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経費

会社で入る養老保険の保険料。
受取人が誰かで、資産計上・給与・2分の1損金に分かれます

会社で生命保険に入ると、「保険料は全額経費になりますか」というご質問をよくいただきます。養老保険については、答えは「受取人が誰かで変わります」です。

答えを先に書くと、受取人が会社なら資産計上、被保険者やその遺族なら給与、死亡保険金だけ遺族なら2分の1を資産計上して残りが損金です。しかも、ひとり会社で社長だけを被保険者にすると、その「残り」も給与になります。

国税庁のタックスアンサーNo.5363は、令和元年7月8日以後に契約した養老保険の扱いを、受取人の組み合わせで3つに分けています。順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

会社が契約者となり、役員や従業員を被保険者とする養老保険の保険料は、保険金の受取人で扱いが変わります。死亡保険金・生存保険金の受取人がどちらも会社なら保険料は資産計上、どちらも被保険者やその遺族なら給与、死亡保険金が遺族で生存保険金が会社なら2分の1を資産計上し残額を損金にします。ただし役員など特定の人だけを被保険者にしていると、残額は給与になります。国税庁タックスアンサーNo.5363をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

養老保険とは。受取人で保険料の扱いが決まる

養老保険は、満期または被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。国税庁のタックスアンサーNo.5363は、会社が契約者となり、役員または使用人(その親族を含む)を被保険者とする養老保険の保険料は、保険金の受取人に応じて取り扱われる、としています。

養老保険には、被保険者が亡くなったときの死亡保険金と、満期まで生きていたときの生存保険金の2つがあります。それぞれの受取人を会社にするか、被保険者やその遺族にするかで、保険料の経理が変わります。No.5363が示す3つの型を、先に表で並べます。

死亡保険金の受取人生存保険金の受取人保険料の扱い
会社会社資産に計上(損金にならない)
被保険者の遺族被保険者役員・使用人への給与
被保険者の遺族会社2分の1を資産計上、残額は期間の経過に応じて損金

「養老保険なら半分損金」とだけ覚えている方が多いのですが、それは3つめの型だけの話です。しかも、この型にはさらに条件があります。順に見ていきます。

受取人が会社なら、保険料は資産計上

死亡保険金も生存保険金も会社が受け取る契約では、保険料は損金になりません。No.5363は、その支払った保険料の額は、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効によりその保険契約が終了する時までは損金の額に算入されず、資産に計上する必要がある、としています。

会社が保険料を払い、会社が保険金を受け取るのですから、保険料は将来お金になって戻ってくる積立てと見ます。貯金と同じで、払った時点では費用にならず、保険事故が起きたり、解約したりして契約が終わるまで資産のままです。

ひとり会社で「会社の貯蓄代わりに」と養老保険に入る場合が、この型です。節税にはなりませんが、保険料を払っている間の利益は減りません。資金の置き場所として考えるものです。

受取人が被保険者や遺族なら、保険料は給与

死亡保険金の受取人が被保険者の遺族、生存保険金の受取人が被保険者本人という契約では、保険料は会社の損金ではなく、その人への給与になります。No.5363は、その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となる、としています。

会社が保険料を払っても、保険金を受け取るのは本人や家族です。会社が本人の代わりに保険料を負担しているだけなので、その分だけ給与を払ったのと同じと見ます。No.5202「役員等に対する経済的利益」も、役員等を被保険者および保険金受取人とする生命保険契約の保険料を会社が負担した場合のその保険料の額を、給与に含まれる経済的な利益の例に挙げています。

給与とされた保険料には、よい面もあります。No.5363は、給与とされた保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となる、としています。本人の所得税では、自分で保険料を払ったのと同じように控除を受けられます。控除の中身は生命保険料控除と地震保険料控除で整理しています。

死亡保険金が遺族・生存保険金が会社なら、2分の1が資産で残りが損金

3つめの型が、いわゆる福利厚生プランです。死亡保険金の受取人は被保険者の遺族、生存保険金の受取人は会社という組み合わせです。No.5363は、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する、としています。

国税庁 タックスアンサー No.5363「養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」

その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は上記1により資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入します。

亡くなったときは遺族に保険金が渡る(遺族のための保障)、満期まで生きていれば会社に戻る(会社の積立て)という2つの性質が混ざっているので、半分は積立てとして資産、半分は保障の費用として損金と分けます。

ただし、この「残額は損金」には条件があります。次の節で説明する被保険者の範囲です。ひとり会社では、ここで引っかかります。

役員だけを被保険者にすると、残りも給与。定期同額給与になる

ひとり会社の社長だけを被保険者にして福利厚生プランに入ると、損金になるはずの残額が給与に変わります。No.5363は、役員または部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む)のみを被保険者としている場合には、その残額は、それぞれその役員または使用人に対する給与となる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.5363「養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」

