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譲渡

建物の取得費の計算。購入代金から減価償却費相当額を引く。
マイホームは取得価額×0.9×償却率×経過年数

家を売った方から、「買ったときの値段を取得費にしてよいですか」と聞かれます。土地はそのとおりですが、建物は違います。

答えを先に書くと、建物の取得費は、購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。建物は使ったり時間がたつことで価値が減ると考えるためです。

マイホームのように事業に使っていなかった建物は、取得価額×0.9×償却率×経過年数という算式で減価償却費相当額を出します。国税庁のタックスアンサーNo.3261とNo.3252で、償却率の表と端数の扱いまで順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

建物を売ったときの取得費は、購入代金の合計額そのままではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。事業に使っていた建物は毎年の減価償却費を合計し、マイホームなど事業に使っていなかった建物は「取得価額×0.9×償却率×経過年数」で計算します。償却率は木造0.031など構造で決まり、減価償却費相当額は取得価額の95パーセントが上限です。国税庁タックスアンサーNo.3261・No.3252をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

建物の取得費は、購入代金から減価償却費相当額を引く

答えを先に書くと、建物の取得費は、建築代金や購入代金などの合計額がそのまま取得費になるわけではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。国税庁のタックスアンサーNo.3261は、建物は使用したり、期間が経過することによって価値が減少していくため、と説明しています。

国税庁 タックスアンサー No.3261「建物の取得費の計算」

したがって、建物の取得費は建物の購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。

土地の取得費は、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。土地は減りませんが、建物は減るという違いです。取得費が減ると譲渡所得は増えますから、古い建物を売るときほど税額に効いてきます。譲渡所得の計算全体は土地建物の譲渡所得で整理しています。

取得費に含まれるもの。手数料・登記費用・立退料など

減価償却の前に、何が取得費に入るかを確認します。No.3252は、取得費には購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれる、としています。ただし、事業所得などの必要経費に算入されたものは含まれません。

そのほか取得費に含まれる主なものとして、購入したときに納めた登録免許税(登記費用も含む)・不動産取得税・印紙税(業務の用に供される資産の場合は含まれません)、借主を立ち退かせるために支払った立退料、土地の造成費用や測量費、所有権などを確保するために要した訴訟費用、建物付の土地を購入しておおむね1年以内に建物を取り壊した場合の建物の購入代金や取壊しの費用、実際に使用開始する日までの期間に対応する借入金の利子、他の物件を取得するために支出した違約金が挙げられています。購入時の諸費用の領収書や契約書は、売るときまで保管してください。

事業に使っていた建物。毎年の減価償却費を合計する

減価償却費相当額の計算は、建物が事業に使われていた場合とそれ以外の場合で異なります。事業に使われていた場合は、建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の額を合計します。

注意点があります。No.3261は、仮に毎年の減価償却費の額を必要経費としていない部分があったとしても、毎年の減価償却費の額を合計することに変わりはない、としています。申告で償却を計上し忘れていた年があっても、取得費の計算ではその分も引かれるということです。国外中古建物の不動産所得の損益通算等の特例の適用を受けた建物は、毎年の減価償却費の合計額から、この特例により生じなかったものとみなされた損失に相当する部分の金額の合計額を控除します。

事業に使っていなかった建物。取得価額×0.9×償却率×経過年数

マイホームなど事業に使われていなかった建物は、建物の耐用年数の1.5倍の年数(1年未満の端数は切り捨て)に対応する旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額に、取得してから売るまでの経過年数を乗じて計算します。

国税庁 タックスアンサー No.3261「建物の取得費の計算」

建物の取得価額×0.9×償却率(※1)× 経過年数(※2)= 減価償却費相当額(※3)

事業用の建物よりゆるやかに、長い年数で減る計算です。耐用年数を1.5倍に延ばした分、1年当たりの減価償却費相当額が小さくなります。取得価額には、前の節で見た登記費用などの諸費用も含めて計算します。

非業務用建物の償却率。木造は0.031

算式の償却率は、建物の構造ごとに定められています。No.3261は、非業務用建物の償却率として、木造は0.031、木骨モルタルは0.034、(鉄骨)鉄筋コンクリートは0.015、金属造①は0.036、金属造②は0.025と示しています。

