ふじみの会計事務所公認会計士・税理士|埼玉県ふじみ野市 LINEで相談

経費

期末の未払費用を損金にする条件。
債務の成立・給付の原因となる事実・金額の合理的な算定、3つの要件がそろった費用だけです

決算の直前に、「今期のうちに発注しておけば経費になりますか」というご質問をいただくことがあります。

答えを先に書くと、発注しただけでは足りません。期末までに債務が成立し、相手が仕事を終えるなど給付の原因となる事実が発生し、金額を合理的に算定できる。この3つがそろった費用だけが、その期の損金になります。これを「債務の確定」といいます。

払っていなくても、この3つがそろえば未払金として損金にできます。逆に、払っていても、そろっていなければその期の損金にはなりません。国税庁のタックスアンサーNo.5387で順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

販売費・一般管理費などの費用は、償却費を除き、事業年度終了の日までに債務が確定しているものだけが損金になります。債務の確定とは、期末までに債務が成立し、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生し、金額を合理的に算定できるという3つをすべて満たす状態です。修繕なら発注・完了・見積りがそろえば未払金に計上できます。国税庁タックスアンサーNo.5387をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

損金になる費用は3種類。販管費には「債務確定」の条件がつく

法人税で損金になるものは、別段の定めがあるものを除き、売上原価等の額、販売費・一般管理費その他の費用の額、損失の額の3つです。国税庁のタックスアンサーNo.5387はそう整理したうえで、このうち販売費・一般管理費その他の費用には「債務が確定しているもの」という条件をつけています。

国税庁 タックスアンサー No.5387「販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定」

「販売費、一般管理費その他の費用」については、その事業年度の販売費、一般管理費その他の費用のうち、償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られています。

家賃、通信費、外注費、修繕費、広告費。小さな会社の経費のほとんどは販売費・一般管理費です。その期の損金になるかどうかは、「払ったか」ではなく「期末までに債務が確定したか」で決まります。

債務確定の3つの要件

債務が確定しているとは、次の3つの要件のすべてに該当する状態です。No.5387は、別に定めるものを除き、この3つで判定するとしています。1つでも欠ければ、その期の損金にはなりません。

要件(いずれも「その事業年度終了の日までに」)
1その費用に係る債務が成立していること
2その債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること
3その金額を合理的に算定することができるものであること

1は、契約や発注によって支払う義務が生まれていることです。2は、その義務に基づいて相手が実際に仕事をした、物を納めたという事実があることです。3は、いくら払うかが合理的に決められることです。請求書が届いていなくても、見積りで客観的に算定できれば足ります。

この3つのうち、実務で見落とされやすいのが2です。契約を結んだだけ、発注しただけでは、まだ相手は何もしていません。給付の原因となる事実が期末までに発生していなければ、債務は確定していません。

修繕費の例。発注・完了・見積りがそろえば未払金にできる

No.5387は修繕費を例に挙げています。建物等の修繕を発注し、業者によって修繕が完了し、かつ金額の見積りが客観的にでき得る状況にあれば、3つの要件を満たし、未払金等として計上できる、という説明です。

国税庁 タックスアンサー No.5387「販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定」

修繕費を例にとると、建物等の修繕を発注し、業者によって修繕が完了し、かつ金額の見積りが客観的にでき得る状況にあれば、上記の3つの要件を満たし未払金等として計上できることになります。

この例を3つの要件に当てると、発注が1(債務の成立)、修繕の完了が2(給付の原因となる事実)、見積りが3(金額の算定)です。期末までに工事が終わっていれば、支払いが翌期でも、今期の損金になります。逆に、期末時点で工事が途中なら、2を満たさないので翌期の損金です。なお、修繕の内容によっては修繕費ではなく資本的支出になることがあります。その区分は修繕費か資本的支出かで整理しています。

小さな会社の実務。期末に「発注だけ」では損金にならない

ひとり会社や小さな会社の決算で、債務確定が問題になるのは次のような場面です。期末に駆け込みで発注したホームページ制作や広告、期末時点でまだ納品されていない備品、翌期に行う予定のセミナーの参加費などです。いずれも、期末までに給付の原因となる事実が発生していないので、今期の損金にはなりません。

反対に、期末までに終わっているのに請求書が翌期に届いた費用は、今期の損金にできます。請求書の日付ではなく、いつ相手の仕事が終わったか、いつ納品されたかで期を分けてください。期末に近い取引は、納品書や完了報告の日付を確かめる習慣をつけると迷いません。

なお、まだ役務の提供を受けていない費用を前払いした場合は、原則としてその期の損金にはなりませんが、家賃などの一定の前払いには例外があります。その条件は短期前払費用で説明しています。税金の損金算入時期は別のルールで決まりますので、租税公課の損金算入をご覧ください。

償却費は別。債務確定の条件はかからない

債務確定の条件がつくのは「償却費以外の費用」です。No.5387は、その事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られる対象を、償却費以外の費用としています。減価償却費には、債務確定の要件はかかりません。

減価償却費は、誰かに支払う義務から生まれる費用ではなく、持っている資産の価値を期間に配分する計算上の費用だからです。債務確定の3つの要件は、相手がいる費用のためのルールと考えてください。売上原価や損失の額も、販売費・一般管理費とは別の考え方で損金になるかを判定します。

よくある質問

経費はいつの事業年度の損金になりますか

法人税で損金になるものは、別段の定めがあるものを除き、売上原価等の額、販売費・一般管理費その他の費用の額、損失の額の3つです。国税庁のタックスアンサーNo.5387はそう整理したうえで、このうち 販売費・一般管理費その他の費用には「債務が確定しているもの」という条件 をつけています。→ 本文で読む

債務が確定しているとはどういう状態ですか

債務が確定しているとは、次の3つの要件のすべてに該当する状態です。No.5387は、別に定めるものを除き、この3つで判定するとしています。1つでも欠ければ、その期の損金にはなりません。→ 本文で読む

期末までに終わった修繕の代金を翌期に払う場合、今期の損金になりますか

No.5387は修繕費を例に挙げています。建物等の修繕を発注し、業者によって修繕が完了し、かつ金額の見積りが客観的にでき得る状況にあれば、3つの要件を満たし、未払金等として計上できる、という説明です。→ 本文で読む

決算前に発注だけしておけば今期の経費になりますか

ひとり会社や小さな会社の決算で、債務確定が問題になるのは次のような場面です。 期末に駆け込みで発注したホームページ制作や広告、期末時点でまだ納品されていない備品、翌期に行う予定のセミナーの参加費 などです。いずれも、期末までに給付の原因となる事実が発生していないので、今期の損金にはなりません。→ 本文で読む

減価償却費にも債務確定の要件はありますか

債務確定の条件がつくのは「償却費以外の費用」です。No.5387は、その事業年度終了の日までに債務が確定しているものに限られる対象を、償却費以外の費用としています。 減価償却費には、債務確定の要件はかかりません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5387.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

決算日までに「終わっている仕事」と「まだの仕事」を分けてください。

未払金として今期の損金にできるのは、期末までに相手の仕事が終わり、金額が決まる費用だけです。発注書があっても、納品や完了が翌期なら翌期の損金です。請求書の日付ではなく、いつ給付があったかで分けます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。