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控除

介護施設の費用は医療費控除の対象になります。
特別養護老人ホームは自己負担額の2分の1、老健・介護医療院は全額

親御さんが特別養護老人ホームや老健に入り、毎月の施設の費用を負担している方は少なくありません。

答えを先に書くと、介護保険の施設に支払った介護費・食費・居住費の自己負担額は、医療費控除の対象になります。ただし、特別養護老人ホームは自己負担額の2分の1、介護老人保健施設や介護医療院は支払った金額の全部と、施設の種類で対象になる額が違います。

領収証に対象額が書かれているとはいえ、なぜ2分の1なのか、何が対象外なのかを知っておくと、書類を見たときに迷いません。国税庁のタックスアンサーNo.1125で順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

特別養護老人ホームや介護老人保健施設など介護保険の施設に入所したときの費用は、医療費控除の対象になります。対象は施設サービスの対価(介護費・食費・居住費)の自己負担額で、特別養護老人ホームと地域密着型は2分の1、介護老人保健施設・介護医療院は支払った金額です。日常生活費や特別なサービス費用は対象外で、高額介護サービス費の払戻しは差し引きます。国税庁タックスアンサーNo.1125をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

介護施設の費用も医療費控除の対象になる

まず答えを書くと、介護保険の施設に入所して支払った費用のうち、看護や医学的管理の下における療養上の世話などに相当する部分は、医療費控除の対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.1125は、介護保険制度下での施設サービスの対価について、この考え方を示しています。

国税庁 タックスアンサー No.1125「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」

これらの施設から提供を受ける施設サービスの対価のうち、看護、医学的管理の下における療養上の世話等に相当する部分の対価として入所者が負担する金額については、医療費控除の対象となります。

対象となる施設は、No.1125が4つ挙げています。(1)指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と指定地域密着型介護老人福祉施設、(2)介護老人保健施設、(3)指定介護療養型医療施設(療養型病床群等)、(4)介護医療院です。いずれも、要介護者が入所して介護保険サービスを受けられる施設です。有料老人ホームなど、この4つ以外の住まいの費用は、No.1125の対象としては挙げられていません。

背景には、介護保険サービスは医療との連携に十分配慮して行わなければならないとされていて、日常生活上の世話のほかに看護や医学的管理の下における療養上の世話が含まれている、という考え方があります。介護の費用のなかに、医療にあたる部分が入っていると見るわけです。

施設ごとの対象額。特養は2分の1、ほかは自己負担額

対象になる金額は施設の種類で変わります。特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)と指定地域密着型介護老人福祉施設は自己負担額の2分の1、介護老人保健施設・指定介護療養型医療施設・介護医療院は自己負担額として支払った金額が対象です。

施設名医療費控除の対象対象外
指定介護老人福祉施設【特別養護老人ホーム】
指定地域密着型介護老人福祉施設
施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額の2分の1に相当する金額日常生活費
特別なサービス費用
介護老人保健施設施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額日常生活費
特別なサービス費用
指定介護療養型医療施設【療養型病床群等】
(令和6年3月31日まで)
施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額日常生活費
特別なサービス費用
介護医療院施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額日常生活費
特別なサービス費用

「施設サービスの対価」とは、介護費、食費および居住費のことです。介護のサービス料だけでなく、食費や居住費も含めた自己負担額が基礎になります。

なお、指定介護療養型医療施設は、平成18年の介護保険法の改正により令和6年3月31日に廃止されました。介護医療院は、平成29年の介護保険法の改正により平成30年4月1日に創設された施設で、いまは療養型からの移り先になっています。

特別養護老人ホームが2分の1になる理由

特別養護老人ホームの費用が2分の1になるのは、施設サービスの対価のうち療養上の世話等に相当する部分の金額が、自己負担額の2分の1に相当する金額と定められているからです。介護の費用のうち医療にあたる部分を、一律に半分と見ている、ということです。

No.1125によると、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)と指定地域密着型介護老人福祉施設は、要介護者に対し、施設サービス計画に基づき、(1)入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、(2)機能訓練、(3)健康管理および(4)療養上の世話を行うことを目的とする施設で、都道府県知事が指定したものです。医療の施設ではなく、生活の場としての性格が強いため、老健などとは扱いが分かれます。

国税庁 タックスアンサー No.1125「医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」

したがって、指定介護老人福祉施設または指定地域密着型介護老人福祉施設から提供を受ける施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った額の2分の1に相当する金額が医療費控除の対象となります。

介護老人保健施設・介護医療院は自己負担額が対象

介護老人保健施設(老健)と介護医療院は、施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額が、そのまま医療費控除の対象になります。2分の1にはなりません。

違いの理由は、施設の性格です。No.1125は、介護老人保健施設と介護医療院は、医療法に定める「病院」または「診療所」ではないものの、医療法以外の規定(健康保険法や国民健康保険法等を除きます。)では、原則として「病院」または「診療所」に含まれることとされている、としています。病院に準じる施設だから、支払った自己負担額が全部対象になるという整理です。

介護老人保健施設は、要介護者に対し、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他の日常生活上の世話を行うことを目的とする施設です。介護医療院は、主として長期にわたり療養が必要な要介護者に対し、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護および機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設で、都道府県知事の許可を受けたものです。

