ふじみの会計事務所公認会計士・税理士|埼玉県ふじみ野市 LINEで相談

控除

子育て対応改修工事の税額控除。
対面キッチン・防音・収納増設などの標準的な費用の10%、限度額250万円、ローンなしでも使えます

子どもが生まれて、キッチンを対面式にしたい、階段に手すりを付けたい、子ども部屋を仕切りたい。そんな工事に所得税の税額控除があります。

答えを先に書くと、子育て対応改修工事の標準的な費用の額の10%(限度額250万円)と、併せて行う工事の費用の5%を、その年の所得税から差し引けます。住宅ローンを組んでいなくても使えるのが特徴です。

ただし、誰でも使えるわけではありません。年齢と家族構成で決まる「特例対象個人」であること、工事の種類、床面積、所得の上限など、要件が並びます。国税庁のタックスアンサーNo.1228で順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

子育て対応改修工事の税額控除は、40歳未満で配偶者がいる人、40歳未満の配偶者がいる人、19歳未満の扶養親族がいる人が、自宅に手すり・対面キッチン・防音・収納増設などの工事をして令和6年4月1日から令和10年12月31日までに住んだときに使えます。控除額は標準的な費用の額の10%(限度額250万円)とその他の工事費用の5%で、住宅ローンがなくても適用できます。国税庁タックスアンサーNo.1228をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

令和6年4月1日から令和10年12月31日までに住んだ人が対象。ローンなしでも使える

まず制度の枠を確かめます。国税庁のタックスアンサーNo.1228は、特例対象個人が自己の所有する居住用家屋について子育て対応改修工事を行い、その家屋を令和6年4月1日から令和10年12月31日までの間に居住の用に供したときに、一定の金額をその年分の所得税額から控除できる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.1228「子育て対応改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」

この控除は、住宅ローン等の利用がなくても適用できます。

住宅ローン控除は借入金があることが前提ですが、この控除は自己資金で工事をしても使えます。税額控除なので、計算した控除額がそのまま所得税から引かれます。

なお、注記として、その年の前年以前3年内の各年分に同一の住宅についてこの税額控除を適用したときは、その年分は適用できない、とあります。同じ家で何度も使える控除ではありません。

特例対象個人とは。40歳未満で配偶者がいる、または19歳未満の扶養親族がいる

この控除を使えるのは「特例対象個人」に限られます。No.1228は、次の3つのいずれかに該当する個人としています。

特例対象個人
(1)年齢40歳未満であって配偶者を有する者
(2)年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者
(3)年齢19歳未満の扶養親族を有する者

子どもがいる家庭は(3)に、子どもがまだいなくても夫婦のどちらかが40歳未満なら(1)または(2)に当たります。年齢や配偶者・扶養親族に該当するかどうかは、居住年の12月31日の現状で判定します(年の途中で死亡した場合はその時)。

対象になる子育て対応改修工事の種類

No.1228は、子育て対応改修工事を次の6つの区分で定めています。それぞれの中身も細かく決まっていますので、表にまとめます。

区分工事の内容
(1)子どもの事故防止壁・柱の出隅を衝突事故の防止に資する構造に改良/床仕上げ材を転倒事故の防止に資する構造に切替え/転落防止の手すりの取付け/戸を指の挟み込み防止の構造に切替え/乳幼児の侵入防止の柵の取付け/コンセントを差込口が開閉する構造または乳児の手が届かない高さのものに切替え
(2)キッチンキッチンを対面式のものに取り替える工事
(3)開口部の防犯開口部を侵入防止対策上有効な措置が講じられたものとする工事
(4)収納棚その他の収納設備を増設する工事
(5)防音窓の防音性を高める/界壁に防音上有効な下地材・仕上げ材を取り付ける/床仕上げ構造を重量床衝撃音・軽量床衝撃音の低減に資するものとする
(6)間仕切壁の変更専ら子どもの就寝・学習などに使う居室の増設/調理室と洗濯機・乾燥機などがある洗面所・脱衣所などを近接させる/調理をしながら居室を見渡しやすい構造とする

