控除
住宅ローン控除の調書方式。
金融機関に適用申請書を出し、e-Taxの事前準備をすればマイナポータル連携で年末残高が自動入力されます
住宅ローンを組んで家を買った方から、「銀行から年末残高の証明書が届かない」というご相談が増えています。
答えを先に書くと、調書方式に対応した金融機関では、年末残高等証明書が納税者に届くのではなく、金融機関が税務署に年末残高等調書を提出し、その情報がマイナポータル連携で申告書に自動入力される仕組みに変わっています。令和6年分以降の申告で使える方式です。
ただし、自動で入るためには、借入先への適用申請書の提出と、e-Taxでの事前準備が必要です。国税庁のタックスアンサーNo.1230で、最初の年と2年目以後に分けて手順を確認していきます。
この記事の要点
住宅ローン控除の手続は、令和4年度税制改正で年末残高等証明書を使う証明書方式から、金融機関が税務署に年末残高等調書を出す調書方式に変わりました。対応する金融機関から借りた場合、令和6年分以降はマイナポータル連携で年末残高等情報を自動入力できます。借入先への適用申請書の提出とe-Taxの事前準備が前提で、最初の年分は確定申告、2年目以後は年末調整で受けられます。国税庁タックスアンサーNo.1230をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
調書方式とは。金融機関が税務署に年末残高等調書を出す
調書方式とは、住宅ローンの債権者である金融機関等が税務署に年末残高等調書を提出し、国税当局から納税者に住宅ローンの年末残高等情報を提供する方式です。国税庁のタックスアンサーNo.1230は、令和4年度税制改正で、これまでの年末残高等証明書を用いる「証明書方式」から、年末残高等調書を用いる「調書方式」とする改正が行われた、としています。
| 方式 | しくみ |
|---|---|
| 調書方式 | 金融機関等が税務署に「住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書」を提出し、国税当局から納税者に「年末残高等情報」を提供する |
| 証明書方式(従来の方式) | 納税者が金融機関等から交付を受けた年末残高等証明書を、確定申告または年末調整の際に税務署または勤務先に提出する |
従来は、金融機関から届いた証明書を納税者が自分で提出していました。調書方式では、金融機関が直接税務署に情報を出し、納税者はその情報をマイナポータル連携で申告書に取り込みます。No.1230は、調書方式に対応した金融機関から借入れをした場合、令和6年分以降の住宅借入金等特別控除の確定申告・年末調整において、マイナポータル連携により年末残高等情報を活用できる、としています。対応している金融機関かどうかで手順が変わりますから、まず借入先が調書方式に対応しているかを確かめてください。
最初にやること。金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を出す
調書方式で控除を受けるには、借入先の金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出します。No.1230は、調書方式に対応した金融機関からの借入れについて住宅ローン控除の適用を受けるためには、借入先の金融機関に対し、マイナンバー等を記載した適用申請書(金融機関により様式は異なる)を提出する、としています。
マイナンバーの代わりに、e-Taxの利用者識別番号を書く金融機関もあります。No.1230は、ご利用の金融機関により、マイナンバーに代えてe-Taxの利用者識別番号を記載することになる、としたうえで、利用者識別番号をお持ちでない方はe-Taxホームページの「利用者識別番号の取得」を確認するよう案内しています。この申請書を出していないと、金融機関は年末残高等調書を作れません。借入れの手続の中で書いた覚えがない方は、金融機関に確認してください。
事前準備。e-Taxからの情報取得を希望しておく
年末残高等情報を自動入力するには、確定申告の前にe-Taxからの情報取得を希望する事前準備が必要です。No.1230は、マイナポータルからの年末残高等情報の取得・各申告書への自動入力(マイナポータル連携)をするためには、確定申告前の事前準備としてe-Taxからの情報取得を希望する必要がある、としています。
事前準備を行うと、年末残高等情報がe-Taxのメッセージボックスに格納され、マイナポータル連携が可能になります。格納される日は、事前準備をした時期によって変わります。
| 事前準備の時期 | 年末残高情報がメッセージボックスに格納される日 |
|---|---|
| 居住開始年の12月末まで | 翌年2月中旬 |
