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経費

交際費と広告宣伝費の分かれ目。
相手が「事業に関係のある者」か「不特定多数の一般消費者」かで決まります

小さな会社の帳簿を見ていると、「これは交際費か、広告宣伝費か」で迷った跡がよく残っています。得意先に配った粗品、キャンペーンの景品、試供品などです。

答えを先に書くと、相手が「事業に関係のある者」なら交際費等、「不特定多数の一般消費者」への宣伝が目的なら広告宣伝費です。交際費等には損金にできる額の枠がありますが、広告宣伝費にはありませんから、この区分は税金に直接響きます。

国税庁のタックスアンサーNo.5260は、広告宣伝費になる費用を7つ、そして「一般消費者」に当たらない相手を5つ挙げています。順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

交際費等は、得意先や仕入先など事業に関係のある者に対する接待・供応・慰安・贈答のための費用です。カレンダー・手帳・手ぬぐいを配る費用や、不特定多数の一般消費者への宣伝的効果を意図した費用(抽選の金品、購入者への景品、見本品など)は交際費等に含まれず広告宣伝費です。ただし医師・美容業者・建築業者などを対象にする場合は一般消費者に当たりません。国税庁タックスアンサーNo.5260をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

交際費等とは。相手は「事業に関係のある者」

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待・供応・慰安・贈答などのために支出する費用です。国税庁のタックスアンサーNo.5260はこう定義しています。ポイントは相手が「事業に関係のある者」であることです。

国税庁 タックスアンサー No.5260「交際費等と広告宣伝費との区分」

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。

得意先を食事に招く、取引先にお中元を送る、仕入先の担当者にお礼の品を渡す。いずれも相手が特定されていて、その相手との関係を良くするための支出です。相手が特定の取引先である限り、名目が「販促」でも交際費等の側に寄ります。飲食費の扱いは交際費の飲食費のルールで別に整理しています。

カレンダー・手帳・手ぬぐいは広告宣伝費

年末に配るカレンダーや手帳、社名入りの手ぬぐいは、贈答の形をとっていても交際費等ではありません。No.5260は、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用は交際費等に含まれず、広告宣伝費になる、としています。

社名やロゴを入れて広く配る物は、相手との関係づくりより会社を知ってもらうことが目的だからです。「通常要する費用」とありますから、一般的な範囲の物を配る限り、広告宣伝費として処理できます。

不特定多数への宣伝的効果を意図した7つの費用

No.5260は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用として、次の7つを挙げています。これらは交際費等に含まれず、広告宣伝費になります。

広告宣伝費になる費用
1製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
2製造業者や卸売業者が、金品引換券付販売に伴って一般消費者に金品を交付するための費用
3製造業者や販売業者が、一定の商品などを購入する一般消費者を旅行、観劇などに招待することをあらかじめ広告宣伝し、その商品などを購入した一般消費者を招待するための費用
4小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
5一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
6得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
7製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用

共通するのは、相手が「一般消費者」で、あらかじめ決まった特定の人ではないことです。抽選、景品、試飲・試食、モニター謝礼は、誰が受け取るかを会社が選んでいません。6の見本品・試用品だけは相手が得意先ですが、これは商品を知ってもらうための費用なので広告宣伝費の側です。

「一般消費者」に当たらない5つの相手

「一般消費者」という言葉の範囲には注意が必要です。No.5260の注は、次のような場合は一般消費者を対象としていることには当たらない、としています。

国税庁 タックスアンサー No.5260「交際費等と広告宣伝費との区分」(注)

例えば、次のような場合、「一般消費者」を対象としていることには当たらないので注意してください。
  • (1) 医薬品の製造業者や販売業者が医師や病院を対象とする場合
  • (2) 化粧品の製造業者や販売業者が美容業者や理容業者を対象とする場合
  • (3) 建築材料の製造業者や販売業者が、大工、左官などの建築業者を対象とする場合
  • (4) 飼料、肥料などの農業用資材の製造業者や販売業者が農家を対象とする場合
  • (5) 機械または工具の製造業者や販売業者が鉄工業者を対象とする場合

いずれも、自社の商品を買ってくれる「事業者」を相手にしている点が共通です。医師や美容業者は、その会社にとっては得意先です。相手の数が多くても、事業者を対象にした景品や招待は交際費等になります。「たくさん配ったから広告宣伝費」とは言えません。

小さな会社での見分け方。相手を書き残す

ひとり会社や小さな会社では、区分に迷ったときの物差しは1つです。その支出の相手は、会社が選んだ特定の人か、それとも不特定多数の一般消費者か。前者なら交際費等、後者なら広告宣伝費です。

実務で困るのは、決算のときに「誰に配ったか」を思い出せないことです。同じ粗品でも、取引先の担当者に渡せば交際費等、店頭で来店客に配れば広告宣伝費になります。領収書の余白に配布先と目的を書き残しておくだけで、区分の根拠になります。

また、交際費等には消費税の面でも独自の扱いがあります。税抜経理で控除できなかった消費税額等のうち交際費等に係る分は、交際費等の額に加えて計算します。この点は控除対象外消費税額等の処理で説明しています。ひとり会社の経費全般の考え方はマイクロ法人もご覧ください。

よくある質問

交際費等とはどのような費用ですか

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待・供応・慰安・贈答などのために支出する費用です。国税庁のタックスアンサーNo.5260はこう定義しています。ポイントは 相手が「事業に関係のある者」であること です。→ 本文で読む

取引先に配るカレンダーや手帳は交際費ですか

年末に配るカレンダーや手帳、社名入りの手ぬぐいは、贈答の形をとっていても交際費等ではありません。No.5260は、カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用は交際費等に含まれず、広告宣伝費になる、としています。→ 本文で読む

抽選や景品の費用は交際費と広告宣伝費のどちらですか

No.5260は、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用として、次の7つを挙げています。これらは交際費等に含まれず、広告宣伝費になります。 共通するのは、 相手が「一般消費者」で、あらかじめ決まった特定の人ではないこと です。抽選、景品、試飲・試食、モニター謝礼は、誰が受け取るかを会社が選んでいません。 6の見本品・試用品だけは相手が得意先ですが、これは商品を知ってもらうための費用なので広告宣伝費の側です。→ 本文で読む

医師や美容業者に配る景品は広告宣伝費になりますか

「一般消費者」という言葉の範囲には注意が必要です。No.5260の注は、次のような場合は一般消費者を対象としていることには当たらない、としています。 いずれも、自社の商品を買ってくれる 「事業者」を相手にしている 点が共通です。医師や美容業者は、その会社にとっては得意先です。 相手の数が多くても、事業者を対象にした景品や招待は交際費等になります。 「たくさん配ったから広告宣伝費」とは言えません。→ 本文で読む

交際費と広告宣伝費の区分で迷ったらどう判断しますか

ひとり会社や小さな会社では、区分に迷ったときの物差しは1つです。 その支出の相手は、会社が選んだ特定の人か、それとも不特定多数の一般消費者か。 前者なら交際費等、後者なら広告宣伝費です。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5260.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

粗品や景品を配ったら、「誰に」「何のために」をメモに残してください。

同じ物を配っても、相手が特定の得意先なら交際費等、不特定多数の一般消費者への宣伝なら広告宣伝費です。領収書だけでは後から区分を思い出せません。配布先と目的が分かる記録があれば、決算のときに迷わず処理できます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。