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控除

認定住宅等新築等特別税額控除。
ローンがなくても、かかり増し費用の10%を所得税から引けます

長期優良住宅やZEH水準の家を建てた方から、「ローンを組まずに建てたが、何か控除はあるか」というご質問をいただきます。

答えを先に書くと、認定住宅等新築等特別税額控除という制度があり、認定基準に適合するために必要な標準的なかかり増し費用の10パーセントを、その年の所得税から差し引けます。かかり増し費用の限度額は650万円ですので、控除額は最大で65万円です。住宅ローンがあるかどうかは要件になっていません。

ただし、住宅ローン控除と両方は使えず、いったん選ぶと後から替えられません。国税庁のタックスアンサーNo.1221に沿って、対象・要件・計算・手続きを順に確かめます。

公開 最終更新

この記事の要点

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅を新築等して令和10年12月31日までに住み始めた方は、認定基準に適合するための標準的なかかり増し費用(限度額650万円)の10%を所得税から控除できます。住宅ローンがなくても使えますが、住宅ローン控除との併用はできず、一度選ぶと替えられません。合計所得金額2,000万円以下、床面積50平方メートル以上などの要件と控除期間を国税庁タックスアンサーNo.1221をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

制度の概要。住宅ローンがなくても使える

認定住宅等新築等特別税額控除は、認定住宅等を新築または取得して令和10年12月31日までに居住の用に供した人が、認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10パーセントを、原則としてその年分の所得税額から控除できる制度です。住宅ローンの有無は要件にありません。

国税庁 タックスアンサー No.1221「認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」

認定長期優良住宅、認定低炭素住宅またはZEH水準省エネ住宅(以下「認定住宅等」と総称します。)の認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10パーセントに相当する金額を、原則としてその年分の所得税額から控除(認定住宅等新築等特別税額控除)することができます。

「かかり増し費用」とは、普通の住宅ではなく認定基準を満たす住宅にしたことで余計にかかった費用のことです。実際にかかった金額ではなく、国が定めた「標準的な」金額で計算しますので、見積書の内訳を積み上げる必要はありません。所得控除ではなく税額控除ですから、計算した金額がそのまま所得税から差し引かれます。

なお、災害危険区域等内で認定住宅等を新築または未使用の認定住宅等を取得し、令和10年1月1日以後に居住した場合は、原則としてこの控除は適用できません。

対象になる住宅は3種類

対象になる認定住宅等は、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅の3種類です。それぞれ居住の用に供した期間の始まりが異なります。

種類居住の用に供した期間内容
認定長期優良住宅平成21年6月4日から令和10年12月31日まで長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅として証明がされたもの
認定低炭素住宅平成26年4月1日から令和10年12月31日まで都市の低炭素化の促進に関する法律の低炭素建築物、または低炭素建築物とみなされる特定建築物として証明がされたもの
ZEH水準省エネ住宅令和4年1月1日から令和10年12月31日まで断熱等性能等級5以上および一次エネルギー消費量等級6以上の家屋として証明がされたもの

注意したいのは、住宅ローン控除で出てくる「省エネ基準適合住宅」はこの控除の対象に含まれない点です。ZEH水準省エネ住宅は対象ですが、その一段下の省エネ基準適合住宅は対象外です。どの区分の証明を受けているか、建築士等の証明書や性能評価書で確かめてください。

共通の適用要件

3種類に共通する適用要件は次の6つで、すべて満たす必要があります。特に、床面積と合計所得金額、そして買替えで前の家を売った場合の要件6に注意してください。

番号適用要件
1認定住宅等の新築、または建築後使用されたことのない認定住宅等の取得であること
2新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供していること
3控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること(令和5年12月31日までに居住した場合は3,000万円以下)
4床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること
52以上の住宅を所有している場合は、主として居住の用に供すると認められる住宅であること
6居住年とその前2年・後3年の計6年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の3①)や居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35①)の適用を受けていないこと

床面積は登記事項証明書に表示されている床面積で判断します。マンションは共有部分を含めない専有部分の床面積、店舗併用住宅は店舗部分も含めた建物全体、夫婦共有の住宅は持分を掛けずに建物全体の床面積で判断します。

要件6は、買替えで前の自宅を売り、居住用財産の特別控除などを使った方に関わります。前の家の売却で特例を使うと、新しい家でこの控除が使えなくなる期間があるということです。なお、被相続人の居住用財産の特別控除(措法35③)による適用は除かれます。

控除額の計算。1平方メートル当たり45,300円×床面積の10パーセント

控除額は、標準的なかかり増し費用の10パーセントです(100円未満の端数は切り捨て)。標準的なかかり増し費用は、認定住宅等の構造の区分にかかわらず、1平方メートル当たり45,300円に床面積を乗じた金額で、その限度額は650万円です。

居住の用に供した年対象かかり増し費用の限度額控除率
平成21年6月4日から平成23年12月31日まで認定長期優良住宅1,000万円10%
平成24年1月1日から平成26年3月31日まで認定長期優良住宅500万円10%
平成26年4月1日から令和3年12月31日まで認定長期優良住宅、認定低炭素住宅650万円(消費税率8%または10%が含まれない場合は500万円)10%
令和4年1月1日から令和10年12月31日まで認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅650万円10%

1平方メートル当たりの金額は、平成26年4月1日から令和元年12月31日までに居住した場合は43,800円、それ以降は45,300円です。床面積が広くても、かかり増し費用は650万円で頭打ちになりますので、控除額は最大で65万円です。計算した控除額のうち100円未満は切り捨てます。