| 1~2月中旬 | 2月中旬以降に順次格納(2月中旬までに格納されなかった場合は登録を了した日から2~5日(土日祝日を除く)後) |
| 2月中旬~10月 | 登録を了した日から2~5日(土日祝日を除く)後(10月末までに格納されなかった場合は翌年2月中旬) |
| 11~12月末 | 翌年2月中旬 |
入居した年の12月末までに事前準備を済ませておけば、翌年2月中旬には情報が届きます。申告の時期が近づいてから準備をすると、格納まで数日待つことになります。住宅ローン控除の還付を早く受けたい方は、入居した年のうちに事前準備を終えておくのが確実です。
最初の年分は確定申告。マイナポータル連携で年末残高が自動入力される
住宅ローン控除を受ける最初の年分は、確定申告を行う必要があります。No.1230は、事前準備を行った場合、国税庁ホームページ「確定申告書作成コーナー」からマイナンバーカードを利用してe-Taxで申告する際、マイナポータル連携を利用して年末残高等情報を自動入力することができる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1230「調書方式による住宅借入金等特別控除」
住宅借入金等特別控除の適用を受ける最初の年分は、確定申告を行う必要があります。また、給与所得者の方は、2年目以後の年分は、年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。
最初の年の申告で、あわせてやっておきたいことがあります。2年目以降に使う「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(控除証明書)」の交付方法です。No.1230は、電子交付を希望する方は、e-Tax上であらかじめ電子交付に一括的に同意する手続きを事前(おおよそe-Taxによる控除証明書の交付を受けたい年分の10月末まで)に行うよう案内しています。また、調書方式では契約書等の一部の書類につき提出省略可能となる、ともしています。会社員の方が確定申告をする場面は会社員でも確定申告が必要な場合にまとめています。
2年目以後は年末調整。控除証明書は電子交付か書面交付
給与所得者は、2年目以後の年分は年末調整で住宅ローン控除を受けられます。No.1230は、年末調整で受ける場合は、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(控除申告書)」のデータ(または書面)を勤務先等に提出する、としています。
そのために必要な控除証明書は、受取方法によって届く時期が違います。
| 受取方法 | 交付される時期 |
|---|---|
| 電子交付 | 毎年11月中旬ごろ、e-Taxのメッセージボックスに控除証明書が格納される |
| 書面交付 | 入居2年目の11月下旬ごろ、入居2年目以降の住宅ローン控除適用期間に係る控除証明書がまとめて郵送される |
調書方式では、控除証明書の「住宅借入金等の年末残高に関する事項」欄や控除申告書の「住宅借入金等特別控除額」欄に、借換えなど一定の場合を除き、金融機関等から提出された年末残高等調書を基に年末残高金額や控除見込額が記載されています。自分で残高を転記しなくてよいのが調書方式のよいところです。勤務先に書面で出す必要がある場合は、No.1230は「QRコード付証明書作成システム」を利用して電子的控除証明書を書面出力し、提出するよう案内しています。年末調整の流れは年末調整の対象者と順序で整理しています。
自動入力されない場合と、確認しておきたい点
調書の情報に漏れがあると、マイナポータル連携の対象になりません。No.1230は、金融機関が提出した年末残高調書の「マイナンバー等」、「氏名」、「住所」、「生年月日」等の情報に漏れがある、もしくは正しく入力されていない場合はマイナポータル連携の対象とならず、その場合はお手元の住宅ローンの返済計画表等を基に入力画面から直接入力する、としています。
年末調整でも同じです。No.1230は、年末残高情報等が記載されていない場合には返済計画表等を基に年末残高を確認するよう求めています。また、金融機関等から2つ以上の年末残高等調書の提出がある場合や住宅借入金等特別控除の重複適用を受ける場合は、控除対象となる年末残高金額が控除証明書に記載されているか内容を確認のうえ、必要に応じて返済計画表等を基に控除額を計算するよう案内しています。自動入力だからといって確認を省かず、返済計画表の残高と突き合わせてください。
書面交付を選んだ方には、もうひとつ注意があります。No.1230は、住宅借入金の年末残高に関する事項等は入居2年目の年分の控除証明書にのみ記載され、3年目以降の年分については返済計画表等を基に控除額の計算を行う、としています。書面交付では3年目以降は自分で計算することになります。毎年自動で残高が入る電子交付のほうが手間は少なくなります。控除を受け忘れた年があれば、還付申告は5年間できるも参考にしてください。
