ふじみの会計事務所公認会計士・税理士|埼玉県ふじみ野市 LINEで相談

譲渡

事業用資産の買換え特例が使える「事業用の資産」の範囲。
事業に準ずる貸付けは入り、空き地・空き家・一時的な利用は入りません

土地や建物を売って、別の土地や建物を買う。このとき事業用資産の買換えの特例を使うと、譲渡所得の課税を将来に繰り延べられることがあります。

ただしこの特例には、売る資産は「事業に使われていたもの」、買う資産は「事業に使うもの」でなければならないという入口の条件があります。ここで引っかかる方が多いのです。

国税庁のタックスアンサーNo.3402は、この「事業用の資産」の範囲を説明しています。小規模な貸付けは入るのか、空き地や駐車場はどうか、順に確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

事業用資産の買換えの特例を受けるには、売った土地建物等が事業に使われていたものであり、買った資産も事業に使うことが必要です。事業といえる規模でなくても、相当の対価を得て継続的に行う不動産の貸付けなど「事業に準ずるもの」に使う資産は事業用資産に入ります。一方、棚卸資産、特例のためだけに一時的に事業に使った資産、空閑地や空き家は当たりません。特別の施設を設けていない駐車場も空閑地です。国税庁タックスアンサーNo.3402をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

売る資産も買う資産も、事業に使うことが必要

事業用資産の買換えの特例は、売った資産と買った資産の両方が事業用であることが前提です。国税庁のタックスアンサーNo.3402は、この特例の適用を受けるためには、売った土地建物等および船舶(譲渡資産)が事業に使われていたものであることが必要で、また、買換資産を事業に使うことが必要、としています。

国税庁 タックスアンサー No.3402「事業用の資産の範囲」

事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためには、売った土地建物等および船舶(譲渡資産)が事業に使われていたものであることが必要です。また、買換資産を事業に使うことが必要です。

ここでいう事業には、農業、製造業、小売業などいろいろなものがあります。自宅を売って自宅を買うのはこの特例の対象外で、店舗や工場、賃貸物件のような事業に使う資産どうしの買換えが対象です。特例そのものの内容は、国税庁のタックスアンサーのコード3405「事業用の資産を買い換えたときの特例」に説明があります。

事業に準ずるものも事業用資産。規模が小さい貸付けでもよい

「事業」と聞くと、大きな規模を想像するかもしれません。しかしNo.3402は、事業に準ずるものの用途に使われている土地建物等および船舶も、特例が受けられる事業用資産になる、としています。事業といえるほどの規模でなくてもよい、ということです。

国税庁 タックスアンサー No.3402「事業用の資産の範囲」

事業に準ずるものとは、例えば不動産の貸付けなどの場合で事業といえるほどの規模ではないものの相当の対価を得て継続的に行われるものをいいます。

典型的なのは、アパート1棟や区分マンション1室、駐車場1か所といった小規模な貸付けです。「相当の対価を得て」「継続的に」という2つの条件を満たせば、事業に準ずるものとして事業用資産に入ります。それぞれの判定の仕方を、次の2つの節で見ます。なお、所得税で不動産所得が事業的規模かどうかを見る基準とは別の話です。そちらは不動産所得の事業的規模で整理しています。

相当の対価を得ているか。必要経費を回収して利益が出ているか

1つめの条件、「相当の対価」は、利益が出ているかどうかで見ます。No.3402は、相当の対価を得ているかどうかは、不動産の貸付けなどの場合、減価償却費や固定資産税などの必要経費を回収した後において、なお相当の利益が生じているかどうかにより判断する、としています。

家賃を受け取っていても、その家賃が建物の減価償却費や固定資産税にも届かないような低い金額であれば、相当の対価とはいえません。親族に格安で貸している、知人に固定資産税程度で貸している、という場合は、この条件で外れる可能性があります。賃料の水準が、経費をまかなって利益が残るものになっているかを、収支で確かめてください。

継続的に行われているか。契約時点の現況で判定

2つめの条件は継続性です。No.3402は、継続的に行われているかどうかについては、原則として、貸付けなどに係る契約の効力が発生した時点の現況において、その貸付けなどが相当期間継続して行われることが予定されていたかどうかにより判定する、としています。

結果として短期間で終わったかどうかではなく、契約したときに長く続ける予定だったかで見る、ということです。もう1つ、No.3402は、対価を一度に受け取り、その後全く賃料などの対価を受けていないときは、継続的に対価を得ていることにはならない、としています。一括で権利金のようなものを受け取っただけで、その後の賃料がない形は、継続的な貸付けとは扱われません。

