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控除

住宅耐震改修特別控除。
昭和56年5月31日以前の自宅を耐震改修すると、標準的な費用の10%を所得税から引けます

古いご実家や中古で買った家に住んでいて、耐震補強を検討している方に知っておいていただきたい控除です。

答えを先に書くと、昭和56年5月31日以前に建てられた自宅を耐震改修すると、耐震工事の標準的な費用の額の10%を、その年の所得税額から差し引けます。ローンを組まなくても使える税額控除で、住宅ローン控除と両方受けられる場合もあります。

ただ、計算式にはAとBの2つの部分があり、限度額や併用の可否に条件があります。国税庁のタックスアンサーNo.1222で、要件・計算・書類を順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

昭和56年5月31日以前に建築された自宅を、平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に現行の耐震基準に合うよう改修すると、住宅耐震改修特別控除が受けられます。控除額は耐震工事の標準的な費用の額(限度250万円)の10%と、あわせて行う一定の工事の費用などの5%の合計で、所得税額から直接差し引きます。住宅ローン控除との併用の可否や必要書類も確認します。国税庁タックスアンサーNo.1222をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

制度の概要。昭和56年5月31日以前の家屋を令和10年12月31日までに耐震改修

住宅耐震改修特別控除は、個人が平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります)について住宅耐震改修をした場合に、一定の金額をその年分の所得税額から控除できる制度です。国税庁のタックスアンサーNo.1222がその要件と計算を示しています。

国税庁 タックスアンサー No.1222「耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」

個人が、平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります。)について住宅耐震改修をした場合には、一定の金額をその年分の所得税額から控除(住宅耐震改修特別控除)することができます。

ポイントは3つです。昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、自分が住んでいる家であること、そして令和10年12月31日までに工事をすることです。所得控除ではなく税額控除ですから、計算した控除額がそのまま所得税額から引かれます。ローンを組んでいなくても使えます。

3つの適用要件

控除を受けられるのは、No.1222が表で示す3つの要件をすべて満たすときです。建築年、耐震基準への適合、主として住んでいる家であることの3つです。

番号適用要件
1昭和56年5月31日以前に建築された家屋であって、自己の居住の用に供する家屋であること
2耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕または模様替え)をした家屋が、現行の耐震基準に適合するものであること
32以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること

要件2の「現行の耐震基準に適合する」ことは、申請により登録住宅性能評価機関、指定確認検査機関、建築士または住宅瑕疵担保責任保険法人から発行される「増改築等工事証明書」で示します。平成29年3月31日以前に工事を行った場合は「住宅耐震改修証明書」です。地方公共団体の長に申請を行った場合は「住宅耐震改修証明書」が発行されます。工事をしただけでは足りず、基準に適合したことを証明書で確認できることが条件です。

控除額の計算。A×10%+B×5%

控除額は、耐震工事の標準的な費用の額(A)の10%と、あわせて行う工事の費用など(B)の5%の合計です。No.1222の計算式は「控除額 = A×10%+B×5%」で、AまたはBのそれぞれに対して算出された控除額のうち100円未満の端数金額は切り捨てます。

Aは、住宅耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額です。工事の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、その補助金等の額を控除します。実際に払った金額ではなく「標準的な費用の額」である点に注意してください。No.1222の注記によると、これは工事の種類ごとに単位当たりの標準的な工事費用の額として定められた金額に、工事を行った床面積等を乗じて計算した金額で、増改築等工事証明書または住宅耐震改修証明書で確認できます。

Bは、次の(1)と(2)のいずれか低い金額です。(1)は、耐震工事の標準的な費用の額のうち控除対象限度額を超える部分の額と、耐震工事と併せて行う増築、改築その他の一定の工事に要した費用の額(補助金等を控除した後の金額)の合計額。(2)は、耐震工事の標準的な費用の額です。耐震工事の限度額を超えた部分や、同時に行う別の工事の費用が、5%の対象に回ります。

ただし、令和3年12月31日以前に住宅耐震改修をした場合と、耐震工事と併せて行う増築・改築その他の一定の工事がある場合でこの特別控除と住宅借入金等特別控除の両方について適用を受ける場合は、Aに対する控除額のみとなります。

控除対象限度額は250万円。Bには合計所得金額の要件がある

Aの控除対象限度額は、令和4年1月1日以後に住宅耐震改修をした場合は250万円です。Bは、1,000万円からAの金額を控除した金額が限度で、Bの控除を受けるには合計所得金額の要件があります。

項目内容
Aの控除対象限度額(令和4年1月1日以後の工事)250万円
Aの控除対象限度額(令和3年12月31日以前の工事)消費税額等のうちに8パーセントまたは10パーセントの税率で課されるべきものが含まれていれば250万円、それ以外は200万円
Bの限度1,000万円からAの金額を控除した金額
Bを受けるための所得要件自己が所有する家屋で、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下(令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に居住の用に供している場合は3,000万円以下)

