ふじみの会計事務所公認会計士・税理士|埼玉県ふじみ野市 LINEで相談

経費

会社で入る定期保険・医療保険の保険料。
受取人が法人なら損金、社長だけが被保険者で受取人が遺族なら給与になります

ひとり会社の社長から、「会社で生命保険や医療保険に入れば経費になりますか」というご質問をよくいただきます。

答えを先に書くと、保険金の受取人が会社なら、保険料は期間の経過に応じて損金です。受取人が社長本人や遺族で、被保険者が社長だけなら、保険料は社長の給与になります。損金にはなりますが、給与として所得税がかかる、ということです。

ここで扱うのは、解約返戻金が大きくない定期保険と第三分野保険(医療保険・がん保険など)です。国税庁のタックスアンサーNo.5364は、令和元年7月8日以後に契約したものの取扱いを示しています。順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

法人が契約者となり役員や従業員を被保険者とする定期保険・第三分野保険(医療保険など)の保険料は、受取人が法人なら期間の経過に応じて損金です。受取人が被保険者や遺族の場合も原則損金ですが、役員や特定の使用人のみを被保険者にしていると給与になります。ひとり会社で社長だけが被保険者なら要注意です。国税庁タックスアンサーNo.5364をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

対象は定期保険と第三分野保険。相当多額の前払部分がないもの

国税庁のタックスアンサーNo.5364が扱うのは、法人が契約者となり、役員または使用人(その親族を含みます)を被保険者とする定期保険または第三分野保険で、相当多額の前払部分の保険料が含まれないものです。まず、この2つの言葉を押さえます。

国税庁 タックスアンサー No.5364「定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」

定期保険とは、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険をいい、養老保険のように生存保険金の支払はありません。

定期保険は、期間内に亡くなったときだけ保険金が出る、いわば掛け捨ての生命保険です。第三分野保険は、保険業法第3条第4項第2号に掲げる保険で、被保険者が病気や怪我等の一定の事由に該当した場合に保険金または給付金が支払われる保険、つまり医療保険やがん保険などです。

「相当多額の前払部分の保険料が含まれるもの」は、この記事の対象から外れます。その線引きは後半で説明します。まずは、返戻金が大きくない普通の定期保険・医療保険の話です。

受取人が法人なら、期間の経過に応じて損金

保険金または給付金の受取人が法人の場合、支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。No.5364はそう定めています。会社が受け取る保険なら、保険料は会社の経費です。

「期間の経過に応じて」とありますから、たとえば1年分をまとめて払った場合、期末をまたぐ分はその期の損金にならず、前払いとして翌期に回ります。月払いなら、その月の保険料がその月の損金になると考えてください。

受取人が被保険者や遺族なら、原則損金。ただし役員だけなら給与

受取人が被保険者本人またはその遺族である場合も、支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。ここまでは受取人が法人の場合と同じです。違いは「ただし」の部分にあります。

国税庁 タックスアンサー No.5364「定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」

役員または部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを被保険者としている場合には、その保険料の額はその役員または使用人に対する給与となります。
受取人被保険者保険料の扱い
法人役員・使用人期間の経過に応じて損金
被保険者またはその遺族従業員全員など期間の経過に応じて損金
被保険者またはその遺族役員や特定の使用人のみその役員・使用人に対する給与

保険金が本人や遺族に入る保険を、会社が特定の人のためだけに掛けているなら、それは会社がその人の保険料を肩代わりしているのと同じです。だから給与になります。損金にはなりますが、受け取る側で所得税・住民税の対象になるということです。なお、給与と認定された保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象になります。控除の中身は生命保険料控除で整理しています。

ひとり会社では社長だけが被保険者になりやすい

ひとり会社では、被保険者になれるのは社長本人(と親族)だけです。ですから、受取人を遺族にした定期保険や、受取人を本人にした医療保険を会社で契約すると、「役員のみを被保険者としている場合」に当たり、保険料は社長の給与になります。ここが、従業員がいる会社との大きな違いです。

給与になった保険料について、No.5364の注5はこう述べています。役員に対する給与とされる保険料の額で法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与となります。毎月ほぼ同じ額の保険料なら、定期同額給与として損金になるということです。定期同額給与の考え方は定期同額給与で説明しています。

一方、受取人を会社にすれば、保険料は給与にならず、期間の経過に応じた損金です。社長に万一のことがあったとき、会社が保険金を受け取り、そこから遺族への退職金や借入金の返済に使う、という設計です。どちらが良いかは目的で決まります。ひとり会社の保険と社会保険の全体像はマイクロ法人もご覧ください。

