消費税
会社を作ったときの消費税。
基準期間がない設立1期目・2期目は原則免税ですが、資本金1,000万円以上・特定期間の売上・インボイス登録で課税になります
会社を作ると、「消費税はいつから納めるのか」が最初の疑問になります。
答えを先に書くと、消費税は基準期間(法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら免除されます。新しく作った会社には基準期間がないので、原則として設立1期目・2期目は免税です。
ただし、この原則には例外がいくつもあります。資本金1,000万円以上で作った会社、前の期の上半期に売上が1,000万円を超えた会社、そしてインボイス(適格請求書発行事業者)の登録をした会社は、基準期間がなくても納税義務が免除されません。国税庁のタックスアンサーNo.6531で、免税になる仕組みと免税にならない場合を順に確認していきます。
この記事の要点
消費税は基準期間(法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下なら免除され、新設法人は基準期間がないので設立1期目・2期目は原則免税です。ただし、事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上、特定期間(前事業年度開始の日以後6か月)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円超、特定新規設立法人、適格請求書発行事業者は免除されません。国税庁タックスアンサーNo.6531をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
基準期間の課税売上高1,000万円以下なら免除。新設法人は基準期間がない
個人事業者または法人のその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます。国税庁のタックスアンサーNo.6531はまずこの原則を示し、新たに設立された法人のように基準期間における課税売上高がないとき、または基準期間がないときは、原則として納税義務が免除されるとしています。
国税庁 タックスアンサー No.6531「新規開業又は法人の新規設立のとき」
新たに開業した個人事業者または新たに設立された法人のように、その課税期間について基準期間における課税売上高がないときまたは基準期間がないときは、原則として納税義務が免除されますが、例えば、次の「納税義務が免除されない場合」のようなときには免除されませんのでご注意ください。
「原則として」とあるのが要点です。新設法人が免税になるのは「基準期間がないから」であって、「新しい会社だから」ではありません。基準期間がなくても課税事業者になる例外が、このあとに続きます。
基準期間とは。法人は前々事業年度
基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度です。会社なら2期前の事業年度の課税売上高で、今期の納税義務を判定します。設立1期目には2期前がなく、2期目にもありません。だから設立1期目・2期目は原則として免税です。
前々事業年度が1年未満の場合は、No.6531の定義によると、事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間が基準期間になります。設立1期目を短い期間にした会社は、3期目の基準期間の取り方がここに当たります。判定に使う課税売上高がどの期間のものかを確かめてください。
特定期間の課税売上高が1,000万円超なら課税。給与等支払額でも判定できる
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合など一定の事由に該当すると、その課税期間は課税事業者になります。No.6531の注はそう述べています。特定期間とは、法人の場合、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間です。前の期の上半期、と考えてください。
国税庁 タックスアンサー No.6531「新規開業又は法人の新規設立のとき」(注)
なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。
特定期間の判定は、課税売上高に代えて給与等支払額の合計額でもできます。前の期の上半期の売上が1,000万円を超えていても、その間の給与等の支払額が1,000万円以下なら、給与のほうで判定して免税を続けられるということです。役員報酬を抑えているひとり会社では、この選択が効く場面があります。この判定は消費税の1,000万円と前年の上半期でもくわしく説明しています。
資本金1,000万円以上の会社と特定新規設立法人は免除されない
基準期間がない法人であっても、納税義務が免除されない場合があります。No.6531は「法人の基準期間がない事業年度」として2つを挙げています。1つは、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上であるとき。もう1つは、特定新規設立法人に該当するときです。
| 基準期間がない事業年度でも課税になる場合 | 内容 |
|---|---|
| 資本金1,000万円以上 | その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上であるとき |
| 特定新規設立法人 | 資本金1,000万円未満でも、他の者に株式等の50パーセント超を保有されるなど支配される一定の場合(特定要件)に該当し、かつ、その他の者などの基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超えているとき |
資本金の判定は事業年度開始の日で行います。設立時の資本金だけでなく、2期目の期首の資本金も見られます。この特例は資本金1,000万円以上の会社の消費税でくわしく整理しています。
特定新規設立法人は、平成26年4月1日以後に設立した、資本金1,000万円未満の新規設立法人が対象です。大きな会社やその関係者が50パーセント超を出資して作った子会社が、資本金を小さくして免税を受けることを防ぐ仕組みです。令和6年10月1日以後に開始する課税期間からは、判定対象者の課税売上高5億円超に加えて、売上金額・収入金額その他の収益の額の合計額が国外分も含めて50億円を超える場合も該当します。ひとり会社を個人が自分で作る場合には、通常この要件には当たりません。
法人成りのとき、個人時代の売上は基準期間に含まれない
個人事業を続けてきた方が会社を作る「法人成り」では、個人時代の売上が気になります。No.6531は、個人事業者がいわゆる法人成りにより新規に法人を設立した場合には、個人事業者であった期間の課税売上高は、その法人の基準期間の課税売上高には含まれない、としています。
