控除
住宅ローン控除の対象になる借入金の条件。
償還期間10年以上・住宅の取得等に直接必要・一定の借入先の3つを満たすもの
住宅ローン控除の相談で意外と多いのが、「このローンは控除の対象になりますか」という質問です。親族からの借入れ、勤務先からの融資、土地だけ先に買ったときのローンなど、迷う場面は少なくありません。
答えを先に書くと、対象になるのは、住宅の取得等に直接必要な借入金で、償還期間が10年以上の割賦償還で、一定の借入先から借りたもの、という3つの要件をすべて満たすものです。
利息に対応する部分は含みません。そして、勤務先からの無利子や低利の借入金のように、条件を満たしているように見えても対象外になるものがあります。国税庁のタックスアンサーNo.1225で順に確かめていきます。
この記事の要点
住宅ローン控除の対象になる借入金は、住宅の新築・取得・増改築等のために直接必要で、償還期間10年以上の割賦償還で返済し、金融機関・住宅金融支援機構・勤務先などの一定の者から借りたもの、という3つの要件をすべて満たすものです。敷地の借入金も含まれますが、その年の12月31日に建物の借入金がなければ対象外です。勤務先からの無利子や利率0.2パーセント未満の借入金は対象になりません。国税庁タックスアンサーNo.1225をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
3つの要件をすべて満たす借入金等が対象
住宅ローン控除の対象になる借入金等は、借入の目的、償還期間、借入先の3つの要件をすべて満たすものです。国税庁のタックスアンサーNo.1225は、住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等(借入金または債務)をこのように定めています。利息に対応するものは除かれます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 借入の目的 | 住宅の新築・取得・増改築等のためのもので、かつ住宅の取得等のために直接必要な借入金等であること |
| 償還期間 | 償還期間10年以上の割賦償還、または割賦払の期間10年以上の割賦払であること |
| 借入先 | 一定の者からの借入金等であること |
住宅ローン控除は、ローンの年末残高をもとに税額から差し引く仕組みです。ですから、その残高が「控除の対象になる借入金」でなければ、そもそも計算に入りません。3つの要件を1つずつ見ていきます。
借入の目的。住宅の取得等に直接必要なもの。敷地も含む
対象になるのは、住宅の新築、取得または増改築等をするためのもので、かつ、住宅の取得等のために直接必要な借入金等です。住宅の新築や取得とともに取得するその住宅の敷地の取得のための借入金等も含まれます。
「直接必要」がポイントです。家を建てるための工事代金や、住宅と敷地の購入代金に充てる借入れは対象です。No.1225は、敷地について次の注意を付けています。
国税庁 タックスアンサー No.1225「住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」
その年の12月31日に建物についてこの控除対象となる借入金等がない場合は、たとえ敷地についての借入金等を有していたとしても、その借入金等はなかったものとみなされます。
土地のローンだけが残っていて、建物のローンは完済しているという年は、土地のローン残高があっても控除の対象にはなりません。敷地の借入金は、建物の借入金があってはじめて対象になるという関係です。
償還期間。10年以上の割賦償還であること
償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの、または割賦払の期間が10年以上の割賦払の方法により支払われるものが対象です。10年に満たないローンや、一括返済の借入れは対象になりません。
割賦償還とは、No.1225の注1によれば、返済の期日が月や年など1年以下の期間を単位としておおむね規則的に到来し、かつ、それぞれの期日において返済すべき額が当初において具体的に確定している返済の方法です。毎月の返済額が決まっている一般の住宅ローンはこれに当たります。
10年以上の期間の数え方にも注意があります。注2は、借入金等の債務を負っている期間ではなく、最初の返済等の時から返済等が終了する時までの期間をいう、としています。契約日からではなく、初回返済から最終返済までで10年以上あるかを見ます。
借入先。金融機関・住宅金融支援機構・勤務先など
借入先は一定の者に限られます。No.1225は、借入金または債務の範囲を(1)から(13)まで列挙し、住宅の新築や取得、敷地とあわせた取得、増改築等という区分ごとに、どの項番のものが対象になるかを表にしています。
代表的な借入先を挙げると、次のようなものです。
- 銀行、信用金庫、労働金庫、信用協同組合、農業協同組合、生命保険会社、損害保険会社などの金融機関
- 独立行政法人住宅金融支援機構、地方公共団体、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合など
- 貸金業法に規定する貸金業者で、住宅の建築や取得に必要な資金の長期貸付けの業務を行うもの
- 給与所得者の使用者(住宅の取得等をした者が、その役員等である場合を除く)
- 住宅の新築や増改築等の工事を請け負わせた建設業者からの、工事の請負代金に充てるための借入金
- 宅地建物取引業者から取得した住宅の対価に充てるために、その宅地建物取引業者から借り入れた借入金
建設業者や宅地建物取引業者への請負代金・購入代金の未払いの債務や、勤務先に対する債務も、一定のものは対象に入ります。逆に、この列挙に入らない相手からの借入れは対象外です。親や親族からの借入れは、No.1225の列挙のどこにも出てきません。また、勤務先からの借入れは対象になり得ますが、役員等が自分の会社から借りる場合は除かれています。
