申告
休業手当は給与所得で課税、休業補償は非課税。
労働基準法の手当の税金は名前が似ていても扱いが違います
会社から「休業手当」や「休業補償」を受け取ったとき、「これに税金はかかるのか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、会社都合で休んだときの「休業手当」は給与所得として課税され、仕事中のけがなどで休んだときの「休業補償」は非課税です。一字違いですが、扱いは正反対です。
就業規則で法定の額に上乗せして支給される分も、けがに対する損害賠償の性質があれば非課税になります。国税庁のタックスアンサーNo.1905で、どの手当がどちらになるのかを確認していきます。
この記事の要点
会社の都合で休業したときに支給される労働基準法第26条の「休業手当」は給与所得として課税されます。一方、業務上の負傷等で休業したときの労働基準法第76条の「休業補償」など、第8章(災害補償)の規定により受ける給付は非課税所得です。就業規則に基づき法定の割合を超えて支給される付加給付金も、心身に加えられた損害に対する慰謝料として非課税になります。国税庁タックスアンサーNo.1905をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
休業手当は課税、休業補償は非課税
答えを先に書くと、会社の都合で休んだときの「休業手当」は給与所得として課税され、仕事中のけがなどで休んだときの「休業補償」は非課税です。国税庁のタックスアンサーNo.1905は、給与所得者が勤務先から受ける労働基準法上の各種手当について、この2つを分けて説明しています。
| 手当 | 根拠 | 支給される場面 | 課税関係 |
|---|---|---|---|
| 休業手当 | 労働基準法第26条 | 使用者の責に帰すべき事由により休業した場合 | 給与所得(課税) |
| 休業補償 | 労働基準法第76条 | 労働者が業務上の負傷等により休業した場合 | 非課税所得 |
名前は一字違いですが、「手当」は働けなかった分の賃金の穴埋め、「補償」は業務上の災害に対する補償という性質の違いが、課税・非課税の違いになっています。
労働基準法第26条の休業手当は給与所得
休業手当は、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給されるものです。No.1905は、この休業手当は給与所得となる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1905「労働基準法の休業手当等の課税関係」
使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給される「休業手当」は、給与所得となります。
工場の稼働停止、受注減による自宅待機、店舗の臨時休業など、会社側の事情で働けなかった日に支払われるのが休業手当です。ふだんの給料と同じ給与所得として扱われ、源泉徴収票の支払金額に含まれます。
会社員の方が休業手当を受け取った年に、そのことだけで特別な申告が必要になるわけではありません。会社から受ける給与の一部として、通常は年末調整で完結します。ほかに確定申告が必要になる事情があるかは会社員でも確定申告が必要な場合で確認できます。
労働基準法第76条の休業補償は非課税所得
休業補償は、労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給されるものです。No.1905は、この「休業補償」など、労働基準法第8章(災害補償)の規定により受ける療養のための給付等は非課税所得となる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1905「労働基準法の休業手当等の課税関係」
労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給される「休業補償」など、労働基準法第8章(災害補償)の規定により受ける療養のための給付等は、非課税所得となります。
仕事中のけがや病気で働けない間の補償ですから、所得税はかかりません。源泉徴収票の支払金額にも入らず、確定申告に含める必要もありません。同じ「休業」でも、会社都合なら課税、業務上の災害なら非課税と覚えてください。
就業規則で上乗せする付加給付金も非課税
会社によっては、法律で定められた休業補償に、就業規則で上乗せの給付を行うことがあります。No.1905は、勤務先の就業規則に基づき、労働基準法第76条第1項に定める割合を超えて支給される付加給付金についても非課税所得となる、としています。
理由は、No.1905によれば、労働基準法上の給付では補てんされない部分に対応する民法上の損害賠償に相当するものであり、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料として非課税になる、というものです。法定の割合を超える上乗せ部分も、けがに対する損害賠償の性質があれば課税されないということです。
療養補償・障害補償など第8章の給付
非課税になるのは休業補償だけではありません。No.1905は、労働基準法第8章には「休業補償」以外にも「療養補償」や「障害補償」などが規定されている、としています。これらも第8章(災害補償)の規定により受ける給付として非課税所得です。
治療のための療養補償、後遺障害に対する障害補償など、業務上の災害に対する補償はまとめて非課税と考えてよい、ということです。No.1905が根拠として挙げているのは、所得税法9条・28条、所得税法施行令20条・30条、所得税基本通達9-24です。
給与明細のどこを見るか
実務では、給与明細や源泉徴収票の項目名と支給の理由で見分けます。「休業手当」として課税支給額に含まれていれば給与所得です。「休業補償」や「療養補償」として支給され、非課税の欄や別の支払書で受け取っていれば非課税所得です。
もし会社が業務上の災害に対する補償を課税扱いで処理していた場合は、源泉徴収票の支払金額が過大になっている可能性があります。名称と支給の理由を会社に確かめ、必要なら訂正を依頼してください。年末調整の仕組みは年末調整の対象者と順序で整理しています。
よくある質問
休業手当と休業補償の税金はどう違いますか
答えを先に書くと、会社の都合で休んだときの「休業手当」は給与所得として課税され、仕事中のけがなどで休んだときの「休業補償」は非課税です。国税庁のタックスアンサーNo.1905は、給与所得者が勤務先から受ける労働基準法上の各種手当について、この2つを分けて説明しています。→ 本文で読む
休業手当に所得税はかかりますか
休業手当は、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に支給されるものです。No.1905は、この休業手当は給与所得となる、としています。 工場の稼働停止、受注減による自宅待機、店舗の臨時休業など、会社側の事情で働けなかった日に支払われるのが休業手当です。 ふだんの給料と同じ給与所得 として扱われ、源泉徴収票の支払金額に含まれます。→ 本文で読む
休業補償は非課税ですか
休業補償は、労働者が業務上の負傷等により休業した場合に支給されるものです。No.1905は、この「休業補償」など、労働基準法第8章(災害補償)の規定により受ける療養のための給付等は非課税所得となる、としています。→ 本文で読む
会社が上乗せした休業補償も非課税ですか
会社によっては、法律で定められた休業補償に、就業規則で上乗せの給付を行うことがあります。No.1905は、勤務先の就業規則に基づき、労働基準法第76条第1項に定める割合を超えて支給される付加給付金についても非課税所得となる、としています。→ 本文で読む
療養補償や障害補償にも税金はかかりますか
非課税になるのは休業補償だけではありません。No.1905は、労働基準法第8章には「休業補償」以外にも「療養補償」や「障害補償」などが規定されている、としています。これらも第8章(災害補償)の規定により受ける給付として非課税所得です。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1905 労働基準法の休業手当等の課税関係」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1905.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
「休業手当」と「休業補償」、明細の名称を確かめてください。
会社都合の休業手当は給与所得、業務上のけがによる休業補償は非課税で、税金の扱いが正反対です。就業規則による上乗せ分も、損害賠償の性質があれば非課税です。源泉徴収票の金額に疑問があれば、明細をお持ちいただければ確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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