控除
生命保険料控除の対象になる契約。
生命保険・介護医療・個人年金の3種類と、平成24年を境にした新旧の区分
年末調整や確定申告の時期になると、保険会社から控除証明書が届きます。ところが、「この保険は生命保険料控除に入るのか」と迷う契約があります。
答えを先に書くと、対象は生命保険契約等、介護医療保険契約等、個人年金保険契約等の3種類で、しかも平成24年1月1日以後に結んだ契約か、それ以前の契約かで扱いが分かれます。保険料を払っていても、傷害保険や短期の貯蓄保険は対象になりません。
国税庁のタックスアンサーNo.1141は、どの契約が対象になるかを種類ごとに列挙しています。控除証明書の見方とあわせて、順に確認していきます。
この記事の要点
生命保険料控除の対象となる保険契約等は、生命保険契約等、介護医療保険契約等、個人年金保険契約等の3つです。平成24年1月1日以後の契約(新契約)と平成23年12月31日以前の契約(旧契約)で取扱いが異なり、受取人が本人またはその配偶者その他の親族であることが条件です。保険期間5年未満の貯蓄保険や傷害保険契約、財形貯蓄契約は対象外です。国税庁タックスアンサーNo.1141をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
対象は3種類。新契約と旧契約で扱いが違う
生命保険料控除の対象となる保険契約等は、生命保険契約等、介護医療保険契約等、個人年金保険契約等の3つです。国税庁のタックスアンサーNo.1141は、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」
生命保険料控除の対象となる保険契約等には、生命保険契約等、介護医療保険契約等および個人年金保険契約等があります。
| 契約を結んだ日 | 区分 | 対象になる種類 |
|---|---|---|
| 平成24年1月1日以後 | 新契約 | 生命保険契約等(新生命保険料)、介護医療保険契約等、個人年金保険契約等(新個人年金保険料) |
| 平成23年12月31日以前 | 旧契約 | 生命保険契約等(旧生命保険料)、個人年金保険契約等(旧個人年金保険料) |
介護医療保険契約等の区分は、平成24年1月1日以後に締結した契約だけにあります。旧契約では、医療保険は生命保険契約等の中に含めて扱われていました。同じ医療保険でも、契約日で入る区分が変わるということです。
生命保険契約等の対象
平成24年1月1日以後の新契約で対象になる生命保険契約等は、保険金等の受取人のすべてを保険料の払込みをする方またはその配偶者その他の親族とするもので、No.1141は次の契約を挙げています。
- 生命保険会社または外国生命保険会社等と締結した、生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約
- 旧簡易生命保険契約のうち、生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
- 農業協同組合と締結した生命共済契約その他これに類する共済に係る契約のうち、生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
- 確定給付企業年金に係る規約または適格退職年金契約
ポイントは「生存または死亡に基因して」保険金が支払われる契約であることと、受取人が本人・配偶者・親族であることです。受取人が親族以外になっている契約は、保険料を払っていても対象になりません。
平成23年12月31日以前の旧契約では、上の契約に加えて、身体の疾病や傷害に基因して保険金等が支払われる保険契約のうち医療費支払事由に基因して保険金等が支払われるものも生命保険契約等に含まれます。旧契約の医療保険は「一般の生命保険料」の区分に入るのはこのためです。
介護医療保険契約等の対象
介護医療保険契約等は、平成24年1月1日以後に締結した契約または他の保険契約に附帯して同日以後に締結した契約のうち、保険金等の受取人のすべてを保険料の払込みをする者またはその配偶者その他の親族とするものです。No.1141は次の2つを挙げています。
- 生命保険会社もしくは外国生命保険会社等、または損害保険会社もしくは外国損害保険会社等と締結した、疾病または身体の傷害等により保険金が支払われる保険契約のうち、医療費支払事由に基因して保険金等が支払われる保険契約
- 疾病または身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等が支払われる旧簡易生命保険契約または生命共済契約等のうち、医療費等支払事由に基因して保険金等が支払われるもの
いわゆる医療保険、がん保険、介護保険がここに入ります。損害保険会社と結んだ契約でも、医療費支払事由に基因して保険金が出るものなら対象です。控除証明書に「介護医療」と書かれていれば、この区分です。
個人年金保険契約等の3つの要件
個人年金保険契約等は、年金(退職年金を除きます)を給付する定めのある保険契約等で、No.1141は次の3つの要件の定めがあるものを対象としています。個人年金保険の名前がついていても、この要件を満たさなければ一般の生命保険料の区分になります。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 受取人 | 年金の受取人は、保険料もしくは掛金の払込みをする者、またはその配偶者となっている契約であること |
| 払込期間 | 保険料等は、年金の支払を受けるまでに10年以上の期間にわたって、定期に支払う契約であること |
| 受取開始と期間 | 年金の支払は、年金受取人の年齢が原則として満60歳になってから支払うとされている10年以上の定期または終身の年金であること |
一時払いの個人年金は、払込期間の要件を満たしません。また、受取開始が満60歳より前の契約も原則として対象外です。No.1141の注記では、被保険者等の重度の障害を原因として年金の支払いを開始する10年以上の定期年金または終身年金も対象になるとされています。
