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譲渡

不動産を売ったときの取得費となるもの。
購入代金だけでなく、登録免許税・仲介手数料・造成費・使用開始までの利子も入ります

土地や建物を売って利益が出ると譲渡所得の税金がかかりますが、「買ったときの値段」だけを取得費にしている方が少なくありません。

答えを先に書くと、取得費には、購入代金のほかに、買ったときの登録免許税や不動産取得税、仲介手数料、造成費、使用開始までの借入金の利子なども含められます。取得費が増えれば、譲渡所得は減ります。

国税庁のタックスアンサーNo.3252は、取得費に含まれる主なものを8つ挙げています。売却の前に、購入当時の資料を引っ張り出して確かめる価値があります。順に確認します。

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この記事の要点

土地や建物の譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いて計算します。取得費には購入代金・建築代金・購入手数料のほか設備費や改良費が含まれ、建物は減価償却費相当額を差し引きます。購入時の登録免許税・不動産取得税・印紙税、借主への立退料、造成費、測量費、所有権を確保する訴訟費用、おおむね1年以内の建物取壊し費用、使用開始日までの借入金利子、違約金も取得費です。国税庁タックスアンサーNo.3252・No.3255をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

取得費の基本。購入代金・建築代金・購入手数料・設備費・改良費

譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。国税庁のタックスアンサーNo.3252は、取得費には売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか、設備費や改良費なども含まれる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.3252「取得費となるもの」

取得費には、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます。

購入代金や建築代金は分かりやすいところです。見落としやすいのは購入時に不動産業者へ払った仲介手数料(購入手数料)と、購入後に加えた設備費や改良費です。たとえば、買ったあとに給湯設備を入れ替えた、外壁を大きく改修したといった費用は、建物の価値を高める改良費として取得費に加わります。売却の前に、購入当時からの領収書を集めてください。

建物は減価償却費相当額を差し引く

建物の取得費には、土地と違う調整があります。No.3252は、建物の取得費は、購入代金または建築代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額になる、としています。

建物は年月とともに価値が減っていくと考えますので、買った値段そのままではなく、使った年数分の価値の減少を差し引いた残りが取得費です。土地は減価償却しませんので、土地の取得費は購入代金のままです。土地と建物を一括で買っている場合は、まず両方の金額を分けるところから始めます。なお、購入当時の資料がなく取得費が分からない場合の扱いは取得費が分からない不動産を売ったらで整理しています。

購入時に納めた登録免許税・不動産取得税・印紙税

ここからはNo.3252が「その他の取得費」として挙げる8項目です。1つめは税金です。土地や建物を購入したときに納めた登録免許税(登記費用も含む)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税は取得費に含まれます。購入だけでなく、贈与、相続または遺贈による取得も含みます。

その他の取得費(No.3252)
(1)購入時に納めた登録免許税(登記費用を含む)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税
(2)借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料
(3)土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った造成費用
(4)土地の取得に際して支払った土地の測量費
(5)所有権などを確保するために要した訴訟費用
(6)建物付の土地を購入して、おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用
(7)購入のために借り入れた資金の利子のうち、実際に使用開始する日までの期間に対応する部分
(8)既に締結されている購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金

ただし、税金には条件があります。No.3252は、業務の用に供される資産の場合には、これらの税金は取得費に含まれない、としています。賃貸アパートのように事業や業務に使っていた建物の登録免許税や不動産取得税は、取得した年の必要経費になっているはずですので、取得費には入れません。全体の前提として、事業所得などの必要経費に算入されたものは取得費に含まれない、とも書かれています。

立退料・造成費・測量費・訴訟費用。土地を自分のものにして使えるようにする費用

2つめから5つめは、土地を自分のものにし、使える状態にするまでにかかった費用です。立退料、造成費、測量費、訴訟費用の4つで、いずれも土地の値段の一部として取得費に入ります。まず立退料です。No.3252は、借主がいる土地や建物を購入するときに、借主を立ち退かせるために支払った立退料は取得費、としています。買う側が払う立退料はこちらです。売る側が払う立退料は譲渡費用になりますので、立退料の全体像は立退料は必要経費か取得費かで確認してください。

次に造成費用です。土地の埋立てや土盛り、地ならしをするために支払った費用が取得費に含まれます。そして測量費です。土地の取得に際して支払った土地の測量費が取得費です。買った土地をならし、境界を測って、使える形にするまでの費用は、土地の値段の一部と考えます。

5つめは訴訟費用です。No.3252は、所有権などを確保するために要した訴訟費用を取得費に挙げています。例として、所有者について争いのある土地を購入した後、紛争を解決して土地を自分のものにした場合に、それまでにかかった訴訟費用を示しています。

国税庁 タックスアンサー No.3252「取得費となるもの」

なお、相続財産である土地を遺産分割するためにかかった訴訟費用等は、取得費になりません。

相続でもめて弁護士費用がかかった、という場合は取得費にできません。「自分のものにするため」の費用は入り、「相続人の間で分けるため」の費用は入らないという区別です。相続した不動産を売る場合の取得費については、相続税の一部を足せる特例もあります。相続した不動産の取得費加算で整理しています。

