控除
要介護認定と障害者控除は別の制度。
65歳以上の親は市町村長等の認定を確かめる
親御さんが要介護認定を受けたので、年末調整や確定申告で障害者控除が使えるのではないか、というご相談があります。
答えを先に書くと、要介護認定を受けたことで、そのまま障害者控除の対象になるわけではありません。所得税の障害者控除の対象は、所得税法施行令に限定列挙されていて、そこに介護保険法の要介護認定は入っていないからです。
ただし、65歳以上の方は、市町村長等の認定を受けていれば対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.1185と、参照先のNo.1160で、どこを確かめればよいかを整理します。
この記事の要点
介護保険法の要介護認定を受けたことで、そのまま所得税の障害者控除の対象になるわけではありません。国税庁は、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者や身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは、障害者控除の対象になるとしています。控除額は障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。国税庁タックスアンサーNo.1185・No.1160をもとに整理しました。
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要介護認定を受けたことで、障害者控除の対象になるわけではない
介護保険法の要介護認定を受けたことで、そのまま所得税の障害者控除の対象になるわけではありません。障害者控除の対象になる障害者は所得税法施行令第10条に限定列挙されていて、介護保険法の介護認定を受けた人は、そこに規定されていないからです。
国税庁 タックスアンサー No.1185「市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について」
所得税法上、障害者控除の対象となる障害者は、所得税法施行令第10条に限定列挙されていますが、介護保険法の介護認定を受けた人については、規定されていません。
したがって、介護保険法の要介護認定を受けられただけでは障害者控除の対象とはなりません。
要介護認定は介護保険法による認定で、障害者控除の対象を定めている所得税法施行令とは別の仕組みです。「要介護認定がある=障害者控除が使える」とはならないので、年末調整の申告書に書く前に、次の節の認定があるかを確かめてください。
65歳以上で市町村長等の認定を受けた人は対象になる
要介護認定の有無にかかわらず、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは、障害者控除の対象になります。
国税庁 タックスアンサー No.1185
介護保険法の要介護認定の有無にかかわらず、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合など、障害者控除の対象となる人の範囲に該当する場合には、障害者控除の対象となります。
No.1185が参照先に挙げているNo.1160では、この区分を次のように書いています。市町村長等のほか、福祉事務所長の認定も含まれます。
国税庁 タックスアンサー No.1160「障害者控除」(5)
精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人
このうち特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者になります。
ここでいう(1)(2)(4)は、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人、知的障害者と判定された人、身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている人です。要介護認定とは別に、この認定を受けているかどうかが分かれ目になります。
控除額は27万円・40万円・75万円
障害者控除の額は、障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。市町村長等の認定でも、特別障害者に準ずるものとして認定を受けていれば特別障害者になります。
| 区分 | 控除額 | 市町村長等の認定との関係 |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 知的障害者または身体障害者に準ずるものとして認定 |
| 特別障害者 | 40万円 | 特別障害者に準ずるものとして認定 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 特別障害者で、納税者本人・配偶者・生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている |
障害者控除は、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者に当てはまる場合に受けられます。親御さんを扶養している場合は、扶養控除と障害者控除の両方を検討することになります。控除の全体は障害者控除の記事に、高齢の親を扶養する場合の扶養控除は老人扶養親族の記事にまとめました。
認定や手帳がなくても対象になる場合
市町村長等の認定や障害者手帳がなくても、その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人は、特別障害者として障害者控除の対象になります。
国税庁 タックスアンサー No.1160(8)
その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人
この人は、特別障害者となります。
要介護認定を受けている方の中には、この区分に当たる方もいるかもしれません。ただし判断の基準は要介護度ではなく、寝たきりの状態と複雑な介護の必要性です。くわしくは寝たきりの家族は特別障害者の記事に書きました。
年末調整・確定申告の前に確かめること
親御さんについて障害者控除を受けたいときは、要介護認定の通知ではなく、障害者控除の対象になる区分のどれに当たるかを確かめます。市町村長等の障害者認定については、国税庁はお住まいの市区町村の窓口に尋ねるよう案内しています。
| 確かめること | 見るところ |
|---|---|
| 65歳以上か | 年齢が満65歳以上であること |
| 市町村長等の認定を受けているか | 知的障害者・身体障害者に準ずるものとしての認定か、特別障害者に準ずるものとしての認定か |
| 手帳を持っているか | 身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳など、No.1160の区分に当たる手帳 |
| 寝たきりの状態か | 12月31日の現況で引き続き6か月以上、複雑な介護が必要か |
認定の手続や要件は市区町村ごとに案内されています。年末調整の書類を出す前に、市区町村の窓口で認定の有無と手続を確かめておくと、控除の漏れを防げます。
よくある質問
要介護認定を受けていれば障害者控除を受けられますか
介護保険法の要介護認定を受けたことで、そのまま所得税の障害者控除の対象になるわけではありません。障害者控除の対象になる障害者は所得税法施行令第10条に限定列挙されていて、介護保険法の介護認定を受けた人は、そこに規定されていないからです。→ 本文で読む
65歳以上の親が障害者控除の対象になるのはどんな場合ですか
要介護認定の有無にかかわらず、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは、障害者控除の対象になります。→ 本文で読む
障害者控除の控除額はいくらですか
障害者控除の額は、障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。市町村長等の認定でも、特別障害者に準ずるものとして認定を受けていれば特別障害者になります。 障害者控除は、納税者本人、同一生計配偶者、扶養親族が障害者に当てはまる場合に受けられます。親御さんを扶養している場合は、扶養控除と障害者控除の両方を検討することになります。控除の全体は 障害者控除 の記事に、高齢の親を扶養する場合の扶養控除は 老人扶養親族 の記事にまとめました。→ 本文で読む
障害者手帳や認定がなくても障害者控除の対象になることはありますか
市町村長等の認定や障害者手帳がなくても、その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人は、特別障害者として障害者控除の対象になります。→ 本文で読む
親の障害者控除を受ける前に何を確かめればよいですか
親御さんについて障害者控除を受けたいときは、要介護認定の通知ではなく、障害者控除の対象になる区分のどれに当たるかを確かめます。市町村長等の障害者認定については、国税庁はお住まいの市区町村の窓口に尋ねるよう案内しています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1185.htm - 国税庁「No.1160 障害者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
親御さんの障害者控除が使えるかどうか、一緒に確かめます。
要介護認定とは別に、市町村長等の認定を受けているか、寝たきりの状態に当たるか。扶養控除や配偶者控除との組合せも含めて、年末調整と確定申告で受けられる控除を整理します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。