個人として課税事業者だった方でも、新しく作った会社には基準期間がありません。資本金1,000万円未満で作り、特定期間の判定にも当たらなければ、会社としては設立1期目・2期目が免税になります。ただし、次に述べるインボイスの登録をすると話が変わります。
適格請求書発行事業者は売上にかかわらず免除されない
No.6531は、適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高にかかわらず、納税義務は免除されない、としています。インボイスの登録をした会社は、設立1期目でも、売上がいくらでも、消費税を納めます。
取引先が事業者ばかりで、インボイスがないと取引に響く会社は、設立と同時に登録を考えることになります。その場合、基準期間がないことによる免税は受けられません。登録するかどうかの考え方はインボイスに登録するとで説明しています。
課税事業者を選ぶ届出。戻れない2年間と調整対象固定資産
免税でも、あえて課税事業者になる選択があります。No.6531は、設備投資が多額にあった場合や、輸出業者のように売上げに係る消費税額よりも仕入れに係る消費税額が多く、経常的に還付が生じる事業者については、免税事業者であっても課税事業者を選択することによって消費税の還付を受けることができる、としています。
手続は「消費税課税事業者選択届出書」の提出です。原則は課税事業者になろうとする課税期間の開始の日の前日までですが、新たに事業を開始した場合には、その事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出すれば、その課税期間から課税事業者になります。設立1期目なら、1期目の決算日までに出せば1期目から課税事業者です。
ただし縛りがあります。この届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、原則として、課税事業者となった日から2年間は免税事業者に戻ることはできません。戻るときは「消費税課税事業者選択不適用届出書」を、戻ろうとする課税期間の初日の前日までに提出します。
さらに、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過するまでの間に開始した各課税期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間は除きます)中に、調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合には、その仕入れ等を行った日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、選択不適用届出書も、簡易課税制度選択届出書も提出できません。調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、車両および運搬具、工具、器具および備品などのうち、一の取引単位の価額(消費税および地方消費税に相当する額を除いた金額)が100万円以上のものです。還付を受けるために課税事業者を選び、100万円以上の車や設備を買うと、その後3年は課税事業者のままと考えてください。
なお、No.6531には、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の譲渡について消費税率が引き下げられ、飲食料品の譲渡を行う事業者を対象に課税事業者選択届出書の提出時期の特例が設けられる、との記載があります。飲食料品を扱う会社は、この特例の内容もあわせて確かめてください。
よくある質問
会社を作った1期目から消費税を納める必要がありますか
個人事業者または法人のその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除されます。国税庁のタックスアンサーNo.6531はまずこの原則を示し、新たに設立された法人のように 基準期間における課税売上高がないとき、または基準期間がないときは、原則として納税義務が免除される としています。→ 本文で読む
設立2期目に消費税が課税されるのはどのような場合ですか
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合など一定の事由に該当すると、その課税期間は課税事業者になります。No.6531の注はそう述べています。特定期間とは、法人の場合、原則として、 その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間 です。前の期の上半期、と考えてください。→ 本文で読む
資本金1,000万円で会社を作ると消費税はどうなりますか
基準期間がない法人であっても、納税義務が免除されない場合があります。No.6531は「法人の基準期間がない事業年度」として2つを挙げています。1つは、その事業年度開始の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上であるとき。もう1つは、特定新規設立法人に該当するときです。→ 本文で読む
法人成りした場合、個人時代の売上は消費税の判定に影響しますか
個人事業を続けてきた方が会社を作る「法人成り」では、個人時代の売上が気になります。No.6531は、個人事業者がいわゆる法人成りにより新規に法人を設立した場合には、 個人事業者であった期間の課税売上高は、その法人の基準期間の課税売上高には含まれない 、としています。→ 本文で読む
インボイスに登録した新設法人は免税になりますか
No.6531は、適格請求書発行事業者は、基準期間における課税売上高にかかわらず、納税義務は免除されない、としています。 インボイスの登録をした会社は、設立1期目でも、売上がいくらでも、消費税を納めます。→ 本文で読む
新設法人が課税事業者を選ぶときの届出と期限はどうなりますか
免税でも、あえて課税事業者になる選択があります。No.6531は、設備投資が多額にあった場合や、輸出業者のように売上げに係る消費税額よりも仕入れに係る消費税額が多く、経常的に還付が生じる事業者については、免税事業者であっても課税事業者を選択することによって消費税の還付を受けることができる、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6531.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
会社を作る前に、資本金の額と設立1期目の売上・給与の見込みを一度整理してください。
設立1期目・2期目が免税かどうかは、資本金が1,000万円以上か、前の期の上半期の売上や給与が1,000万円を超えるか、インボイスに登録するかで決まります。設立後に決めても遅い項目があります。設立前のご相談で、免税になる形と課税事業者を選ぶべき場合を一緒に確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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