敷地を先に買ったときの借入金の扱い
住宅を建てる前に土地を買い、その土地のローンを組んだ場合も、一定の要件を満たせば対象になります。No.1225は、住宅の新築の日前2年以内に敷地を取得した場合の借入金や、建築条件付で敷地を取得した場合の借入金を、(10)から(13)で定めています。
| 敷地を取得した状況 | 対象になる借入金等 |
|---|---|
| 住宅の新築の日前2年以内にその敷地を取得 | (10)の借入金または債務 |
| 住宅の新築の日前に3か月以内の建築条件付でその敷地を取得 | (11)の借入金 |
| 住宅の新築の日前に一定期間内の建築条件付でその敷地を取得 | (12)の借入金または債務 |
| 住宅の新築の日前に、新築工事の着工の日の後に受領した借入金で敷地を取得 | (13)の借入金 |
(10)の借入金には「一定の要件」が付いています。新築住宅を目的とする抵当権の設定がされていること、あるいは一定期間内に住宅を建築することが貸付けの条件になっていて、その条件に従って建築と取得がされたことの確認を受けていること、などです。土地を先に買うときは、ローンの契約に住宅を建てる条件や抵当権の設定が入っているかが分かれ目になります。契約前に金融機関に確かめておくと安心です。
対象にならない借入金。勤務先からの無利子・低利融資など
借入先や期間の要件を満たしていても、住宅ローン控除の対象にならない借入金等があります。No.1225は、使用者または事業主団体から使用人としての地位に基づいて受けた、無利子または低利の借入金など3つを挙げています。
- 使用者または事業主団体から使用人としての地位に基づく無利子または0.2パーセント(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1パーセント)未満の利率による借入金等
- 使用者または事業主団体から使用人としての地位に基づき利子の援助を受けたため、給与所得者が実際に負担する金利が0.2パーセント(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1パーセント)未満の利率となる借入金等
- 使用者または事業主団体から使用人としての地位に基づく時価の2分の1未満の価額で取得したマイホームの借入金等
勤務先の社内融資は借入先としては対象に入りますが、利率が0.2パーセント未満だと対象から外れます。会社が利子を補助して、本人の負担する金利が0.2パーセント未満になる場合も同じです。勤務先の住宅融資を使うときは、実際に自分が負担する利率がいくらかを確かめてください。住宅ローン控除を受ける初年度は確定申告が必要ですので、会社員でも確定申告が必要な7つの場合もあわせてご覧ください。
よくある質問
住宅ローン控除の対象になる借入金の要件は何ですか
住宅ローン控除の対象になる借入金等は、借入の目的、償還期間、借入先の3つの要件をすべて満たすものです。国税庁のタックスアンサーNo.1225は、住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等(借入金または債務)をこのように定めています。利息に対応するものは除かれます。→ 本文で読む
土地のローンだけが残っている年も住宅ローン控除を受けられますか
対象になるのは、住宅の新築、取得または増改築等をするためのもので、かつ、住宅の取得等のために直接必要な借入金等です。住宅の新築や取得とともに取得するその住宅の敷地の取得のための借入金等も含まれます。→ 本文で読む
返済期間が10年未満のローンは住宅ローン控除の対象になりますか
償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの、または割賦払の期間が10年以上の割賦払の方法により支払われるものが対象です。10年に満たないローンや、一括返済の借入れは対象になりません。→ 本文で読む
親からの借入金は住宅ローン控除の対象になりますか
借入先は一定の者に限られます。No.1225は、借入金または債務の範囲を(1)から(13)まで列挙し、住宅の新築や取得、敷地とあわせた取得、増改築等という区分ごとに、どの項番のものが対象になるかを表にしています。→ 本文で読む
住宅を建てる前に買った土地のローンは住宅ローン控除の対象になりますか
住宅を建てる前に土地を買い、その土地のローンを組んだ場合も、一定の要件を満たせば対象になります。No.1225は、住宅の新築の日前2年以内に敷地を取得した場合の借入金や、建築条件付で敷地を取得した場合の借入金を、(10)から(13)で定めています。→ 本文で読む
勤務先からの無利子の借入金は住宅ローン控除の対象になりますか
借入先や期間の要件を満たしていても、住宅ローン控除の対象にならない借入金等があります。No.1225は、使用者または事業主団体から使用人としての地位に基づいて受けた、無利子または低利の借入金など3つを挙げています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1225.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
住宅ローン控除を申告する前に、借入先と返済期間を確かめてください。
住宅ローン控除の対象になるかどうかは、どこから借りたか、返済期間が10年以上か、住宅の取得等に直接必要な借入れかで決まります。勤務先からの融資や土地を先に買ったときのローンは、条件が細かく分かれています。金銭消費貸借契約書と返済予定表をお持ちいただければ、対象になるかを確認できます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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