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源泉徴収

年末調整は毎月の源泉徴収と1年分の税額を一致させる手続。
対象は扶養控除等申告書を出した人です

秋になると、勤務先から書類の束が配られます。年末調整です。毎年のことなので流れ作業になりがちですが、この手続がそもそも何をしているのかを押さえておくと、書類の意味が変わって見えます。

年末調整は、毎月の給与から天引きしてきた税額と、1年分の本当の税額との差を精算する手続です。天引きの金額はその月の給与をもとにした概算ですから、そのままでは合いません。

誰が対象になるのか、どういう順序で計算するのか。国税庁のタックスアンサーNo.2662とNo.2665の本文で確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

年末調整は、1年間に源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき税額とを一致させる手続です。対象になるのは給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出している人で、1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人は対象になりません。年の中途で行う年末調整の対象になるのは、非居住者となった人、死亡によって退職した人など5つの場合です。計算は給与所得控除後の金額を求め、所得控除を引き、1,000円未満切捨てで税率を当てはめ、住宅借入金等特別控除を引き、102.1パーセントを乗じて100円未満を切り捨てる順序で行います。国税庁タックスアンサーNo.2662・No.2665をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

年末調整は何と何を一致させる手続か

まず、この手続の目的です。タックスアンサーNo.2662は、給与の支払者が給与を支払う際に源泉徴収を行っていることを述べたうえで、次のように書いています。

国税庁 タックスアンサー No.2662「年末調整のしかた」

その年1年間に給与から源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額と一致しません。このため、1年間に源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額を一致させる必要があります。この手続を年末調整といいます。

毎月の天引きは、その月の給与額をもとにした概算です。扶養親族が増えた、生命保険料を払った、賞与の額が見込みと違った。こうした事情は月々の計算には入っていませんから、1年分を通して見ると必ずずれます。そのずれを年末にまとめて精算するのが年末調整です。

なお、No.2662は所得税および復興特別所得税について、令和9年分以後は所得税、防衛特別所得税および復興特別所得税となることを注記しています。

対象になるのは扶養控除等(異動)申告書を提出している人

次に、誰が対象になるかです。入口はひとつです。

国税庁 タックスアンサー No.2662「年末調整のしかた」

年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人です。

No.2665はさらに、「年末調整を行う日までに提出している一定の人」としています。申告書を出していなければ、年末調整には入りません。掛け持ちで働いている方が、主たる勤務先以外では年末調整をされないのはこのためです。

そして、年末調整の対象になる人は、12月に行う場合と年の中途で行う場合とで違います。以下、それぞれ見ていきます。

給与の総額が2,000万円を超える人は対象外

申告書を出していても、除かれる人がいます。No.2665は12月に行う年末調整について、次の2つのいずれかに当てはまる人は除かれるとしています。

(1)1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人
(2)災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

2,000万円を超える方は年末調整の対象になりませんので、確定申告で精算することになります。見るのは支払うべきことが確定した給与の総額で、実際に受け取った金額ではありません。

12月に行う年末調整の対象になる人

通常の12月の年末調整です。No.2665は対象を次のように書いています。

国税庁 タックスアンサー No.2665「年末調整の対象となる人」

12月に行う年末調整の対象となる人は、会社などに1年を通じて勤務している人や、年の中途で就職し年末まで勤務している人(青色事業専従者も含みます。)です。

ここで見落としやすいのが青色事業専従者です。個人事業主が配偶者やご家族に専従者給与を支払っている場合、その方も年末調整の対象に含まれると明記されています。専従者だからと外してしまう例がありますので、確認してください。

年の中途で就職した方も、年末まで勤務していれば対象です。この場合は前職の給与を含めて計算しますので、前の勤務先の源泉徴収票が必要になります。

年の中途で年末調整を行う5つの場合

年末を待たずに年末調整を行う場合もあります。No.2665が挙げているのは次の5つです。

(1)海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人
(2)死亡によって退職した人
(3)著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます)
(4)12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
(5)いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます)

そして、No.2665はこう締めています。「したがって、年の中途で退職した人で(1)から(4)以外の人は年末調整の対象となりません。」

年の途中で辞めた方は、原則として年末調整をしません。源泉徴収票をお渡しして、ご本人に確定申告をしていただく形になります。ただし(5)に当たるパートタイマーの方は別で、本年中に支払を受ける給与の総額が136万円以下で、その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みがなければ、退職の時に年末調整を行います。

年末調整の順序。6つの段階

計算の順序も定められています。No.2662は、その人に1年間に支払うべきことが確定した給与の額を合計して、次の順序で行うとしています。

順やること
1その年の1月1日から12月31日までの間に支払うべきことが確定した給与の合計額から、給与所得控除後の給与等の金額を求める(「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」による)。子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用がある場合は、その額を差し引く
2上記1により求めた額から、扶養控除などの所得控除額を差し引く
3上記2により求めた金額(1,000円未満切捨て)に、所得税の税率を当てはめて税額を求める
4年末調整で住宅借入金等特別控除を行う場合は、その控除額を上記3により求めた税額から差し引く
5上記3または4の税額に102.1パーセントを乗じて求めた税額(100円未満切捨て)が、1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額になる
6源泉徴収をした合計額との差額を、還付または徴収する

