以上 | 法定耐用年数の60パーセントに相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間 |
再リースをすることが明らかな場合には、リース期間に再リースの期間を含めて判定します。短いリース期間で契約して、あとは安く再リースし続ける、という形は、再リース期間を足して見られるということです。なお、6は賃借人の法人税の負担を著しく軽減することになると認められるものに限られています。
リース資産は賃借人が取得したものとしてリース期間定額法で償却
所有権移転外リース取引に当たると、法人税では賃借人がリース資産を取得したものとして扱われます。No.5704は、所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産である減価償却資産については、償却方法がリース期間定額法とされる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.5704「所有権移転外リース取引」
所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産である減価償却資産については、償却方法がリース期間定額法(注)とされます。
リース期間定額法の計算の中身は、No.5704ではコード5410を参照するよう案内されています。償却方法は選べず、リース期間定額法に決まっています。一般の資産で償却方法を変えるときの手続は償却方法の変更手続で整理していますが、リース資産はその対象になりません。
使えない4つの制度。少額減価償却資産・一括償却資産も
所有権移転外リース取引のリース資産には、次の4つの制度の適用がありません。No.5704はこう列挙しています。
- 1 圧縮記帳(法法47、措法65の7等)
- 2 特別償却(措法42の6、42の10等)
- 3 少額の減価償却資産の損金算入(法令133)
- 4 一括償却資産の損金算入(法令133の2)
小さな会社に関係が深いのは3と4です。買った資産なら使える少額減価償却資産の損金算入や一括償却資産の損金算入が、リース資産には使えません。金額が小さいリース資産でも、リース期間定額法で償却していくことになります。少額の特例の中身は少額減価償却資産で説明しています。
小さな会社の実務。リース契約書の3か所を見る
ひとり会社や小さな会社で、コピー機や車、パソコンをリースで入れたら、契約書の次の3か所を見てください。リース期間が終わったとき資産がどうなるか(無償譲渡・名目的な再リース・買取りの権利の有無と条件)、リース資産が自社専用の特注品か、リース期間と法定耐用年数の関係です。どれにも当たらなければ所有権移転外リース取引です。
所有権移転外リース取引なら、リース資産は賃借人が取得したものとして、リース期間定額法で減価償却します。少額減価償却資産や一括償却資産の特例は使えないので、金額の小さいリースでも償却の計算が要ります。買う場合の取得価額の考え方はソフトウエアの取得価額と耐用年数も参考になります。買うかリースにするかを決める前に、税務上の扱いの違いを確かめておくと、あとの処理が楽になります。
よくある質問
所有権移転外リース取引とは何ですか
所有権移転外リース取引とは、平成20年4月1日以後に締結される契約に係る法人税法上のリース取引のうち、次に挙げる6つのいずれにも該当しないものです。国税庁のタックスアンサーNo.5704はこう定義しています。 「所有権が移る要素が1つもない」リース取引 、と言い換えられます。→ 本文で読む
どのようなリース契約が所有権移転外リース取引に当たりますか
No.5704が挙げる6つの基準は次のとおりです。1つでも該当すれば所有権移転外リース取引ではなく、実質的に資産を買ったのと同じ「所有権移転」の側になります。 1から3は、 リース期間が終わったあとに資産が賃借人のものになる、または実質的にそうなる 契約です。4は、その賃借人しか使えない特注品や、足場材のように個別に識別できないものです。5は金融機関が関わる特殊な構造、6は期間が短すぎるリースです。→ 本文で読む
リース期間が短いと所有権移転外リース取引になりませんか
6の「リース期間がリース資産の法定耐用年数に比して相当短いもの」には、数字の基準があります。No.5704は、リース期間がリース資産の法定耐用年数の 70パーセント(法定耐用年数が10年以上のリース資産については60パーセント) に相当する年数(1年未満の端数切捨て)を下回る期間であるものをいう、としています。→ 本文で読む
所有権移転外リースのリース資産はどう償却しますか
所有権移転外リース取引に当たると、法人税では 賃借人がリース資産を取得したもの として扱われます。No.5704は、所有権移転外リース取引により賃借人が取得したものとされるリース資産である減価償却資産については、償却方法がリース期間定額法とされる、としています。→ 本文で読む
リース資産に少額減価償却資産の特例は使えますか
所有権移転外リース取引のリース資産には、次の4つの制度の適用がありません。No.5704はこう列挙しています。 小さな会社に関係が深いのは3と4です。 買った資産なら使える少額減価償却資産の損金算入や一括償却資産の損金算入が、リース資産には使えません。 金額が小さいリース資産でも、リース期間定額法で償却していくことになります。少額の特例の中身は 少額減価償却資産 で説明しています。→ 本文で読む
リース契約書のどこを確認すればよいですか
ひとり会社や小さな会社で、コピー機や車、パソコンをリースで入れたら、契約書の次の3か所を見てください。 リース期間が終わったとき資産がどうなるか(無償譲渡・名目的な再リース・買取りの権利の有無と条件)、リース資産が自社専用の特注品か、リース期間と法定耐用年数の関係 です。どれにも当たらなければ所有権移転外リース取引です。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.5704 所有権移転外リース取引」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5704.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
リース契約書を1本ずつ、所有権移転外に当たるか確かめてください。
リース料をそのまま経費にしていても、法人税では賃借人がリース資産を取得したものとしてリース期間定額法で償却する扱いです。契約の終わり方、買取りの条件、リース期間と法定耐用年数の関係で区分が決まります。契約書があれば、どちらの取引かを一緒に確認できます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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