控除
寝たきりの家族は特別障害者。
障害者控除は40万円、同居なら75万円。扶養控除・配偶者控除と重ねて受けられます
ご両親やご家族が寝たきりになって介護をしている方から、「障害者手帳はないのですが、何か控除はありますか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、引き続き6か月以上寝たきりで複雑な介護を必要とする人は、所得税では特別障害者に当たり、障害者控除40万円(同居なら75万円)を受けられます。そのうえ、扶養控除や配偶者控除も重ねて使えます。
国税庁のタックスアンサーNo.1184は、扶養家族に寝たきりの人がいるときの控除額をまとめています。障害者控除の全体はNo.1160に載っています。どの控除がいくらになるのか、判定の日はいつか、順に確認していきます。
この記事の要点
その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上、身体の障害により寝たきりで複雑な介護を必要とする人は特別障害者です。扶養親族や同一生計配偶者にこの人がいれば障害者控除40万円、同居を常況としていれば75万円を控除できます。控除対象扶養親族なら扶養控除、控除対象配偶者なら配偶者控除も重ねて受けられます。国税庁タックスアンサーNo.1184・No.1160をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
- 関連扶養控除の4段階
- ご案内会社員の副業の確定申告
引き続き6か月以上寝たきりで複雑な介護が必要な人は特別障害者
寝たきりの家族は、所得税では特別障害者に当たります。国税庁のタックスアンサーNo.1184は、その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって、身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人は特別障害者となる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1184「扶養家族に寝たきりの人がいるときの控除額」
その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって、身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人は特別障害者となります。
「複雑な介護を必要とする」の目安は、括弧書きにあるとおり介護を受けなければ排便等をすることができない程度の状態です。このような人が扶養親族または同一生計配偶者であるときは、障害者控除を受けることができます。さらに、その人が控除対象扶養親族または控除対象配偶者であれば、障害者控除のほかに扶養控除または配偶者控除の適用がある、とNo.1184は続けています。控除は重なる、ということです。
障害者控除は40万円。同居を常況としていれば75万円
特別障害者に該当する場合の障害者控除の額は40万円です。No.1184は、扶養親族または同一生計配偶者が特別障害者で、かつ、その特別障害者が納税者またはその配偶者もしくはその納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている場合は75万円になる、としています。
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 |
この表はNo.1160「障害者控除」のものです。寝たきりの方は特別障害者ですから、40万円か75万円のどちらかになります。分かれ目は同居です。No.1160は、同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、納税者自身、配偶者、その納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている人、としています。納税者本人との同居に限らず、配偶者や生計を一にする親族と同居していれば75万円です。
扶養控除も重ねて受けられる。38万円から58万円
寝たきりの人が控除対象扶養親族であれば、障害者控除に加えて扶養控除も受けられます。No.1184が示す扶養控除額は、一般の控除対象扶養親族38万円、特定扶養親族63万円、老人扶養親族のうち同居老親等以外48万円、同居老親等58万円です。
| 区分 | 控除額 |
|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族(16歳以上) | 38万円 |
| 特定扶養親族(19歳以上23歳未満) | 63万円 |
| 老人扶養親族(70歳以上)で同居老親等以外 | 48万円 |
| 同居老親等 | 58万円 |
年齢はいずれもその年12月31日現在で見ます。No.1184は、同居老親等とは、老人扶養親族のうち納税者またはその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者またはその配偶者と同居を常としている人、としています。寝たきりの親を同居で介護している場合、扶養控除58万円と同居特別障害者の75万円が重なります。区分の詳しい見方は扶養控除の4段階で確認できます。
配偶者控除は本人の合計所得金額で変わる
寝たきりの人が控除対象配偶者であれば、障害者控除と配偶者控除を重ねて受けられます。No.1184が示す平成30年分以後の配偶者控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額によって分かれています。
| 納税者本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者(70歳以上) |
|---|---|---|
| 900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
| 900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
| 950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