順序が決められているのは、引くものの順番で結果が変わるからです。所得金額調整控除は給与所得控除後の給与等の金額から差し引くもので、所得控除ではありません。住宅借入金等特別控除は、税額を計算した後に税額から引くものです。

1,000円未満の切捨てが入るのは、税率を当てはめる前の段階です。所得控除を引いた後に切り捨てます。

102.1パーセントを乗じて100円未満切捨て

順序の5にある102.1パーセントは、復興特別所得税を含めた分です。所得税額に102.1パーセントを乗じた金額が、その人が1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額になります。

ここで100円未満を切り捨てます。税率を当てはめる前の段階では1,000円未満切捨て、最後の税額の段階では100円未満切捨て。切捨ての単位が2か所で違いますので、手計算で検算されるときは気をつけてください。

なお、この102.1パーセントという数字についても、No.2662は令和9年分以後は防衛特別所得税が加わる旨を冒頭で注記しています。制度が動く局面ですので、その年の様式と手引きで確認する必要があります。

還付になる場合と徴収になる場合

最後の精算です。No.2662は次のように書いています。

国税庁 タックスアンサー No.2662「年末調整のしかた」

源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額が1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額より多い場合には、その差額の税額を還付します。逆に、源泉徴収をした所得税および復興特別所得税の合計額が1年間に納めるべき所得税および復興特別所得税の額より少ない場合には、その差額の税額を徴収します。

年末調整は還付されるもの、と思われがちですが、建て付けは多ければ返す、少なければ取るです。年の途中で扶養親族が減った場合や、賞与の額が見込みより大きかった場合には徴収になることがあります。

還付・徴収の処理は給与の支払者が行いますから、事業者側は年末または翌月の給与で調整し、源泉徴収票を作成することになります。人を雇っている以上は毎年必ず通る手続です。はじめての年は、扶養控除等(異動)申告書の回収から順に組み立てていけば迷いません。ご不安があればお声がけください。

よくある質問

年末調整とはどのような手続ですか

まず、この手続の目的です。タックスアンサーNo.2662は、給与の支払者が給与を支払う際に源泉徴収を行っていることを述べたうえで、次のように書いています。 毎月の天引きは、その月の給与額をもとにした概算です。扶養親族が増えた、生命保険料を払った、賞与の額が見込みと違った。こうした事情は月々の計算には入っていませんから、1年分を通して見ると必ずずれます。 そのずれを年末にまとめて精算するのが年末調整です。→ 本文で読む

年末調整の対象になるのはどのような人ですか

No.2665はさらに、「年末調整を行う日までに提出している一定の人」としています。 申告書を出していなければ、年末調整には入りません。 掛け持ちで働いている方が、主たる勤務先以外では年末調整をされないのはこのためです。→ 本文で読む

給与が2,000万円を超えると年末調整はどうなりますか

申告書を出していても、除かれる人がいます。No.2665は12月に行う年末調整について、次の2つのいずれかに当てはまる人は除かれるとしています。 2,000万円を超える方は年末調整の対象になりませんので、 確定申告で精算することになります。 見るのは支払うべきことが確定した給与の総額で、実際に受け取った金額ではありません。→ 本文で読む

年の途中で退職した人は年末調整をしますか

年末を待たずに年末調整を行う場合もあります。No.2665が挙げているのは次の5つです。 そして、No.2665はこう締めています。 「したがって、年の中途で退職した人で(1)から(4)以外の人は年末調整の対象となりません。」→ 本文で読む

年末調整はどのような順序で計算しますか

計算の順序も定められています。No.2662は、その人に1年間に支払うべきことが確定した給与の額を合計して、次の順序で行うとしています。 順序が決められているのは、引くものの順番で結果が変わるからです。所得金額調整控除は 給与所得控除後の給与等の金額から差し引く もので、所得控除ではありません。住宅借入金等特別控除は、税額を計算した後に税額から引くものです。→ 本文で読む

年末調整で追加徴収になることはありますか

年末調整は還付されるもの、と思われがちですが、建て付けは 多ければ返す、少なければ取る です。年の途中で扶養親族が減った場合や、賞与の額が見込みより大きかった場合には徴収になることがあります。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.2662 年末調整のしかた」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2662.htm
  2. 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

年末調整は、人を雇っている事業者が毎年必ず通る手続です。

年末調整は、書類を集めるところから源泉徴収票の交付まで、期限の決まった作業が続きます。従業員が数名の事業所でも、扶養親族の判定や中途入社の方の前職分の取り込みで手が止まることがあります。毎月の源泉徴収とあわせてお引き受けできますので、はじめて人を雇った年でもご相談ください。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。