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控除

セルフメディケーション税制。
対象の市販薬が12,000円を超えたら、超えた分(最高88,000円)を控除できます

ドラッグストアのレシートに「セルフメディケーション税制対象」と印字されているのを見たことはないでしょうか。

答えを先に書くと、対象の市販薬の購入費が年間12,000円を超えていれば、超えた部分(最高88,000円)を所得から控除できます。通常の医療費控除は病院にかかった額が大きくないと使いにくいのですが、こちらは市販薬だけで届く方が少なくありません。

ただし、健康診断などの「一定の取組」をしていることが条件で、通常の医療費控除とはどちらか一方しか選べません。国税庁のタックスアンサーNo.1129で、条件と計算、必要な書類を確かめていきます。

公開 最終更新

この記事の要点

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例です。健康診断や予防接種など「一定の取組」を行っている方が、自分や生計を一にする家族のために対象の市販薬(スイッチOTC医薬品等)を買った場合、支払った合計額から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)を所得控除できます。通常の医療費控除との選択適用で、一度選ぶとあとから変更はできません。国税庁タックスアンサーNo.1129・No.1132をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例。どちらか一方を選ぶ

セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除の特例です。国税庁のタックスアンサーNo.1129は、健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けられる、としています。

国税庁 タックスアンサー No.1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となります。したがって、この特例の適用を受ける場合は、通常の医療費控除を併せて受けることはできません。

大事なのは「選択適用」という言葉です。通常の医療費控除と、この特例は、どちらか一方しか使えません。しかも、No.1129は、いずれかの適用を選択した後、更正の請求や修正申告によりこの選択を変更することはできない、としています。申告してしまった後で「もう一方のほうが有利だった」と気づいても、やり直せません。通常の医療費控除の要件は医療費控除で整理しています。

健康診断や予防接種など「一定の取組」が条件

この特例を使えるのは、その年に健康の保持増進および疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている方です。No.1129は、一定の取組として次のものを挙げています。

「一定の取組」に該当するもの
1保険者(健康保険組合、市区町村国保等)が実施する健康診査(人間ドック、各種健(検)診等)
2市区町村が健康増進事業として行う健康診査(生活保護受給者等を対象とする健康診査)
3予防接種(定期予防接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
4勤務先で実施する定期健康診断(事業主健診)
5特定健康診査(いわゆるメタボ健診)、特定保健指導
6市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

会社員の方なら勤務先の定期健康診断、インフルエンザの予防接種を受けた方も該当します。取組を行っている必要があるのは申告する本人だけで、家族が行っている必要はありません。No.1129は、申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が一定の取組を行っている必要はない、としています。

もうひとつ注意があります。人間ドックなど、一定の取組そのものに要した費用は、この特例の控除の対象になりません。健康診断の費用を足して計算しないようにしてください。

対象はスイッチOTC医薬品等。レシートの表示で見分ける

控除の対象になるのは「特定一般用医薬品等購入費」です。No.1129は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)等の購入費をいう、としています。すべての市販薬が対象になるわけではありません。

見分け方は簡単です。No.1129は、対象となる商品には、購入の際の領収書等にセルフメディケーション税制の対象商品である旨が表示されている、としています。また、一部の対象医薬品にはパッケージに共通識別マークが掲載されています。レシートの印字と、箱のマークが手がかりです。

対象の範囲は、No.1132にくわしく書かれています。スイッチOTC医薬品で告示に掲げるもの(アシクロビル、アシタザノラストなど、令和8年4月1日現在100成分)と、スイッチOTC医薬品以外の一般用医薬品で告示に掲げるもの(アスピリン、アセトアミノフェンなど、令和8年4月1日現在42成分)を有効成分として含む製剤などです。具体的な品目一覧は、厚生労働省ホームページに掲載の「対象品目一覧」で確認できます。

控除額は12,000円を超えた部分。最高88,000円

控除額の計算はひとつの式で済みます。No.1129は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除く)から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)が控除額だ、としています。

国税庁 タックスアンサー No.1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」

セルフメディケーション税制による医療費控除額は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除きます。)から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)です。
見るもの内容
足すもの対象の市販薬の購入費の合計(本人と生計を一にする家族の分を含む)
除くもの保険金などで補填される部分、人間ドックなど一定の取組に要した費用
差し引く額12,000円
控除の上限88,000円