Aの部分に所得要件はありません。合計所得金額が2,000万円を超える方でも、Aの10%の控除は受けられます。Bの5%の部分だけに所得要件がかかります。

省エネ改修、バリアフリー改修、多世帯同居改修、耐久性向上改修、子育て対応改修の控除と併せて受ける場合、Bの限度は1,000万円から各改修工事に係るAの金額の合計額を控除した金額になります。複数の改修を同時に行うときは、Bの枝を合算して1,000万円の枠で見るということです。

住宅ローン控除と両方使える場合と、どちらか1つになる場合

耐震改修をローンで行った場合、この特別控除と増改築等の住宅借入金等特別控除の両方の要件を満たしていれば、両方の適用を受けられます。一方、要耐震改修住宅を取得して耐震改修を行う場合の住宅借入金等特別控除とは、いずれか1つの選択適用です。

No.1222は、この特別控除と、増改築等をした場合の住宅借入金等特別控除(令和4年以降に居住はコード1211-4、令和3年までに居住はコード1216)のいずれの適用要件も満たしている場合には、両方について適用を受けることができる、としています。住んでいる家を借入れで耐震改修したケースがこれに当たります。

他方、要耐震改修住宅を取得して耐震改修を行った場合の住宅借入金等特別控除(コード1215・コード1211-5)とは両方受けることはできず、いずれか1つの選択になります。中古住宅を買ってから耐震改修をした場合は、どちらが有利かを比べて選ぶことになります。また、耐久性向上改修工事をした場合の住宅特定改修特別税額控除(コード1227)の要件も満たしている場合は、いずれか1つの選択適用です。

確定申告に添える3つの書類

この控除を受けるには、必要事項を記載した確定申告書に、計算明細書・工事証明書・建築年を示す書類の3つを添えて、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出します。年末調整では受けられません。

提出書類
1住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
2建築士等が発行した「増改築等工事証明書」または市町村の「住宅耐震改修証明書」
3家屋の登記事項証明書など、家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたものであることを明らかにする書類

「建築士等」とは、一級建築士、二級建築士または木造建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関および住宅瑕疵担保責任保険法人です。登記事項証明書は、計算明細書への不動産番号の記載または登記事項証明書の写しの添付に代えることができます。

給与所得のある方は、平成31年4月1日以後、源泉徴収票の添付・提示は不要になっていますが、申告書を作る際には引き続き必要です。工事の前に、証明書を発行してもらえる業者かどうかを確かめておくのが、この控除を確実に受けるいちばんの近道です。申告を忘れた年分については還付申告は5年間できるで整理しています。

よくある質問

住宅耐震改修特別控除はどのような家が対象ですか

住宅耐震改修特別控除は、個人が平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります)について住宅耐震改修をした場合に、一定の金額をその年分の所得税額から控除できる制度です。国税庁のタックスアンサーNo.1222がその要件と計算を示しています。→ 本文で読む

住宅耐震改修特別控除の要件は何ですか

控除を受けられるのは、No.1222が表で示す3つの要件をすべて満たすときです。建築年、耐震基準への適合、主として住んでいる家であることの3つです。 要件2の「現行の耐震基準に適合する」ことは、申請により登録住宅性能評価機関、指定確認検査機関、建築士または住宅瑕疵担保責任保険法人から発行される「増改築等工事証明書」で示します。平成29年3月31日以前に工事を行った場合は「住宅耐震改修証明書」です。地方公共団体の長に申請を行った場合は「住宅耐震改修証明書」が発行されます。 工事をしただけでは足りず、基準に適合したことを証明書で確認できることが条件です。→ 本文で読む

住宅耐震改修特別控除の控除額はどう計算しますか

控除額は、耐震工事の標準的な費用の額(A)の10%と、あわせて行う工事の費用など(B)の5%の合計です。No.1222の計算式は「控除額 = A×10%+B×5%」で、AまたはBのそれぞれに対して算出された控除額のうち100円未満の端数金額は切り捨てます。→ 本文で読む

住宅耐震改修特別控除の限度額はいくらですか

Aの控除対象限度額は、令和4年1月1日以後に住宅耐震改修をした場合は250万円です。Bは、1,000万円からAの金額を控除した金額が限度で、Bの控除を受けるには合計所得金額の要件があります。→ 本文で読む

耐震改修の控除と住宅ローン控除は両方受けられますか

耐震改修をローンで行った場合、この特別控除と増改築等の住宅借入金等特別控除の両方の要件を満たしていれば、両方の適用を受けられます。一方、要耐震改修住宅を取得して耐震改修を行う場合の住宅借入金等特別控除とは、いずれか1つの選択適用です。→ 本文で読む

住宅耐震改修特別控除を受けるにはどんな書類が必要ですか

この控除を受けるには、必要事項を記載した確定申告書に、計算明細書・工事証明書・建築年を示す書類の3つを添えて、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出します。年末調整では受けられません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1222.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

耐震改修の見積が出たら、工事証明書を発行してもらえるかを先に確かめてください。

住宅耐震改修特別控除は、建築士等の増改築等工事証明書か市町村の住宅耐震改修証明書がなければ受けられません。工事の前に、建築年を示す登記事項証明書と、証明書を出してもらえる業者かどうかを確認しておくと、申告のときに困りません。工事の内容によって控除額の出し方が変わりますので、見積書をお持ちいただければ一緒に確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。