新契約・旧契約の区分は個人年金にもあります。平成24年1月1日以後に締結した契約が新個人年金保険料、平成23年12月31日以前の契約が旧個人年金保険料です。
対象にならない契約
保険料を払っていても、生命保険料控除の対象にならない契約があります。No.1141の注記は、保険期間が5年未満の契約で、いわゆる貯蓄保険や貯蓄共済は含まれない、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」
外国生命保険会社等または外国損害保険会社等と国外において締結したものならびに信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約なども該当しません。
とくに間違えやすいのが傷害保険です。けがに備える保険でも、傷害保険契約は対象外です。また、勤務先で天引きされている財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄も、名前に「年金」とあっても生命保険料控除には入りません。国外で外国の保険会社と結んだ契約も対象外ですから、海外赴任中に加入した保険は確認が必要です。
証明書で確認し、申告書に添付する
支払った生命保険料が控除の対象になるかどうかは、保険会社などから送られてくる証明書(電磁的記録印刷書面を含みます)で確認できます。No.1141は、この証明書は確定申告書に添付するか申告の際に提示することが必要、としています。
ただし、年末調整された場合はその必要がありません。勤務先に証明書を出して年末調整で控除を受けた方は、確定申告で改めて添付する必要はないということです。年末調整に出し忘れた証明書があれば、確定申告で控除を足すことができます。
控除額の上限や新旧の組み合わせによる計算は生命保険料控除と地震保険料控除で整理しています。まず対象契約かどうかを本記事で確かめ、次に控除額を計算するという順番で進めてください。保険を受け取ったときの課税は満期保険金・解約返戻金の税金をご覧ください。
よくある質問
生命保険料控除の対象になる契約は何種類ありますか
生命保険料控除の対象となる保険契約等は、生命保険契約等、介護医療保険契約等、個人年金保険契約等の3つです。国税庁のタックスアンサーNo.1141は、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と、平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なる、としています。→ 本文で読む
受取人が親族でない生命保険は控除の対象になりますか
平成24年1月1日以後の新契約で対象になる生命保険契約等は、保険金等の受取人のすべてを保険料の払込みをする方またはその配偶者その他の親族とするもので、No.1141は次の契約を挙げています。→ 本文で読む
医療保険やがん保険は生命保険料控除の対象になりますか
介護医療保険契約等は、平成24年1月1日以後に締結した契約または他の保険契約に附帯して同日以後に締結した契約のうち、保険金等の受取人のすべてを保険料の払込みをする者またはその配偶者その他の親族とするものです。No.1141は次の2つを挙げています。→ 本文で読む
個人年金保険料控除を受けるための要件は何ですか
個人年金保険契約等は、年金(退職年金を除きます)を給付する定めのある保険契約等で、No.1141は次の3つの要件の定めがあるものを対象としています。個人年金保険の名前がついていても、この要件を満たさなければ一般の生命保険料の区分になります。→ 本文で読む
傷害保険や財形貯蓄は生命保険料控除の対象になりますか
保険料を払っていても、生命保険料控除の対象にならない契約があります。No.1141の注記は、保険期間が5年未満の契約で、いわゆる貯蓄保険や貯蓄共済は含まれない、としています。 とくに間違えやすいのが 傷害保険 です。けがに備える保険でも、傷害保険契約は対象外です。また、勤務先で天引きされている財形貯蓄・財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄も、名前に「年金」とあっても生命保険料控除には入りません。 国外で外国の保険会社と結んだ契約も対象外 ですから、海外赴任中に加入した保険は確認が必要です。→ 本文で読む
生命保険料控除の証明書は確定申告に必要ですか
支払った生命保険料が控除の対象になるかどうかは、保険会社などから送られてくる証明書(電磁的記録印刷書面を含みます)で確認できます。No.1141は、この証明書は確定申告書に添付するか申告の際に提示することが必要、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1141.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
控除証明書が届いたら、区分の欄を見てください。
証明書には、新契約か旧契約か、一般・介護医療・個人年金のどれかが書かれています。この区分を間違えると控除額が変わります。複数の保険に入っている方や、契約を見直した年の方は、証明書をまとめてお持ちいただければ、どの区分で申告すればよいかを確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
あわせて読む
同じテーマの記事
所得控除
災害減免法の軽減免除。所得500万円以下なら所得税は全額
災害で住宅や家財に受けた損害金額(保険金などで補てんされる金額を除く)がその価額の2分の1以上…
所得控除
雑損控除の計算。10%と5万円、詐欺は対象外
雑損控除は、災害・盗難・横領によって生活に通常必要な資産に損害を受けたときの所得控除です。
所得控除
地震保険料控除の対象になる契約。自宅と家財が条件
地震保険料控除の対象になるのは、自己や生計を一にする親族が所有して常時住んでいる家屋、または家…
所得控除
外国税額控除。外国で払った所得税を日本の税から引く
外国税額控除は、日本の居住者が外国の法令により所得税に相当する税(外国所得税)を納める場合に、…