年間の対象購入費が12,000円を超えていれば、控除が発生します。家族の分もまとめてよいので、風邪薬や鎮痛薬、花粉症の薬などを家族ぶん買っているご家庭では、思ったより早く届く金額です。

明細書を添付する。領収書は5年間手元に残す

申告のときに添付するのは「セルフメディケーション税制の明細書」です。No.1129は、令和3年分以後の適用に関する事項を記載した確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合は、この明細書を確定申告書に添付する、としています。領収書そのものは添付しません。

ただし、領収書を捨ててよいわけではありません。No.1129の注記は、記入内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、税務署から領収書の提示または提出を求める場合がある、としています。レシートは5年間、手元に残しておいてください。

一定の取組を行ったことを明らかにする書類(健康診断の結果通知や予防接種の領収書など。氏名、取組を行った年、保険者・事業者・市区町村の名称または医療機関・医師の名称が書かれたもの)についても、令和3年分以後の申告を令和4年1月1日以後に提出する場合は添付・提示が不要ですが、同じく5年を経過する日までは提示を求められることがあります。なお、令和2年分以前の申告では、この書類を添付するか提示することが必要でした。平成29年分から令和元年分までは、経過措置として明細書の代わりに領収書を添付・提示する方法も認められていました。

通常の医療費控除とどちらを選ぶか

選択適用ですから、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらが有利かを、申告の前に比べる必要があります。どちらか一方しか使えず、一度選んだあとは変更できないからです。

比べ方は、両方の控除額をそれぞれ計算して並べるだけです。病院の治療費や薬局で処方された薬代が多かった年は通常の医療費控除、通院は少ないが市販薬をよく買った年はセルフメディケーション税制が向く、という傾向はありますが、実際の金額を入れて確かめてから決めてください。還付を受けるための申告は、翌年以後でも一定期間できます。くわしくは還付申告は5年間できるをご覧ください。

よくある質問

セルフメディケーション税制と医療費控除は両方使えますか

セルフメディケーション税制は、通常の医療費控除の特例です。国税庁のタックスアンサーNo.1129は、健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の取組を行っている方が、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けられる、としています。→ 本文で読む

セルフメディケーション税制の「一定の取組」とは何ですか

この特例を使えるのは、その年に健康の保持増進および疾病の予防への取組として「一定の取組」を行っている方です。No.1129は、一定の取組として次のものを挙げています。 会社員の方なら勤務先の定期健康診断、インフルエンザの予防接種を受けた方も該当します。 取組を行っている必要があるのは申告する本人だけで、家族が行っている必要はありません。 No.1129は、申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方が一定の取組を行っている必要はない、としています。→ 本文で読む

セルフメディケーション税制の対象になる薬はどう見分けますか

控除の対象になるのは「特定一般用医薬品等購入費」です。No.1129は、医師によって処方される医薬品(医療用医薬品)から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)等の購入費をいう、としています。すべての市販薬が対象になるわけではありません。→ 本文で読む

セルフメディケーション税制の控除額はいくらですか

控除額の計算はひとつの式で済みます。No.1129は、実際に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金などで補填される部分を除く)から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)が控除額だ、としています。→ 本文で読む

セルフメディケーション税制の申告に領収書は必要ですか

申告のときに添付するのは「セルフメディケーション税制の明細書」です。No.1129は、令和3年分以後の適用に関する事項を記載した確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合は、この明細書を確定申告書に添付する、としています。領収書そのものは添付しません。→ 本文で読む

通常の医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらを選べばよいですか

選択適用ですから、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらが有利かを、申告の前に比べる必要があります。どちらか一方しか使えず、一度選んだあとは変更できないからです。 比べ方は、両方の控除額をそれぞれ計算して並べるだけです。病院の治療費や薬局で処方された薬代が多かった年は通常の医療費控除、通院は少ないが市販薬をよく買った年はセルフメディケーション税制が向く、という傾向はありますが、 実際の金額を入れて確かめてから決めてください。 還付を受けるための申告は、翌年以後でも一定期間できます。くわしくは 還付申告は5年間できる をご覧ください。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm
  2. 国税庁「No.1132 セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1132.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

市販薬のレシートは、捨てずに1年分まとめておいてください。

セルフメディケーション税制は、対象の市販薬の購入費の合計と、健康診断などの「一定の取組」の記録があれば計算できます。通常の医療費控除とどちらが有利かは、両方を並べて比べてから決めます。一度選ぶと変更できませんので、申告の前にご相談ください。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。