申告
満期保険金を受け取った会社員の確定申告。
一時所得の50万円を引いて2分の1にした金額が20万円を超えるかで決まります
生命保険の満期保険金を受け取った年、「会社員でも確定申告が要るのか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、満期保険金は一時所得です。満期保険金から払い込んだ保険料と特別控除額50万円を引き、その2分の1にした金額が20万円を超えるかどうかで、確定申告の要否を判断します。
ここで多い誤解は、50万円を引いた金額そのままで20万円と比べてしまうことです。国税庁のタックスアンサーNo.1903は、2分の1にした後の金額で判断する、と明記しています。順に確認していきます。
この記事の要点
保険料を負担した本人が満期保険金を一度に受け取った所得は、原則として一時所得です。一時所得の金額は、満期保険金から払い込んだ保険料と特別控除額50万円を引いた金額で、課税の対象はその2分の1です。給与収入2,000万円以下の会社員は、給与以外の所得金額が20万円を超えると確定申告が必要で、満期保険金だけの場合は2分の1にした後の金額で判定します。国税庁タックスアンサーNo.1903・No.1490をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
満期保険金は一時所得。給与とは別に計算する
答えを先に書くと、保険料を負担していた本人が満期保険金を一度に受け取った場合、その所得は原則として一時所得になります。国税庁のタックスアンサーNo.1903はそのように説明しています。給与所得とは別の種類の所得として計算します。
国税庁 タックスアンサー No.1903「給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
保険料の負担者本人が満期保険金を一度に受領した場合には、この所得は、原則として一時所得になります。
一時所得とは、No.1490によれば、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得です。生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等のほか、懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金なども一時所得に入ります。保険料を負担した本人が受け取る場合の話で、負担者と受取人が違う場合は別の扱いになります。その分かれ目は満期保険金・解約返戻金の税金は一時所得か贈与税で整理しています。
計算式。払った保険料と50万円を引き、2分の1にする
一時所得の金額は、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象となるのは、この金額をさらに2分の1にした金額です。
国税庁 タックスアンサー No.1903「給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
一時所得の金額 = 満期保険金 - (支払保険料総額 - 剰余金) - 50万円(50万円に満たない場合にはその金額)
算式のとおり、支払保険料総額から剰余金を差し引いた額を、満期保険金から引きます。そして、課税の対象となる金額は一時所得の金額×1/2です。
特別控除の50万円は、満期保険金以外に他の一時所得がない場合の前提です。同じ年に別の一時所得があれば、合わせて計算します。満期保険金と払込保険料の差額が50万円以下なら、一時所得の金額はゼロになります。
会社員は原則、年末調整で済む
1か所から給与等の支払を受けている給与所得者で、その給与等の収入金額が2,000万円以下の場合は、原則として年末調整によって税額の精算が行われるので、確定申告は不要です。No.1903はそのように説明しています。
しかし、この場合でも「給与所得および退職所得以外の所得金額」が20万円を超えるときなどは、確定申告をすれば税金が還付される人を除いて、確定申告をする必要があります。満期保険金を受け取った年は、この20万円の判定に一時所得が入ってきます。会社員の確定申告が必要な場合の全体は会社員でも確定申告が必要な場合で整理しています。
20万円の判定は、2分の1にした後の金額で行う
ここが最も大切な点です。「給与所得および退職所得以外の所得金額」が満期保険金の受領などの一時所得のみの場合、特別控除後の金額(一時所得の金額)を2分の1にした課税の対象となる金額が20万円を超えるかどうかで、確定申告が必要かどうかを判断します。
国税庁 タックスアンサー No.1903「給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
「給与所得および退職所得以外の所得金額」が満期保険金の受領などの一時所得のみの場合については、特別控除後の金額(一時所得の金額)を2分の1にした課税の対象となる金額が20万円を超えるかどうかにより、確定申告をする必要があるかどうかを判断します。
つまり、50万円を引いた一時所得の金額をそのまま20万円と比べるのではなく、2分の1にした後の金額を20万円と比べます。一時所得の金額そのものが20万円を超えていても、2分の1にした後が20万円以下なら、他に所得がなければ申告は不要です。
ただし、副業の雑所得など、一時所得以外の所得もある場合は、それらを合わせて判定します。副業と20万円の関係は副業20万円以下でも住民税の申告は必要をご覧ください。所得税の申告が不要でも、住民税の申告が別に必要になることがあります。
一時払養老保険などは源泉分離課税で申告できない
同じ保険の満期でも、確定申告の対象にならないものがあります。No.1490は、一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税が適用され、確定申告を行うことはできない、としています。
受け取るときに税金が引かれて完結しますので、確定申告の対象から外れます。保険会社から届く支払明細で、源泉徴収されているかどうかを確かめてください。なお、令和9年1月1日以後に生ずる所得については、復興特別所得税の税率が1.1パーセントに引き下げられ、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1パーセント相当額)が併せて源泉徴収されます。
よくある質問
満期保険金は何所得になりますか
答えを先に書くと、保険料を負担していた本人が満期保険金を一度に受け取った場合、その所得は原則として一時所得になります。国税庁のタックスアンサーNo.1903はそのように説明しています。給与所得とは別の種類の所得として計算します。→ 本文で読む
満期保険金の一時所得はどのように計算しますか
一時所得の金額は、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象となるのは、この金額をさらに2分の1にした金額です。→ 本文で読む
満期保険金を受け取った会社員は確定申告が必要ですか
1か所から給与等の支払を受けている給与所得者で、その給与等の収入金額が2,000万円以下の場合は、原則として年末調整によって税額の精算が行われるので、確定申告は不要です。No.1903はそのように説明しています。→ 本文で読む
満期保険金の20万円の判定はどの金額で行いますか
ここが最も大切な点です。「給与所得および退職所得以外の所得金額」が満期保険金の受領などの一時所得のみの場合、特別控除後の金額(一時所得の金額)を2分の1にした課税の対象となる金額が20万円を超えるかどうかで、確定申告が必要かどうかを判断します。→ 本文で読む
一時払養老保険の満期金も確定申告が必要ですか
同じ保険の満期でも、確定申告の対象にならないものがあります。No.1490は、一時払養老保険、一時払損害保険等(保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすもの)の差益等については、20.315パーセント(所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税が適用され、確定申告を行うことはできない、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1903.htm - 国税庁「No.1490 一時所得」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1490.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
保険会社から届く支払明細を、給与の源泉徴収票と並べて確認してください。
満期保険金の確定申告の要否は、受け取った金額と払い込んだ保険料の差額で決まります。同じ年に副業の収入や他の一時所得があれば、合わせて判定します。支払明細と源泉徴収票をお持ちいただければ、申告が必要かどうかをその場で確かめられます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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