No.1184は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円超の場合は配偶者控除を受けることはできない、としています。配偶者控除が受けられない場合でも、障害者控除は同一生計配偶者であれば受けられます。No.1184が「扶養親族または同一生計配偶者」と「控除対象扶養親族または控除対象配偶者」を分けて書いているのはこのためです。配偶者側の所得要件は配偶者控除の要件で整理しています。
「6か月以上」と「12月31日の現況」の見方
判定はその年の12月31日の現況で行い、その時点で寝たきりの状態が引き続き6か月以上続いていることが必要です。No.1184もNo.1160も、この2つを要件として挙げています。
年の途中で寝たきりになった場合は、12月31日の時点で6か月以上経過しているかどうかで、その年の特別障害者に当たるかが決まります。年末の時点で6か月に届いていなければ、その年は障害者控除の対象になりません。翌年以降、状態が続いていれば対象になります。介護が始まった日が分かるもの(介護保険の認定や主治医の記録など)を手元に残しておくと、年末の判定がしやすくなります。
障害者手帳がなくても、寝たきりの人は特別障害者に当たる
寝たきりの人は、障害者手帳の交付を受けているかどうかとは別の区分で特別障害者に当たります。No.1160は障害者控除の対象となる人を8つ挙げていて、身体障害者手帳の等級が1級または2級の人や、精神障害者保健福祉手帳の等級が1級の人とは別に、(8)として寝たきりの人を掲げています。
国税庁 タックスアンサー No.1160「障害者控除」
その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人
また、No.1160は、精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が手帳の区分に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人も障害者控除の対象とし、特別障害者に準ずるものとして認定を受けている人は特別障害者になる、としています。手帳がないからといって控除をあきらめる必要はありません。寝たきりの状態そのもの、または市町村の認定で、控除の対象になる道があります。
よくある質問
寝たきりの家族は所得税の特別障害者になりますか
寝たきりの家族は、所得税では特別障害者に当たります。国税庁のタックスアンサーNo.1184は、その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって、身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人は特別障害者となる、としています。→ 本文で読む
寝たきりの親を扶養しているときの障害者控除はいくらですか
特別障害者に該当する場合の障害者控除の額は40万円です。No.1184は、扶養親族または同一生計配偶者が特別障害者で、かつ、その特別障害者が納税者またはその配偶者もしくはその納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている場合は75万円になる、としています。→ 本文で読む
障害者控除と扶養控除は両方受けられますか
寝たきりの人が控除対象扶養親族であれば、障害者控除に加えて扶養控除も受けられます。No.1184が示す扶養控除額は、一般の控除対象扶養親族38万円、特定扶養親族63万円、老人扶養親族のうち同居老親等以外48万円、同居老親等58万円です。→ 本文で読む
寝たきりの配偶者がいるとき、配偶者控除はどうなりますか
寝たきりの人が控除対象配偶者であれば、障害者控除と配偶者控除を重ねて受けられます。No.1184が示す平成30年分以後の配偶者控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額によって分かれています。→ 本文で読む
年の途中で寝たきりになった場合、その年から控除を受けられますか
判定はその年の12月31日の現況で行い、その時点で寝たきりの状態が引き続き6か月以上続いていることが必要です。No.1184もNo.1160も、この2つを要件として挙げています。 年の途中で寝たきりになった場合は、 12月31日の時点で6か月以上経過しているかどうか で、その年の特別障害者に当たるかが決まります。年末の時点で6か月に届いていなければ、その年は障害者控除の対象になりません。翌年以降、状態が続いていれば対象になります。介護が始まった日が分かるもの(介護保険の認定や主治医の記録など)を手元に残しておくと、年末の判定がしやすくなります。→ 本文で読む
障害者手帳がなくても障害者控除を受けられますか
寝たきりの人は、障害者手帳の交付を受けているかどうかとは別の区分で特別障害者に当たります。No.1160は障害者控除の対象となる人を8つ挙げていて、身体障害者手帳の等級が1級または2級の人や、精神障害者保健福祉手帳の等級が1級の人とは別に、(8)として寝たきりの人を掲げています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1184 扶養家族に寝たきりの人がいるときの控除額」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1184.htm - 国税庁「No.1160 障害者控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
介護をしているご家族の状況を、年末の時点で整理してください。
寝たきりの状態が続いているか、複雑な介護を必要としているか、同居を常況としているかで、控除額が変わります。扶養控除や配偶者控除と重なるため、年末調整の申告書で書き落としていることも少なくありません。控除を受けていなかった年があれば、さかのぼって申告できる場合があります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。