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経費

会社の携帯電話の契約事務手数料は、原則は耐用年数20年の資産。
10万円未満なら全額損金にできます

会社名義で携帯電話を契約すると、月額の利用料のほかに契約事務手数料を払います。この手数料、実は「通信費」ではなく、原則は資産として扱う費用です。

答えを先に書くと、契約事務手数料は電気通信施設利用権という耐用年数20年の無形固定資産ですが、10万円未満なら全額をその期の損金にできます。ですから、ふつうの契約事務手数料は、一括で経費にして問題ありません。

「原則は資産」と知らないまま経費にしている方がほとんどですが、なぜ経費にしてよいのかを知っておくと、ほかの少額資産の判断にも応用できます。国税庁のタックスアンサーNo.5383で確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

会社で携帯電話を契約したときの契約事務手数料は、原則として無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額として資産計上し、耐用年数20年で減価償却します。ただし取得価額が10万円未満なら、事業の用に供した事業年度に損金経理することを要件に、全額を損金にできます。実際の契約事務手数料は10万円未満がほとんどで、通信費などで一括経費にする処理で足ります。国税庁タックスアンサーNo.5383をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

答え。原則は資産計上、10万円未満なら全額損金

まず答えを書くと、携帯電話の契約事務手数料は、原則として電気通信施設利用権という無形減価償却資産の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却するものです。ただし、取得価額が10万円未満なら、事業の用に供した事業年度に損金経理することを要件に、全額を損金にできます。国税庁のタックスアンサーNo.5383がそのように示しています。

国税庁 タックスアンサー No.5383「携帯電話等の加入費用の取扱い」

携帯電話に加入する際には、加入者は契約事務手数料を支払うこととなりますが、この手数料は、原則として、無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却することとなります。

ひとり会社で契約する携帯電話の契約事務手数料が10万円を超えることは、まずありません。実務では「10万円未満だから全額損金」の側に入り、通信費や支払手数料として一括で経費処理して差し支えありません。ただし、そう処理できる理由は知っておいてください。

契約事務手数料は電気通信施設利用権という無形固定資産

契約事務手数料が「資産」とされるのは、それを払うことで電話回線を使う権利を取得したと見るからです。No.5383は、この手数料を無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額とする、としています。

無形減価償却資産とは、形はないけれど事業に使う権利で、時間の経過で価値が減っていくものです。ソフトウエアや特許権と同じ仲間です。携帯電話の回線を使う権利も、この無形資産の1つと整理されています。

建物や機械のように目に見えるものではないので資産という感覚がわきにくいのですが、税務では「使う権利を買った」と見ます。月々の利用料はサービスの対価なので費用、契約時の手数料は権利の取得なので資産、という分け方です。

電気通信施設利用権の耐用年数は20年

資産として計上した場合の耐用年数は20年です。No.5383は、電気通信施設利用権の耐用年数は20年である、としています。20年かけて少しずつ損金にしていく、というのが原則の姿です。

国税庁 タックスアンサー No.5383「携帯電話等の加入費用の取扱い」

電気通信施設利用権の耐用年数は20年ですが、減価償却資産の取得価額が10万円未満である場合には、事業の用に供した事業年度において損金経理をすることを要件として、その取得価額の全額を損金の額に算入することができます。

携帯電話を20年使い続けることは現実にはあまりないでしょうが、耐用年数は資産の種類ごとに省令で決まっています。実際に何年使うかではなく、電気通信施設利用権という種類に対して20年と定められています。

取得価額10万円未満なら、全額を損金にできる

原則は20年償却ですが、少額の資産には例外があります。No.5383は、減価償却資産の取得価額が10万円未満である場合には、その取得価額の全額を損金の額に算入することができる、としています。

契約事務手数料の額扱い
10万円以上電気通信施設利用権として資産計上、耐用年数20年で減価償却
10万円未満事業の用に供した事業年度に損金経理すれば、全額損金

この「10万円未満なら全額損金」は、携帯電話に限った特別ルールではなく、減価償却資産全般に適用される少額の減価償却資産の取扱いです。パソコンや事務机と同じ物差しで、契約事務手数料も見ているということです。少額の資産の全体像は少額減価償却資産の特例で整理しています。

