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公社債の償還金の税金。
発行時に源泉分離課税で終わるものと、償還時に申告分離課税になるもの

満期を迎えた国債や社債の償還金が口座に入ったとき、確定申告が要るのかどうか迷う方がいらっしゃいます。

答えを先に書くと、公社債の償還金は、発行時の源泉徴収だけで課税が終わるもの(源泉分離課税)と、償還時に株式等の譲渡所得等として申告分離課税になるものの2つに分かれます。いま流通している公社債の多くは後者で、原則として確定申告が必要ですが、特定口座(源泉徴収選択口座)で管理されていれば申告不要を選べます。

国税庁のタックスアンサーNo.1510で、どちらに当たるか、税率と源泉徴収の仕組みを確かめていきます。

公開 最終更新

この記事の要点

公社債の償還金の課税は2つに分かれます。平成27年12月31日以前に発行された割引債など特定の公社債は、発行時に18.378パーセントが源泉徴収され、それで課税が終わります(源泉分離課税)。それ以外は、償還金を株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなす申告分離課税(15.315パーセント、他に地方税5パーセント)で、原則として確定申告が必要です。特定口座なら申告不要を選べます。国税庁タックスアンサーNo.1510をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

公社債の償還金の課税は2つに分かれる

公社債の償還金(満期に戻ってくるお金)の課税は、大きく2つに分かれます。国税庁のタックスアンサーNo.1510は、発行時の源泉徴収だけで課税関係が終了する源泉分離課税のものと、償還時に株式等の譲渡所得等の収入金額とみなして申告分離課税の対象とされるものに分けています。

どんな公社債か課税の仕組み
1割引の方法で発行される特定の公社債発行時に発行差金(券面金額から発行価額を控除した金額)に対して源泉徴収(18.378パーセント、特別割引債は16.336パーセント)。それだけで課税関係が終了(源泉分離課税)
21以外の公社債償還時に償還金を「上場株式等に係る譲渡所得等」または「一般株式等に係る譲渡所得等」の収入金額とみなして申告分離課税(15.315パーセント、他に地方税5パーセント)

1は発行時に課税が済んでいるもの、2は償還時に株式を売ったのと同じ扱いで課税されるものです。どちらに当たるかは、主にその公社債がいつ発行されたかで決まります。

発行時に源泉分離課税で終わる公社債。平成27年12月31日以前の割引債など

源泉分離課税で終わる公社債は、割引の方法により発行される公社債のうち、No.1510が挙げる次のものです。

発行時の源泉分離課税の対象となる公社債
イ平成27年12月31日以前に発行された国債および地方債
ロ平成27年12月31日以前に発行された内国法人が発行する社債(会社以外の内国法人が特別の法律により発行する債券を含む)
ハ平成27年12月31日以前に発行された外国法人が発行する債券(国外において発行する割引債は、平成20年5月1日以後発行されるもので、社債発行差金のうち国内において行う事業に帰せられるものがある場合に限る)
ニ平成28年1月1日以後に発行された預金保険法に規定する長期信用銀行債等および農水産業協同組合貯金保険法に規定する農林債

要するに、平成27年12月31日以前に発行された割引債が中心です。ただし、外貨公債の発行に関する法律の規定により発行される外貨債と、独立行政法人住宅金融支援機構・沖縄振興開発金融公庫・独立行政法人都市再生機構がそれぞれの法律の規定により発行する債券は除かれます。

税率が16.336パーセントになる「特別割引債」は、東京湾横断道路株式会社が法令の規定によって発行する社債と、民間都市開発推進機構が法令の規定によって発行する債券です。これらの公社債の償還金は、発行時の源泉徴収で課税が終わっているので、償還のときに確定申告は要りません。

償還時に申告分離課税になる公社債。税率15.315パーセント

上の源泉分離課税の対象以外の公社債の償還金は、原則として、株式を売ったときと同じ「譲渡所得等」の収入金額とみなして申告分離課税の対象になります。No.1510は次のように書いています。