買ってすぐ壊した建物の代金と取壊し費用

6つめは、古い家が建っている土地を買って、その家を壊した場合です。No.3252は、建物付の土地を購入して、その後おおむね1年以内に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用は、取得費になる、としています。

この場合、建物の代金と壊す費用は、建物の取得費ではなく土地の取得費に入ります。最初から土地が目的で、建物はおまけだったと見るからです。おおむね1年以内という時期と、当初から土地の利用が目的だったという事情の両方がポイントです。何年も住んでから壊した場合は、この扱いにはなりません。

使用開始までの借入金の利子と、乗り換えの違約金

7つめは借入金の利子です。No.3252は、土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を実際に使用開始する日までの期間に対応する部分の利子は取得費、としています。ローンを組んで買い、引き渡しから住み始めるまでに期間があれば、その間の利息が対象です。

使い始めた後の利息は、取得費には入りません。住宅なら家計の支出、賃貸物件なら不動産所得の必要経費です。取得費に入るのは「使い始めるまで」に限られることに注意してください。

8つめは違約金です。既に締結されている土地などの購入契約を解除して、他の物件を取得することとした場合に支出する違約金も取得費です。A物件の契約を解除してB物件を買った場合、A物件の違約金がB物件の取得費に入る、ということです。

取得費と譲渡費用の違い。維持管理の費用はどちらにも入らない

取得費と並んで引けるのが譲渡費用です。国税庁のタックスアンサーNo.3255は、譲渡費用とは土地や建物を売るために直接かかった費用のこと、としています。売るために支払った仲介手数料、売主が負担した印紙税、貸家を売るために借家人に払う立退料、土地を売るための建物の取壊し費用とその建物の損失額、より有利な条件で売るために払った違約金、借地権を売るときの名義書換料などです。

費用取得費(買うとき)譲渡費用(売るとき)
仲介手数料購入手数料として取得費売却の仲介手数料は譲渡費用
印紙税購入時のものは取得費(業務用資産を除く)売主が負担したものは譲渡費用
立退料買うときに借主へ払ったものは取得費貸家を売るために借家人へ払ったものは譲渡費用
建物の取壊し費用買ってすぐ壊した場合は土地の取得費土地を売るために壊した場合は譲渡費用

同じ名前の費用が、買うときは取得費、売るときは譲渡費用と、両側に出てきます。どちらに入れても譲渡所得から引けますので、大切なのはどちらにも入らない費用を見分けることです。No.3255は、修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用、売った代金の取立てのための費用は譲渡費用にならない、としています。持っている間の固定資産税や日常の修繕費は、取得費でも譲渡費用でもありません。

よくある質問

不動産の取得費には何が含まれますか

譲渡所得は、 売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて 計算します。国税庁のタックスアンサーNo.3252は、取得費には売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか、設備費や改良費なども含まれる、としています。→ 本文で読む

建物の取得費は買った値段のままですか

建物の取得費には、土地と違う調整があります。No.3252は、建物の取得費は、購入代金または建築代金などの合計額から 所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた金額 になる、としています。→ 本文で読む

不動産を買ったときの登録免許税や不動産取得税は取得費になりますか

ここからはNo.3252が「その他の取得費」として挙げる8項目です。1つめは税金です。土地や建物を購入したときに納めた 登録免許税(登記費用も含む)、不動産取得税、特別土地保有税(取得分)、印紙税 は取得費に含まれます。購入だけでなく、贈与、相続または遺贈による取得も含みます。→ 本文で読む

古家付きの土地を買ってすぐ壊した費用は取得費になりますか

6つめは、古い家が建っている土地を買って、その家を壊した場合です。No.3252は、建物付の土地を購入して、その後 おおむね1年以内 に建物を取り壊すなど、当初から土地の利用が目的であったと認められる場合の建物の購入代金や取壊しの費用は、取得費になる、としています。→ 本文で読む

住宅ローンの利息は取得費になりますか

7つめは借入金の利子です。No.3252は、土地や建物を購入するために借り入れた資金の利子のうち、その土地や建物を 実際に使用開始する日までの期間に対応する部分 の利子は取得費、としています。ローンを組んで買い、引き渡しから住み始めるまでに期間があれば、その間の利息が対象です。→ 本文で読む

固定資産税や修繕費は取得費や譲渡費用になりますか

取得費と並んで引けるのが譲渡費用です。国税庁のタックスアンサーNo.3255は、譲渡費用とは 土地や建物を売るために直接かかった費用 のこと、としています。売るために支払った仲介手数料、売主が負担した印紙税、貸家を売るために借家人に払う立退料、土地を売るための建物の取壊し費用とその建物の損失額、より有利な条件で売るために払った違約金、借地権を売るときの名義書換料などです。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3252 取得費となるもの」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm
  2. 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

売却を決めたら、買ったときの書類を先に集めてください。

売買契約書、登記の領収書、不動産取得税の納税通知書、仲介手数料の領収書、造成や測量の請求書、借入金の返済予定表。これらが取得費の裏付けになります。建物の減価償却費相当額の計算や、譲渡費用との振り分けもあわせて確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。