控除期間は居住年のみ。翌年に持ち越せる場合

控除期間は居住年のみです。住宅ローン控除のように長期間にわたって控除が続く制度ではなく、住み始めた年に一度だけ使います。

ただし、居住年の所得税額から控除してもなお控除しきれない金額がある場合や、居住年に所得税額がなく確定申告書を提出すべき場合・提出することができる場合のいずれにも当たらない場合には、控除しきれなかった残額(控除未済税額控除額)を居住年の翌年の所得税額から控除できます。

翌年に持ち越すには、居住年と翌年の両方の年分の合計所得金額が2,000万円以下(居住年が令和5年までであれば3,000万円以下)である必要があります。最大65万円の控除額に対して所得税額が足りない方は、2年に分けて使い切る形になります。

住宅ローン控除との選択。後から替えられない

認定住宅等新築等特別税額控除は、同じ住宅について住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を適用する場合には使えません。どちらか一方の選択です。そして、いったん確定申告書を提出すると、その後で選択を替えることはできません。

国税庁 タックスアンサー No.1221「認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」

認定住宅等新築等特別税額控除を適用して確定申告書を提出した場合には、その後においても、認定住宅等新築等特別税額控除を適用することになり、住宅借入金等特別控除との選択替えはできませんのでご注意ください。

国税庁は、この控除を適用しなかった場合も同様としています。つまり、住宅ローン控除を選んで申告した後で「税額控除のほうが有利だった」と気づいても、戻れません。ローン残高、所得税額、居住年数の見込みを並べて、申告前に比べておくことが大切です。申告の誤りを直す一般的な手続きは確定申告を間違えたときで説明していますが、この選択替えはその対象になりません。

確定申告で提出する書類

この控除を受けるには、必要事項を記載した確定申告書に書類を添えて、納税地の所轄税務署長に提出します。共通の書類は、認定住宅等新築等特別税額控除額の計算明細書、床面積を明らかにする登記事項証明書など、新築年月日や取得年月日を明らかにする工事請負契約書または売買契約書の写しです。

これに加えて、住宅の区分に応じた書類が必要です。認定長期優良住宅は長期優良住宅建築等計画の「認定通知書」の写しと、市区町村の「住宅用家屋証明書」または建築士等の「認定長期優良住宅建築証明書」。認定低炭素住宅は低炭素建築物新築等計画の「認定通知書」の写しと、「住宅用家屋証明書」または「認定低炭素住宅建築証明書」。ZEH水準省エネ住宅は建築士等が発行した「住宅省エネルギー性能証明書」または登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写しです。

登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を記載することで添付に代えられます。居住年に申告しておらず翌年の確定申告で控除する場合も、居住年に必要な書類がすべて必要とされています。居住年に申告を忘れていた方は、還付申告の期限もあわせて確認してください。

よくある質問

住宅ローンを組まずに長期優良住宅を建てても控除は受けられますか

認定住宅等新築等特別税額控除は、 認定住宅等を新築または取得して令和10年12月31日までに居住の用に供した人 が、認定基準に適合するために必要となる標準的なかかり増し費用の10パーセントを、原則としてその年分の所得税額から控除できる制度です。住宅ローンの有無は要件にありません。→ 本文で読む

省エネ基準適合住宅も認定住宅等新築等特別税額控除の対象ですか

対象になる認定住宅等は、 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅 の3種類です。それぞれ居住の用に供した期間の始まりが異なります。 注意したいのは、住宅ローン控除で出てくる 「省エネ基準適合住宅」はこの控除の対象に含まれない 点です。 ZEH水準省エネ住宅は対象ですが、その一段下の省エネ基準適合住宅は対象外 です。どの区分の証明を受けているか、建築士等の証明書や性能評価書で確かめてください。→ 本文で読む

認定住宅等新築等特別税額控除の所得や床面積の要件は何ですか

3種類に共通する適用要件は次の6つで、 すべて満たす必要があります 。特に、床面積と合計所得金額、そして買替えで前の家を売った場合の要件6に注意してください。 床面積は 登記事項証明書に表示されている床面積 で判断します。マンションは共有部分を含めない専有部分の床面積、店舗併用住宅は店舗部分も含めた建物全体、夫婦共有の住宅は持分を掛けずに建物全体の床面積で判断します。→ 本文で読む

認定住宅等新築等特別税額控除の控除額はいくらですか

控除額は、 標準的なかかり増し費用の10パーセント です(100円未満の端数は切り捨て)。標準的なかかり増し費用は、認定住宅等の構造の区分にかかわらず、1平方メートル当たり45,300円に床面積を乗じた金額で、その限度額は650万円です。→ 本文で読む

認定住宅の税額控除は何年間受けられますか

控除期間は 居住年のみ です。住宅ローン控除のように長期間にわたって控除が続く制度ではなく、住み始めた年に一度だけ使います。 ただし、居住年の所得税額から控除してもなお控除しきれない金額がある場合や、居住年に所得税額がなく確定申告書を提出すべき場合・提出することができる場合のいずれにも当たらない場合には、 控除しきれなかった残額(控除未済税額控除額)を居住年の翌年の所得税額から控除 できます。→ 本文で読む

住宅ローン控除と認定住宅の税額控除は併用できますか

認定住宅等新築等特別税額控除は、 同じ住宅について住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を適用する場合には使えません 。どちらか一方の選択です。そして、いったん確定申告書を提出すると、その後で選択を替えることはできません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1221.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

認定住宅を建てた年は、住宅ローン控除とこの控除のどちらが有利かを先に比べてください。

ローンの残高や所得税の額によって、どちらを選ぶかで戻る税金が大きく変わります。しかも一度申告すると選択替えができません。認定通知書や建築証明書などの書類がそろっているかもあわせて確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。