国税庁 タックスアンサー No.1510「公社債の償還金と税金」

上記の「発行時の源泉分離課税の対象となる公社債」以外の公社債の償還金は、原則として、「上場株式等に係る譲渡所得等」(上場株式等に該当する公社債の場合)または「一般株式等に係る譲渡所得等」(一般株式等に該当する公社債の場合)に係る収入金額とみなして、申告分離課税(15.315パーセント(他に地方税5パーセント))の対象とされます。

税率は所得税等が15.315パーセント、これに地方税5パーセントが別にかかります。上場株式等に該当する公社債なら「上場株式等に係る譲渡所得等」、一般株式等に該当する公社債なら「一般株式等に係る譲渡所得等」として、それぞれの区分のなかで株式などの損益と一緒に計算します。償還金が上場株式等に係る譲渡所得等になるということは、同じ年の上場株式の譲渡損失と通算できるということでもあります。損益通算の仕組みは株の譲渡損失は配当と通算、3年間繰越で整理しています。

同族会社の社債の償還金は雑所得(総合課税)

例外があります。特定公社債以外の公社債の償還金のうち、同族会社が発行した社債をその会社のオーナーやその親族などが持っている場合の償還金は、申告分離課税ではなく雑所得として総合課税になります。No.1510は次の3つを挙げています。

雑所得として総合課税になる償還金
イ平成28年1月1日以後に支払を受けるべき同族会社が発行した社債の償還金で、その同族会社の判定の基礎となる一定の株主およびその親族等が支払を受けるもの
ロ令和3年4月1日以後に支払を受けるべき同族会社が発行した社債の償還金で、その同族会社の判定の基礎となる株主である法人と特殊の関係のある個人(法人との間に発行済株式等の50パーセント超の保有関係がある個人等)およびその親族等が支払を受けるもの
ハ令和8年4月1日以後に同族会社の役員等が支払を受けるべき、その同族会社以外の法人(特定法人)が発行した社債の償還金で、実質的にその同族会社から支払を受けるものと認められる場合の償還金

ハの「実質的にその同族会社から支払を受けるものと認められる場合」とは、No.1510の注記によれば、特定法人が発行した社債に係る債務についての同族会社による保証の契約などの内容や状況からみて、同族会社の役員等が債務不履行により実質的に損失を受けないと認められる場合です。自分の会社(または関係する会社)が発行した社債を持っているオーナーの方は、申告分離課税ではなく総合課税になる可能性があります。雑所得の位置づけは雑所得の3区分で整理しています。

償還時に源泉徴収されるもの。みなし割引率

申告分離課税の対象となる公社債でも、国内で支払われるものの一部は、償還のときに源泉徴収が行われます。No.1510は、割引債など次のものについて、償還時の源泉徴収の計算を示しています。

対象源泉徴収税額の計算
イ 割引の方法により発行される公社債、分離元本公社債、利子が支払われる公社債で発行価額の額面金額に対する割合が90パーセント以下のもの(償還期間が1年以内)償還金額×0.2%(みなし割引率)×15.315%(他に地方税5%)
イ 同じもので、償還期間が1年超償還金額×25%(みなし割引率)×15.315%(他に地方税5%)
ロ 分離利子公社債償還金額×25%(みなし割引率)×15.315%(他に地方税5%)
ハ 償還の時に特定口座(源泉徴収選択口座)において管理されているもの譲渡所得(償還差益)×15.315%(他に地方税5%)

イとロは、償還の時に特定口座において管理されているものと、外貨公債の発行に関する法律の規定により発行される外貨債を除きます。「みなし割引率」というのは、実際の利益ではなく、償還金額に一定の率を掛けて利益とみなす仕組みです。実際の償還差益とは違う金額で源泉徴収されるため、正しい税額との差は確定申告で精算します。