「相当多額の前払部分」の線。3年以上・最高解約返戻率50パーセント超

ここまでの取扱いは、相当多額の前払部分の保険料が含まれない保険に限られます。No.5364の注1は、その線引きをこう示しています。

国税庁 タックスアンサー No.5364「定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」(注1)

「相当多額の前払部分の保険料が含まれるもの」とは、保険期間が3年以上の定期保険または第三分野保険のうち最高解約返戻率が50パーセントを超えるものをいいます。

保険期間が3年以上で、解約返戻率のピークが50パーセントを超える保険は、掛け捨てではなく貯蓄の性格が強いとみて、この記事の取扱いから外れます。ただし例外があります。最高解約返戻率が70パーセント以下で、かつ、年換算保険料相当額が一の被保険者につき合計30万円以下の保険は、この記事で説明した「受取人が法人なら損金、特定の人だけなら給与」の取扱いに戻ります。

なお、保険期間が終身の第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とします(注2)。終身の医療保険も、この計算上の期間で判定します。

解約返戻金のない保険は、年30万円以下なら支払った年度の損金

最後に、小さな会社で使いやすい特例です。No.5364の注3は、法人が令和元年10月8日以後に、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険または第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限ります)に加入した場合の扱いを示しています。

一の被保険者につきその事業年度に支払った保険料の額が合計30万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、その処理が認められます。「期間の経過に応じて」ではなく、払った年度にまとめて損金にしてよいということです。保険料の払込期間が保険期間より短い契約が対象なので、短期払いの医療保険などが当たります。

ただし、この注3の取扱いは、注1の「70パーセント以下かつ30万円以下」の保険には適用がありません。また、特約に係る保険料がある場合は、その特約の内容に応じて養老保険、定期保険または第三分野保険の保険料の取扱いによります(注4)。証券に特約が付いていれば、特約ごとに見ることになります。

よくある質問

定期保険と第三分野保険とは何ですか

国税庁のタックスアンサーNo.5364が扱うのは、法人が契約者となり、役員または使用人(その親族を含みます)を被保険者とする 定期保険または第三分野保険 で、相当多額の前払部分の保険料が含まれないものです。まず、この2つの言葉を押さえます。→ 本文で読む

受取人が会社の定期保険の保険料は損金になりますか

保険金または給付金の受取人が法人の場合、支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。No.5364はそう定めています。 会社が受け取る保険なら、保険料は会社の経費 です。→ 本文で読む

受取人が遺族の保険料は給与になりますか

受取人が被保険者本人またはその遺族である場合も、支払った保険料の額は、原則として、期間の経過に応じて損金の額に算入します。ここまでは受取人が法人の場合と同じです。違いは「ただし」の部分にあります。→ 本文で読む

ひとり会社で社長の保険に入ると保険料はどう扱われますか

ひとり会社では、被保険者になれるのは社長本人(と親族)だけです。ですから、 受取人を遺族にした定期保険や、受取人を本人にした医療保険を会社で契約すると、「役員のみを被保険者としている場合」に当たり、保険料は社長の給与 になります。ここが、従業員がいる会社との大きな違いです。→ 本文で読む

解約返戻金がある定期保険も同じ扱いですか

ここまでの取扱いは、相当多額の前払部分の保険料が含まれない保険に限られます。No.5364の注1は、その線引きをこう示しています。 保険期間が3年以上で、解約返戻率のピークが50パーセントを超える保険は、掛け捨てではなく貯蓄の性格が強いとみて、この記事の取扱いから外れます。ただし例外があります。 最高解約返戻率が70パーセント以下で、かつ、年換算保険料相当額が一の被保険者につき合計30万円以下の保険 は、この記事で説明した「受取人が法人なら損金、特定の人だけなら給与」の取扱いに戻ります。→ 本文で読む

短期払いの医療保険の保険料を一括で損金にできますか

最後に、小さな会社で使いやすい特例です。No.5364の注3は、法人が令和元年10月8日以後に、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険または第三分野保険(ごく少額の払戻金のある契約を含み、保険料の払込期間が保険期間より短いものに限ります)に加入した場合の扱いを示しています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5364.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

保険証券の「契約者」「被保険者」「受取人」の3つを確かめてください。

同じ保険料でも、受取人が会社か遺族か、被保険者が社長だけか全員かで、損金か給与かが変わります。給与になれば社長の所得税・住民税に響き、定期同額給与としての扱いも出てきます。契約前に3つの欄をそろえておけば、決算で慌てません。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。