対面キッチンへの取替え、子ども部屋を作る間仕切りの変更、窓の防音、収納の増設など、子育て世帯がよく行う工事が並んでいます。これらに当たるかどうかは建築士等が発行する増改築等工事証明書で確認しますので、工事の前に相談しておくのが確実です。

床面積50平方メートル以上・所得2,000万円以下など7つの要件

特例対象個人が対象の工事をしただけでは足りません。No.1228は、次のすべての要件を満たすときに適用できる、として7つを挙げています。

番号適用要件
1自己が所有する家屋について子育て対応改修工事をして、令和6年4月1日から令和10年12月31日までの間に自己の居住の用に供していること
2子育て対応改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること
3工事後の床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供し、合計所得金額が2,000万円以下であること。または、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供し、合計所得金額が1,000万円以下であること(40平方メートル以上50平方メートル未満は令和8年1月1日以後に居住した場合)
42以上の住宅を所有している場合は、主として居住の用に供すると認められる住宅であること
5子育て対応改修工事に係る標準的な費用の額(補助金等を受ける場合はその額を控除した額)が50万円を超えること
6工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
7令和8年1月1日以後に居住する場合、前年および前々年に同一の住宅についてこの控除を受けていないこと

床面積は登記簿に表示されている床面積で判断します。マンションは共有部分を含めず登記簿上の専有部分、店舗併用住宅は建物全体、夫婦などで共有する住宅は持分を乗じず建物全体の床面積で判断します。要件5の「標準的な費用の額が50万円を超える」は、実際に払った金額ではなく、工事の種類ごとに定められた単価で計算した額で見ます。

控除額はA×10%+B×5%。Aの限度額は250万円

控除額の算式は、No.1228に「控除額 = A×10%+B×5%」と示されています。AとBの中身を確かめます。

内容
A子育て対応改修工事の標準的な費用の額(補助金等を受ける場合はその額を控除した後の金額)。控除対象限度額は250万円
B次の(1)(2)のいずれか低い金額(1,000万円からAを控除した金額を限度)
(1)標準的な費用の額のうち限度額を超える部分と、併せて行う増築・改築その他一定の工事の費用(補助金等控除後)の合計額
(2)子育て対応改修工事の標準的な費用の額

Aの「標準的な費用の額」は、工事の種類ごとに単位当たりの標準的な工事費用の額として定められた金額に、工事を行った床面積等を乗じて計算した金額で、増改築等工事証明書で確認できます。実際の見積額ではなく、国が決めた単価で計算した額に10%を掛けると理解してください。AまたはBのそれぞれから算出した控除額のうち100円未満の端数は切り捨てます。

なお、省エネ・バリアフリー・耐震・多世帯同居の各改修工事の控除と併せて受ける場合は、Bの限度額は1,000万円から各改修工事に係るAの合計額を控除した金額になります。

確定申告に添える書類

この控除は確定申告で受けます。No.1228は、必要事項を記載した確定申告書に次の書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する、としています。会社員の方も年末調整では受けられません。

  • 住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
  • 建築士等が発行した「増改築等工事証明書」
  • 家屋の「登記事項証明書」などで床面積が50平方メートル以上、または40平方メートル以上50平方メートル未満であることを明らかにする書類

「建築士等」とは、一級建築士、二級建築士または木造建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関および住宅瑕疵担保責任保険法人です。登記事項証明書は、計算明細書への不動産番号の記載に代えられます。給与所得の源泉徴収票は平成31年4月1日以後、添付・提示が不要ですが、申告書を作るときには必要ですので手元に置いてください。会社員の確定申告の全体像は会社員でも確定申告が必要な場合で整理しています。

住宅ローン控除との選択適用。選び直しはできない

借入金で工事をした場合、住宅借入金等特別控除(増改築等)の要件も満たすことがあります。No.1228は、いずれの適用要件も満たしているときは、これらの控除のいずれか1つの選択適用となる、としています。両方は使えません。

国税庁 タックスアンサー No.1228「子育て対応改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」