個室などの特別室を使った場合の使用料についても触れておきます。No.1125の注記は、介護老人保健施設、指定介護療養型医療施設および介護医療院の個室等の特別室の使用料は、診療または治療を受けるためにやむを得ず支払うものに限り、医療費控除の対象となる、としています。

日常生活費と特別なサービス費用は対象外

どの施設でも、日常生活費と特別なサービス費用は医療費控除の対象外です。領収証で介護費・食費・居住費とは別に書かれている項目は、対象額の計算から外します。

日常生活費とは、No.1125の注記によると、理美容代やその他施設サービス等において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものの費用で、その入所者に負担させることが適当と認められるものです。自宅で暮らしていてもかかる費用と考えると分かりやすいです。

領収証の内訳を見て、介護費・食費・居住費の自己負担額だけを拾うのが基本です。医療費控除の全体の計算は医療費控除の基本で整理しています。

高額介護サービス費の払戻しは差し引く

高額介護サービス費として払戻しを受けた場合は、その金額を医療費の金額から差し引いて医療費控除の金額を計算します。医療費控除で保険金などの補てんを差し引くのと同じ考え方です。

ここにも2分の1が出てきます。No.1125の注記は、指定介護老人福祉施設および指定地域密着型介護老人福祉施設の施設サービス費に係る自己負担額のみに対する高額介護サービス費については、その2分の1に相当する金額を医療費の金額から差し引く、としています。対象になる費用が2分の1なら、それに対する払戻しも2分の1だけ差し引くという対応関係です。

領収証に対象額が書かれている

これらの施設が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることになっています。ご自身で2分の1を計算しなくても、領収証の欄を見れば対象額が分かる、というのが実務の入口です。

介護老人保健施設については、No.1125の注記が、平成30年9月28日付厚生労働省通知(老老発0928第3号・老振発0928第2号)に触れています。そこでは、医療費控除対象額が明らかになるように、介護費、食費および居住費に係る自己負担額を区分ごとに記載すること、可能な限り利用者の利便に資するよう医療費控除の合計対象額を記載するよう努めることが記載されている、とされています。

領収証に対象額の記載がない、内訳が読み取れないという場合は、施設に確認してください。医療費控除は領収証の金額をそのまま足すのではなく、対象額の欄を足す。この一点を押さえておけば、施設の費用の医療費控除は大きく間違えません。親御さんの介護保険料をご自身が払っている場合は、社会保険料控除の対象になることもあわせて確認してください。

よくある質問

特別養護老人ホームの費用は医療費控除の対象になりますか

まず答えを書くと、介護保険の施設に入所して支払った費用のうち、看護や医学的管理の下における療養上の世話などに相当する部分は、医療費控除の対象になります。国税庁のタックスアンサーNo.1125は、介護保険制度下での施設サービスの対価について、この考え方を示しています。→ 本文で読む

介護施設の費用のうち医療費控除の対象になる金額はいくらですか

対象になる金額は施設の種類で変わります。特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)と指定地域密着型介護老人福祉施設は自己負担額の2分の1、介護老人保健施設・指定介護療養型医療施設・介護医療院は自己負担額として支払った金額が対象です。→ 本文で読む

特別養護老人ホームの費用が2分の1しか対象にならないのはなぜですか

特別養護老人ホームの費用が2分の1になるのは、施設サービスの対価のうち療養上の世話等に相当する部分の金額が、自己負担額の2分の1に相当する金額と定められているからです。介護の費用のうち医療にあたる部分を、一律に半分と見ている、ということです。→ 本文で読む

老健や介護医療院の費用は全額が医療費控除の対象ですか

介護老人保健施設(老健)と介護医療院は、施設サービスの対価(介護費、食費および居住費)に係る自己負担額として支払った金額が、そのまま医療費控除の対象になります。2分の1にはなりません。→ 本文で読む

介護施設の費用で医療費控除の対象にならないものは何ですか

どの施設でも、日常生活費と特別なサービス費用は医療費控除の対象外です。領収証で介護費・食費・居住費とは別に書かれている項目は、対象額の計算から外します。 日常生活費とは、No.1125の注記によると、理美容代やその他施設サービス等において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものの費用で、その入所者に負担させることが適当と認められるものです。 自宅で暮らしていてもかかる費用 と考えると分かりやすいです。→ 本文で読む

高額介護サービス費の払戻しを受けたときはどうしますか

高額介護サービス費として払戻しを受けた場合は、その金額を医療費の金額から差し引いて医療費控除の金額を計算します。医療費控除で保険金などの補てんを差し引くのと同じ考え方です。 ここにも2分の1が出てきます。No.1125の注記は、指定介護老人福祉施設および指定地域密着型介護老人福祉施設の施設サービス費に係る自己負担額のみに対する高額介護サービス費については、その2分の1に相当する金額を医療費の金額から差し引く、としています。 対象になる費用が2分の1なら、それに対する払戻しも2分の1だけ差し引く という対応関係です。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1125.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

施設の領収証は、捨てずに年分ごとにまとめておいてください。

介護施設の費用は、施設の種類で医療費控除の対象額の出し方が違います。領収証の医療費控除対象額の欄、高額介護サービス費の払戻しの通知、ご本人の医療費の領収証をそろえていただければ、控除額をまとめて計算します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。