これに対してハの特定口座(源泉徴収選択口座)では、実際の譲渡所得(償還差益)に対して源泉徴収されます。特定口座で管理されている公社債は、株式と同じように口座内で税額が計算されているということです。

原則は確定申告。特定口座なら申告不要を選べる

源泉分離課税の対象以外の公社債の償還金は、原則として確定申告が必要です。No.1510は、償還時に源泉徴収された税額は確定申告において納付すべき税額から控除する、としています。

国税庁 タックスアンサー No.1510「公社債の償還金と税金」

ただし、上記(2)ハについては申告不要を選択することができます。

例外は、特定口座(源泉徴収選択口座)で管理されている公社債の償還金です。この場合は申告不要を選べます。ただし、同じ年に株式の損失があって通算したい場合などは、申告したほうが有利なことがあります。

なお、No.1510の注記は、平成25年から令和29年までは復興特別所得税を所得税と併せて申告・納付すること、そして令和8年度税制改正により防衛特別所得税の創設と復興特別所得税の税率の引下げ・課税期間の延長が行われ令和9年以後に適用されること(合計税率に変更はない)を案内しています。源泉徴収票や年間取引報告書の税率の表示が変わる可能性がありますので、覚えておいてください。

よくある質問

公社債の償還金にはどのように税金がかかりますか

公社債の償還金(満期に戻ってくるお金)の課税は、大きく2つに分かれます。国税庁のタックスアンサーNo.1510は、発行時の源泉徴収だけで課税関係が終了する源泉分離課税のものと、償還時に株式等の譲渡所得等の収入金額とみなして申告分離課税の対象とされるものに分けています。→ 本文で読む

発行時に源泉分離課税で終わる公社債はどれですか

源泉分離課税で終わる公社債は、割引の方法により発行される公社債のうち、No.1510が挙げる次のものです。 要するに、 平成27年12月31日以前に発行された割引債 が中心です。ただし、外貨公債の発行に関する法律の規定により発行される外貨債と、独立行政法人住宅金融支援機構・沖縄振興開発金融公庫・独立行政法人都市再生機構がそれぞれの法律の規定により発行する債券は除かれます。→ 本文で読む

公社債の償還金の申告分離課税の税率はいくらですか

上の源泉分離課税の対象以外の公社債の償還金は、原則として、株式を売ったときと同じ「譲渡所得等」の収入金額とみなして申告分離課税の対象になります。No.1510は次のように書いています。→ 本文で読む

同族会社の社債の償還金はどう課税されますか

例外があります。特定公社債以外の公社債の償還金のうち、同族会社が発行した社債をその会社のオーナーやその親族などが持っている場合の償還金は、申告分離課税ではなく雑所得として総合課税になります。No.1510は次の3つを挙げています。→ 本文で読む

公社債の償還時に源泉徴収はされますか

申告分離課税の対象となる公社債でも、国内で支払われるものの一部は、償還のときに源泉徴収が行われます。No.1510は、割引債など次のものについて、償還時の源泉徴収の計算を示しています。→ 本文で読む

公社債の償還金は確定申告が必要ですか

源泉分離課税の対象以外の公社債の償還金は、原則として確定申告が必要です。No.1510は、償還時に源泉徴収された税額は確定申告において納付すべき税額から控除する、としています。 例外は、特定口座(源泉徴収選択口座)で管理されている公社債の償還金です。 この場合は申告不要を選べます。 ただし、同じ年に株式の損失があって通算したい場合などは、申告したほうが有利なことがあります。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1510 公社債の償還金と税金」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1510.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

償還のお知らせと、証券会社の年間取引報告書を並べてください。

公社債の償還金は、発行の時期と口座の種類で申告の要否が変わります。特定口座(源泉徴収選択口座)なら申告不要を選べますが、株式の損失と通算したい年は申告したほうが有利なこともあります。同族会社の社債を持っているオーナーの方は、償還金が雑所得になる場合があるので別に確かめます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。