この選択により、住宅特定改修特別税額控除を適用して確定申告書を提出した場合には、その後においても、その選択し適用した住宅特定改修特別税額控除を適用することになり、選択替えはできませんのでご注意ください。

この税額控除は工事をした年に一度で終わりますが、住宅ローン控除は毎年続きます。一度選んで申告すると、後から「ローン控除のほうが得だった」と気づいても変えられません。借入金で工事をした方は、申告する前にどちらが有利かを比べてください。

よくある質問

子育て対応改修工事の税額控除は住宅ローンがなくても使えますか

まず制度の枠を確かめます。国税庁のタックスアンサーNo.1228は、特例対象個人が自己の所有する居住用家屋について子育て対応改修工事を行い、その家屋を 令和6年4月1日から令和10年12月31日までの間 に居住の用に供したときに、一定の金額をその年分の所得税額から控除できる、としています。→ 本文で読む

子育て対応改修工事の税額控除は誰が使えますか

この控除を使えるのは「特例対象個人」に限られます。No.1228は、次の3つのいずれかに該当する個人としています。 子どもがいる家庭は(3)に、子どもがまだいなくても夫婦のどちらかが40歳未満なら(1)または(2)に当たります。 年齢や配偶者・扶養親族に該当するかどうかは、居住年の12月31日の現状で判定 します(年の途中で死亡した場合はその時)。→ 本文で読む

対面キッチンへの取替えは子育て対応改修工事になりますか

No.1228は、子育て対応改修工事を次の6つの区分で定めています。それぞれの中身も細かく決まっていますので、表にまとめます。 対面キッチンへの取替え、子ども部屋を作る間仕切りの変更、窓の防音、収納の増設 など、子育て世帯がよく行う工事が並んでいます。これらに当たるかどうかは建築士等が発行する増改築等工事証明書で確認しますので、工事の前に相談しておくのが確実です。→ 本文で読む

子育て対応改修工事の税額控除に所得の上限はありますか

特例対象個人が対象の工事をしただけでは足りません。No.1228は、次のすべての要件を満たすときに適用できる、として7つを挙げています。 床面積は登記簿に表示されている床面積で判断します。マンションは共有部分を含めず登記簿上の専有部分、店舗併用住宅は建物全体、夫婦などで共有する住宅は持分を乗じず建物全体の床面積で判断します。 要件5の「標準的な費用の額が50万円を超える」は、実際に払った金額ではなく、工事の種類ごとに定められた単価で計算した額 で見ます。→ 本文で読む

子育て対応改修工事の控除額はどう計算しますか

控除額の算式は、No.1228に「控除額 = A×10%+B×5%」と示されています。AとBの中身を確かめます。 Aの「標準的な費用の額」は、工事の種類ごとに単位当たりの標準的な工事費用の額として定められた金額に、工事を行った床面積等を乗じて計算した金額で、増改築等工事証明書で確認できます。 実際の見積額ではなく、国が決めた単価で計算した額に10%を掛ける と理解してください。AまたはBのそれぞれから算出した控除額のうち100円未満の端数は切り捨てます。→ 本文で読む

子育て対応改修工事の控除は年末調整で受けられますか

この控除は確定申告で受けます。No.1228は、必要事項を記載した確定申告書に次の書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する、としています。会社員の方も年末調整では受けられません。→ 本文で読む

子育て対応改修の税額控除と住宅ローン控除は併用できますか

借入金で工事をした場合、住宅借入金等特別控除(増改築等)の要件も満たすことがあります。No.1228は、いずれの適用要件も満たしているときは、これらの控除のいずれか1つの選択適用となる、としています。両方は使えません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1228 子育て対応改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1228.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

工事の前に、増改築等工事証明書を出せる建築士等に相談してください。

控除額の計算に使う標準的な費用の額は、増改築等工事証明書で確認します。対面キッチンや防音工事のように、子育て対応改修工事に当たるかどうかが工事の内容で決まるものは、着工前に確かめておくと申告のときに困りません。住宅ローン控除との選択も、先に比べておく必要があります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。