要件は「事業の用に供した事業年度に損金経理」

全額損金にするための要件は1つです。No.5383は、事業の用に供した事業年度において損金経理をすることを要件としています。損金経理とは、会社の決算で費用として処理することです。

言い換えると、使い始めた期の帳簿で費用に落としておくことが条件です。いったん資産に計上して翌期以降に落とす、という処理は、この10万円未満の取扱いでは認められません。使い始めた期に費用処理しなかった場合は、原則どおり20年の償却に戻ります。

ひとり会社では、社長が自分で記帳していることも多いはずです。契約時の請求書が届いたら、その期のうちに費用として入力する。それだけで要件は満たします。

ひとり会社の実務。通信費で一括処理してよい理由

ここまでを実務に落とすと、会社名義の携帯電話の契約事務手数料は、その期の通信費や支払手数料として一括で経費処理して差し支えありません。理由は、取得価額が10万円未満で、事業の用に供した期に損金経理しているからです。

気をつけたいのは、契約事務手数料と一緒に請求される機種代金です。機種代金は電気通信施設利用権ではなく、端末という別の資産です。同じ少額の減価償却資産の考え方で判定しますが、契約事務手数料と機種代金を合算して判定するものではありません。請求書で分けて見てください。

また、通信料を年払いにしたときは短期前払費用の考え方が関係します。機器をリースで導入した場合はリース取引の取扱いの概要をご覧ください。携帯電話1台でも、手数料・端末・通信料の3つで税務の見方が違うと知っておくと、ほかの備品の判断にも役立ちます。

よくある質問

会社の携帯電話の契約事務手数料は経費にできますか

まず答えを書くと、携帯電話の契約事務手数料は、原則として電気通信施設利用権という無形減価償却資産の取得価額として資産計上し、耐用年数に応じて減価償却するものです。ただし、 取得価額が10万円未満なら、事業の用に供した事業年度に損金経理することを要件に、全額を損金にできます。 国税庁のタックスアンサーNo.5383がそのように示しています。→ 本文で読む

携帯電話の契約事務手数料はなぜ資産になるのですか

契約事務手数料が「資産」とされるのは、それを払うことで電話回線を使う権利を取得したと見るからです。No.5383は、この手数料を無形減価償却資産である電気通信施設利用権の取得価額とする、としています。→ 本文で読む

電気通信施設利用権の耐用年数は何年ですか

資産として計上した場合の耐用年数は20年です。No.5383は、電気通信施設利用権の耐用年数は20年である、としています。20年かけて少しずつ損金にしていく、というのが原則の姿です。→ 本文で読む

契約事務手数料が10万円未満ならどう処理しますか

原則は20年償却ですが、少額の資産には例外があります。No.5383は、減価償却資産の取得価額が10万円未満である場合には、その取得価額の全額を損金の額に算入することができる、としています。→ 本文で読む

契約事務手数料を全額損金にする要件は何ですか

全額損金にするための要件は1つです。No.5383は、事業の用に供した事業年度において損金経理をすることを要件としています。損金経理とは、会社の決算で費用として処理することです。 言い換えると、 使い始めた期の帳簿で費用に落としておくこと が条件です。いったん資産に計上して翌期以降に落とす、という処理は、この10万円未満の取扱いでは認められません。使い始めた期に費用処理しなかった場合は、原則どおり20年の償却に戻ります。→ 本文で読む

契約事務手数料を通信費で処理してよいですか

ここまでを実務に落とすと、会社名義の携帯電話の契約事務手数料は、その期の通信費や支払手数料として一括で経費処理して差し支えありません。理由は、取得価額が10万円未満で、事業の用に供した期に損金経理しているからです。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.5383 携帯電話等の加入費用の取扱い」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5383.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

会社の携帯電話は、契約から経費処理まで会社名義でそろえてください。

契約事務手数料は10万円未満なら全額損金にできますが、それは「事業の用に供した事業年度に損金経理する」という条件つきです。契約時の請求書と、会社の帳簿での処理を合わせておけば問題ありません。社長個人名義の携帯を会社で使っている場合の按分や、機種代金の扱いもあわせて整理します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。