ただし、役員または部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含みます。)のみを被保険者としている場合には、その残額は、それぞれその役員または使用人に対する給与となります

福利厚生は、従業員全体を対象にするからこそ福利厚生です。役員や一部の人だけが加入する保険は、その人への個人的な利益と見られ、給与になります。社長ひとりの会社では、被保険者は必ず「役員のみ」になりますから、2分の1損金の形は成り立ちません。

給与になった場合の扱いも、No.5363に書かれています。役員に対する給与とされる保険料の額で会社が経常的に負担するものは、役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定なので、定期同額給与になります。毎月同じ保険料なら、役員報酬と同じ扱いで損金にはなります。ただし、その分だけ社長の給与が増えたことになり、社長個人の所得税・住民税・社会保険の計算に影響します。定期同額給与の考え方は定期同額給与で、ひとり会社の前提はマイクロ法人で整理しています。

特約は別に判定する。定期保険との違い

養老保険に特約をつけている場合、特約部分の保険料は養老保険の本体とは別に判定します。No.5363は、特約に係る保険料の支払いがある場合は、その特約の内容に応じて養老保険、定期保険または第三分野保険の保険料の取扱いによる、としています。

定期保険は、一定期間内に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる生命保険で、養老保険のような生存保険金はありません。No.5364は、定期保険や第三分野保険の保険料は、受取人が会社でも被保険者や遺族でも、原則として期間の経過に応じて損金の額に算入する、としています。養老保険のように「資産計上」が原則にはならないのが大きな違いです。

ただし定期保険にも、役員など特定の人だけを被保険者にしていると給与になるルール、解約返戻率が高い保険は別の取扱いになるルールがあります。保険の種類と受取人の組み合わせごとに扱いが変わりますから、契約の前に設計書を見て確かめるのが確実です。

よくある質問

会社で入る養老保険の保険料は全額経費になりますか

養老保険は、満期または被保険者の死亡によって保険金が支払われる生命保険です。国税庁のタックスアンサーNo.5363は、会社が契約者となり、役員または使用人(その親族を含む)を被保険者とする養老保険の保険料は、保険金の受取人に応じて取り扱われる、としています。→ 本文で読む

保険金の受取人を会社にすると保険料はどう扱いますか

死亡保険金も生存保険金も会社が受け取る契約では、保険料は損金になりません。No.5363は、その支払った保険料の額は、保険事故の発生または保険契約の解除もしくは失効によりその保険契約が終了する時までは損金の額に算入されず、資産に計上する必要がある、としています。→ 本文で読む

保険金の受取人を社長本人や家族にすると保険料はどう扱いますか

死亡保険金の受取人が被保険者の遺族、生存保険金の受取人が被保険者本人という契約では、保険料は会社の損金ではなく、その人への給与になります。No.5363は、その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となる、としています。→ 本文で読む

養老保険の保険料が2分の1損金になるのはどのような契約ですか

3つめの型が、いわゆる福利厚生プランです。死亡保険金の受取人は被保険者の遺族、生存保険金の受取人は会社という組み合わせです。No.5363は、その支払った保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は資産に計上し、残額は期間の経過に応じて損金の額に算入する、としています。→ 本文で読む

社長ひとりの会社で養老保険に入ると保険料は損金になりますか

ひとり会社の社長だけを被保険者にして福利厚生プランに入ると、損金になるはずの残額が給与に変わります。No.5363は、役員または部課長その他特定の使用人(これらの者の親族を含む)のみを被保険者としている場合には、その残額は、それぞれその役員または使用人に対する給与となる、としています。→ 本文で読む

養老保険と定期保険で保険料の扱いは違いますか

養老保険に特約をつけている場合、特約部分の保険料は養老保険の本体とは別に判定します。No.5363は、特約に係る保険料の支払いがある場合は、その特約の内容に応じて養老保険、定期保険または第三分野保険の保険料の取扱いによる、としています。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5363 養老保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5363.htm
  2. 国税庁「No.5364 定期保険及び第三分野保険の保険料の取扱い(令和元年7月8日以後契約分)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5364.htm
  3. 国税庁「No.5202 役員等に対する経済的利益」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5202.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

保険に入る前に、受取人を誰にするかで税務が変わることを確かめてください。

養老保険の保険料は、受取人の組み合わせと、被保険者の範囲で、資産計上・給与・損金に分かれます。ひとり会社では「全員加入」が社長だけの加入になるため、福利厚生を目的とした2分の1損金の形が使えません。契約前に保険の設計書をお持ちいただければ、会社と社長個人の両方にどう効くかを確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。