よくある質問
住宅ローン控除の調書方式とは何ですか
調書方式とは、住宅ローンの債権者である金融機関等が税務署に年末残高等調書を提出し、国税当局から納税者に住宅ローンの年末残高等情報を提供する方式です。国税庁のタックスアンサーNo.1230は、令和4年度税制改正で、これまでの年末残高等証明書を用いる「証明書方式」から、年末残高等調書を用いる「調書方式」とする改正が行われた、としています。→ 本文で読む
調書方式で住宅ローン控除を受けるには、まず何をしますか
調書方式で控除を受けるには、借入先の金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出します。No.1230は、調書方式に対応した金融機関からの借入れについて住宅ローン控除の適用を受けるためには、借入先の金融機関に対し、マイナンバー等を記載した適用申請書(金融機関により様式は異なる)を提出する、としています。→ 本文で読む
マイナポータル連携で年末残高を自動入力するには、いつまでに準備が必要ですか
年末残高等情報を自動入力するには、確定申告の前にe-Taxからの情報取得を希望する事前準備が必要です。No.1230は、マイナポータルからの年末残高等情報の取得・各申告書への自動入力(マイナポータル連携)をするためには、確定申告前の事前準備としてe-Taxからの情報取得を希望する必要がある、としています。→ 本文で読む
住宅ローン控除の最初の年は確定申告が必要ですか
住宅ローン控除を受ける最初の年分は、確定申告を行う必要があります。No.1230は、事前準備を行った場合、国税庁ホームページ「確定申告書作成コーナー」からマイナンバーカードを利用してe-Taxで申告する際、マイナポータル連携を利用して年末残高等情報を自動入力することができる、としています。→ 本文で読む
2年目以後の住宅ローン控除は年末調整で受けられますか
給与所得者は、2年目以後の年分は年末調整で住宅ローン控除を受けられます。No.1230は、年末調整で受ける場合は、「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書(控除申告書)」のデータ(または書面)を勤務先等に提出する、としています。→ 本文で読む
年末残高が自動入力されないときはどうしますか
調書の情報に漏れがあると、マイナポータル連携の対象になりません。No.1230は、金融機関が提出した年末残高調書の「マイナンバー等」、「氏名」、「住所」、「生年月日」等の情報に漏れがある、もしくは正しく入力されていない場合はマイナポータル連携の対象とならず、その場合はお手元の住宅ローンの返済計画表等を基に入力画面から直接入力する、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1230 調書方式による住宅借入金等特別控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1230.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
住宅ローン控除の最初の年は、申告の前に事前準備を済ませておいてください。
調書方式では、借入先への適用申請書と、e-Taxからの情報取得の希望の順で進めます。事前準備の時期によって、年末残高の情報がメッセージボックスに届く日が変わります。書面で証明書が届くのを待っていると、申告の時期に間に合わないことがあります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
あわせて読む
同じテーマの記事
住宅ローン控除
住宅ローンの借換えと住宅ローン控除。続く条件と年末残高
住宅ローンを借り換えた場合、新しいローンは従前のローンを消滅させるための借入金なので原則として…
住宅ローン控除
転勤と住宅ローン控除。単身赴任なら継続、戻れば再適用
住宅ローン控除は、取得の日から6か月以内に住み、その年の12月31日まで住んでいることが要件で…
住宅ローン控除
住宅ローン控除の全体像。ローンなしでも使える3つの税額控除
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローン等を利用してマイホームの新築・取得・増改築…
住宅ローン控除
離婚の財産分与で持分を追加取得。住宅ローン控除は受けられる
離婚の財産分与で、夫婦共有だった自宅の相手の持分を追加取得した場合、住宅ローン控除の適用では新…