事業用資産に当たらないもの。棚卸資産・一時的な利用

No.3402は、事業用資産に当てはまらない資産を3つ挙げています。1つめは棚卸資産、雑所得の基因となる土地および土地の上に存する権利です。不動産業者が販売用に持っている土地は商品(棚卸資産)であって、事業に使う資産ではありません。

2つめは、事業用資産の買換えの特例の適用を受けるためだけの目的で、一時的に事業の用途に使ったと認められる資産です。売る直前だけ形式的に貸し付けて事業用に見せる、という使い方は認められません。特例のためだけの一時的な利用は、事業用とは見られないということです。3つめの空閑地・空き家は次の節で説明します。

空き地・空き家は事業用資産ではない。施設のない駐車場も

最も引っかかりやすいのがここです。No.3402は、空閑地である土地や空き家である建物等は事業用資産に当たらない、としています。何にも使っていない土地や、誰も住んでいない建物を売っても、買換えの特例は使えません。

国税庁 タックスアンサー No.3402「事業用の資産の範囲」

運動場、物品置場、駐車場などとして利用している土地であっても、特別の施設を設けていないものは、この空閑地に含まれます。

この注記が重要です。「駐車場として貸しているから事業用だ」と考えがちですが、土地をならしただけで特別の施設を設けていない駐車場や物品置場は、空閑地に含まれます。アスファルト舗装や車止め、フェンス、精算機といった施設があるかどうかが分かれ目になります。相続した土地をそのまま月極駐車場にしているような場合は、売る前にこの点を確かめてください。駐車場の貸付けには消費税の論点もあります。駐車場の賃料と消費税で整理しています。根拠は租税特別措置法37条、租税特別措置法施行令25条、租税特別措置法施行規則18条の5、租税特別措置法通達37-3、37-21です。

よくある質問

事業用資産の買換え特例はどんな資産に使えますか

事業用資産の買換えの特例は、 売った資産と買った資産の両方が事業用 であることが前提です。国税庁のタックスアンサーNo.3402は、この特例の適用を受けるためには、売った土地建物等および船舶(譲渡資産)が事業に使われていたものであることが必要で、また、買換資産を事業に使うことが必要、としています。→ 本文で読む

小規模なアパートの貸付けでも事業用資産の買換え特例は使えますか

「事業」と聞くと、大きな規模を想像するかもしれません。しかしNo.3402は、 事業に準ずるもの の用途に使われている土地建物等および船舶も、特例が受けられる事業用資産になる、としています。事業といえるほどの規模でなくてもよい、ということです。→ 本文で読む

親族に安く貸している物件は事業用資産になりますか

1つめの条件、「相当の対価」は、利益が出ているかどうかで見ます。No.3402は、相当の対価を得ているかどうかは、不動産の貸付けなどの場合、 減価償却費や固定資産税などの必要経費を回収した後において、なお相当の利益が生じているかどうか により判断する、としています。→ 本文で読む

事業用資産の「継続的」はどう判定しますか

2つめの条件は継続性です。No.3402は、継続的に行われているかどうかについては、原則として、 貸付けなどに係る契約の効力が発生した時点の現況 において、その貸付けなどが相当期間継続して行われることが予定されていたかどうかにより判定する、としています。→ 本文で読む

売る直前だけ貸した土地は事業用資産になりますか

No.3402は、事業用資産に当てはまらない資産を3つ挙げています。1つめは 棚卸資産、雑所得の基因となる土地および土地の上に存する権利 です。不動産業者が販売用に持っている土地は商品(棚卸資産)であって、事業に使う資産ではありません。→ 本文で読む

月極駐車場として貸している土地は事業用資産になりますか

最も引っかかりやすいのがここです。No.3402は、 空閑地である土地や空き家である建物等 は事業用資産に当たらない、としています。何にも使っていない土地や、誰も住んでいない建物を売っても、買換えの特例は使えません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.3402 事業用の資産の範囲」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3402.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

買換えを考えているなら、売る前に「事業に使っているか」を確かめてください。

空き地のまま持っている土地や、施設を設けていない駐車場は、売っても買換えの特例が使えません。逆に、小規模でも相当の対価を得て継続して貸している物件は対象になります。契約書と収支の資料をお持ちいただければ、事業用資産に当たるかどうかを一緒に確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。