区分償却率
木造0.031
木骨モルタル0.034
(鉄骨)鉄筋コンクリート0.015
金属造①(軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル以下)0.036
金属造②(軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下)0.025

木造は鉄筋コンクリートより償却率が大きく、同じ経過年数でも減価償却費相当額が大きくなります。構造が分からないときは、登記事項証明書などで確かめてください。軽量鉄骨造は骨格材の肉厚で2つに分かれます。

経過年数の端数と、95パーセントの上限

経過年数は、6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。そして、計算した減価償却費相当額は、建物の取得価額の95パーセントを限度とします。

つまり、どれだけ古い建物でも、取得価額の5パーセントは取得費として残ります。相続で引き継いだ古い家を売る場合など、経過年数が長いときはこの上限に当たることがあります。

取得費そのものが分からない場合には、売った金額の5パーセントを取得費とする方法もあります。取得費が分からない不動産を売ったらをご覧ください。契約書が見つかっても、上の算式で計算した取得費が概算取得費より小さいことがありますので、両方を比べてから申告してください。相続した不動産については、相続税の一部を取得費に足せる特例もあります。相続した不動産の取得費加算をご覧ください。

よくある質問

建物の取得費は買ったときの値段そのままですか

答えを先に書くと、建物の取得費は、建築代金や購入代金などの合計額がそのまま取得費になるわけではなく、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額です。国税庁のタックスアンサーNo.3261は、建物は使用したり、期間が経過することによって価値が減少していくため、と説明しています。→ 本文で読む

建物の取得費には登記費用や立退料も含まれますか

減価償却の前に、何が取得費に入るかを確認します。No.3252は、取得費には購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれる、としています。ただし、事業所得などの必要経費に算入されたものは含まれません。→ 本文で読む

事業に使っていた建物の減価償却費相当額はどう計算しますか

減価償却費相当額の計算は、建物が事業に使われていた場合とそれ以外の場合で異なります。事業に使われていた場合は、建物を取得してから売るまでの毎年の減価償却費の額を合計します。 注意点があります。No.3261は、仮に毎年の減価償却費の額を必要経費としていない部分があったとしても、毎年の減価償却費の額を合計することに変わりはない、としています。 申告で償却を計上し忘れていた年があっても、取得費の計算ではその分も引かれる ということです。国外中古建物の不動産所得の損益通算等の特例の適用を受けた建物は、毎年の減価償却費の合計額から、この特例により生じなかったものとみなされた損失に相当する部分の金額の合計額を控除します。→ 本文で読む

マイホームの建物の減価償却費相当額はどう計算しますか

マイホームなど事業に使われていなかった建物は、建物の耐用年数の1.5倍の年数(1年未満の端数は切り捨て)に対応する旧定額法の償却率で求めた1年当たりの減価償却費相当額に、取得してから売るまでの経過年数を乗じて計算します。→ 本文で読む

木造の建物の償却率はいくらですか

算式の償却率は、建物の構造ごとに定められています。No.3261は、非業務用建物の償却率として、木造は0.031、木骨モルタルは0.034、(鉄骨)鉄筋コンクリートは0.015、金属造①は0.036、金属造②は0.025と示しています。→ 本文で読む

建物の減価償却費相当額に上限はありますか

経過年数は、6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。そして、計算した減価償却費相当額は、建物の取得価額の95パーセントを限度とします。 つまり、どれだけ古い建物でも、 取得価額の5パーセントは取得費として残ります。 相続で引き継いだ古い家を売る場合など、経過年数が長いときはこの上限に当たることがあります。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
  2. 国税庁「No.3252 取得費となるもの」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

建物を売る前に、買ったときの契約書と諸費用の領収書を探してください。

建物の取得費は、購入代金だけでなく登記費用や立退料なども含めたうえで、減価償却費相当額を引いて計算します。構造と取得日、居住用か事業用かが分かれば計算できます。書類が見つからない場合の概算取得費との比較も行います。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。