控除
勤労学生控除は27万円。
合計所得金額85万円以下など3つの要件と手続き
アルバイトをしている学生さんやその親御さんから、「勤労学生控除は自分に使えるのか」というご質問をいただきます。
答えを先に書くと、勤労学生控除は学生本人の所得から27万円を差し引ける所得控除で、その年の12月31日の現況で3つの要件をすべて満たす人が対象です。要件の中心は、合計所得金額が85万円以下であることと、特定の学校に通っていることです。
この金額は年分によって変わっており、令和8年分からは引き上げられます。国税庁のタックスアンサーNo.1175に沿って、要件・学校の範囲・手続きを順に確かめます。
この記事の要点
勤労学生控除は、働きながら学校に通う学生本人が受けられる27万円の所得控除です。要件は、勤労による所得があること、合計所得金額が85万円以下(令和2年分から令和6年分までは75万円以下、令和8年分からは89万円以下)で勤労以外の所得が10万円以下であること、特定の学校の学生であることの3つです。手続きは勤務先に出す扶養控除等申告書か確定申告書で行います。国税庁タックスアンサーNo.1175をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
- 関連扶養控除の4段階
- ご案内会社員の副業の確定申告
控除額は27万円
勤労学生控除の控除額は27万円です。納税者自身が勤労学生であるときに受けられる所得控除で、給与などの所得から27万円を差し引いたうえで税金を計算します。国税庁のタックスアンサーNo.1175は、この控除を次のように説明しています。
国税庁 タックスアンサー No.1175「勤労学生控除」
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。
ポイントは「納税者自身が」という部分です。勤労学生控除は学生本人の所得から引く控除で、親の所得から引くものではありません。親御さんの側は、別に扶養控除の要件で判定します。
対象になる人の3つの要件
勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。どれか1つでも欠けると控除は受けられません。
| 要件 | |
|---|---|
| (1) | 給与所得などの勤労による所得があること |
| (2) | 合計所得金額が85万円以下で、かつ、(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること |
| (3) | 特定の学校の学生、生徒であること |
(1)は、アルバイトの給与のように働いて得た所得があることです。(2)は所得の上限で、合計所得金額そのものの線と、勤労以外の所得の線の2つがあります。たとえば株式の配当や仕送り以外の収入が勤労以外の所得に当たります。(3)の学校の範囲は後で説明します。
合計所得金額の線は年分で変わる
要件(2)の合計所得金額の上限は、85万円以下です。ただし、令和2年分から令和6年分までは75万円以下でした。さらに、令和8年分からは89万円以下に引き上げられます。どの年分の申告かで当てはめる金額が変わります。
| 年分 | 合計所得金額の上限 |
|---|---|
| 令和2年分から令和6年分まで | 75万円以下 |
| 令和7年分 | 85万円以下 |
| 令和8年分から | 89万円以下 |
令和8年分からの89万円は、令和8年12月1日に施行される改正によるものです。国税庁は、給与所得控除についても改正されるとし、施行日前の適用関係は「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」で確認するよう案内しています。合計所得金額は給与の額面ではなく、給与所得控除を引いた後の金額ですので、アルバイトの年収そのままで判定しないよう注意してください。年収の線の全体像は年収の壁の改正で整理しています。
特定の学校とは
要件(3)の特定の学校は、学校教育法に規定する小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校などのほか、一定の専修学校・各種学校、認定職業訓練を行う職業訓練法人のうち一定の課程を履修させるものです。国税庁は次の3つに分けています。
| 学校の区分 | |
|---|---|
| イ | 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など |
| ロ | 国、地方公共団体、学校法人などにより設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの |
| ハ | 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの |
ロとハの「一定の課程」には細かい条件があります。専修学校の高等課程・専門課程では、職業に必要な技術を教えること、修業期間が1年以上であること、1年の授業時間数が800時間以上であること(夜間などの場合は1年の授業時間数が450時間以上で、修業期間を通ずる授業時間数が800時間以上)、授業が年2回を超えない一定の時期に開始され終期が明確であること、が挙げられています。それ以外の課程では、修業期間が2年以上、1年の授業時間数が680時間以上などとされています。
国税庁は、以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してくださいとしています。大学や高校であれば迷いませんが、専門学校や職業訓練校の場合は学校に聞くのが確実です。
手続きは勤務先か確定申告で
勤労学生控除を受けるには、給与所得者は「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出します。確定申告をする場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出します。
国税庁 タックスアンサー No.1175「勤労学生控除」
この控除を受けるためには、給与所得者の場合は、「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出してください。確定申告を行う場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出してください。
アルバイト先が1か所で年末調整を受けるなら、扶養控除等申告書の勤労学生の欄にチェックを入れるだけで済みます。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合や、年末調整で控除を受け忘れた場合は確定申告で受けます。掛け持ちの申告については会社員でも確定申告が必要な場合もご覧ください。申告先は所轄税務署または勤務先です。
専修学校・各種学校の生徒は証明書が必要
学校の区分のロ・ハに当たる専修学校、各種学校、職業訓練学校の生徒は、在学する専修学校の長などから必要な証明書の交付を受けて、申告書に添付するか、提出の際に提示する必要があります。大学や高校の学生にはこの証明書は求められていません。
ただし、給与所得者で年末調整の際に控除の適用を受けた人は、証明書の添付・提示は必要ありません。確定申告で控除を受ける専門学校の生徒さんは、申告前に学校へ証明書を依頼しておいてください。年度末は学校側も混みますので、早めの手配をおすすめします。
よくある質問
勤労学生控除の控除額はいくらですか
勤労学生控除の控除額は 27万円 です。納税者自身が勤労学生であるときに受けられる所得控除で、給与などの所得から27万円を差し引いたうえで税金を計算します。国税庁のタックスアンサーNo.1175は、この控除を次のように説明しています。→ 本文で読む
勤労学生控除を受けるための要件は何ですか
勤労学生とは、 その年の12月31日の現況 で、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。どれか1つでも欠けると控除は受けられません。 (1)は、アルバイトの給与のように働いて得た所得があることです。(2)は所得の上限で、 合計所得金額そのものの線と、勤労以外の所得の線の2つ があります。たとえば株式の配当や仕送り以外の収入が勤労以外の所得に当たります。(3)の学校の範囲は後で説明します。→ 本文で読む
勤労学生控除の合計所得金額の上限はいくらですか
要件(2)の合計所得金額の上限は、 85万円以下 です。ただし、令和2年分から令和6年分までは75万円以下でした。さらに、令和8年分からは 89万円以下 に引き上げられます。どの年分の申告かで当てはめる金額が変わります。→ 本文で読む
専門学校の学生も勤労学生控除を受けられますか
要件(3)の特定の学校は、 学校教育法に規定する小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校など のほか、一定の専修学校・各種学校、認定職業訓練を行う職業訓練法人のうち一定の課程を履修させるものです。国税庁は次の3つに分けています。→ 本文で読む
勤労学生控除はどこで手続きしますか
勤労学生控除を受けるには、給与所得者は 「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出 します。確定申告をする場合は、確定申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して提出します。→ 本文で読む
勤労学生控除に証明書は必要ですか
学校の区分のロ・ハに当たる 専修学校、各種学校、職業訓練学校の生徒 は、在学する専修学校の長などから必要な証明書の交付を受けて、申告書に添付するか、提出の際に提示する必要があります。大学や高校の学生にはこの証明書は求められていません。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1175 勤労学生控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
学生のアルバイト収入は、学生本人の控除と親の扶養の両方に関わります。
勤労学生控除は学生本人の税金を軽くする制度ですが、親御さんの扶養控除は別の要件で判定します。どちらにどう影響するかは、年収の見込みが立った時点で一度整理しておくと安心です。学校の種類によっては証明書の取り寄せが必要になります。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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