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控除

介護保険の居宅サービスは医療費控除になるか。
訪問看護は対象、デイサービスは医療系と併せた月だけ、生活援助は対象外です

親御さんの介護が始まると、「介護サービスの利用料は医療費控除に入るのか」というご質問をいただきます。

答えを先に書くと、介護保険の居宅サービスのうち、看護や療養上の世話に相当する部分の自己負担額は医療費控除の対象になります。ただし、サービスの種類によって「そのまま対象」「医療系サービスと併せて使う月だけ対象」「対象外」の3つに分かれます。

見分け方は難しくありません。事業者が発行する領収証に、医療費控除の対象となる金額が書かれることになっているからです。国税庁のタックスアンサーNo.1127で、どのサービスがどこに入るのかを順に確認していきます。

公開 最終更新

この記事の要点

介護保険の居宅サービスの自己負担額は、看護や療養上の世話に相当する部分が医療費控除の対象です。訪問看護・訪問リハビリなどの医療系サービスはそのまま対象、訪問介護やデイサービスなどの福祉系サービスは医療系と併せて利用する月だけ対象、生活援助中心型や有料老人ホーム・グループホームは対象外です。判定は領収証とサービス利用票で行います。国税庁タックスアンサーNo.1127をもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

看護・療養上の世話に相当する部分が医療費控除の対象

まず答えを書くと、介護保険の居宅サービスの自己負担額のうち、看護や医学的管理の下における療養上の世話などに相当する部分が医療費控除の対象です。国税庁のタックスアンサーNo.1127は、要介護者または要支援者が居宅介護サービス事業者等から受ける居宅サービス等の対価について、次のように整理しています。

国税庁 タックスアンサー No.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」

これらの居宅サービス等の対価のうち、看護、医学的管理の下における療養上の世話等に相当する部分の対価として利用者が負担する金額については、医療費控除の対象となります。

介護保険法では、介護保険サービスは医療との連携に十分配慮して行うこととされていて、日常生活上の世話のほかに、看護や医学的管理の下における療養上の世話も含まれています。「介護」の名前で受けたサービスでも、医療に相当する部分は医療費控除に入るという考え方です。

No.1127は、居宅サービスを①医療系サービス、②医療系と併せて利用する場合のみ対象となる福祉系サービス、③対象外のサービスの3つに分けて表にしています。順に見ていきます。

①医療系サービスは、それだけで対象になる

訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導など、看護師や保健師等が行う医療系サービスは、自己負担額がそのまま医療費控除の対象です。ほかのサービスと組み合わせる必要はありません。

①医療費控除の対象となる居宅サービス等(医療系サービス)
訪問看護/介護予防訪問看護
訪問リハビリテーション/介護予防訪問リハビリテーション
居宅療養管理指導【医師等による管理・指導】/介護予防居宅療養管理指導
通所リハビリテーション【医療機関でのデイサービス】/介護予防通所リハビリテーション
短期入所療養介護【ショートステイ】/介護予防短期入所療養介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限る)
看護・小規模多機能型居宅介護【複合型サービス】(上記の居宅サービスを含む組合せに限る。生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)

No.1127は、これらは保健師や看護師等により行われる療養上の世話または診療の補助等であることから、対価に係る自己負担額として支払った金額は医療費控除の対象となる、としています。ケアプラン(居宅サービス計画または介護予防サービス計画)に基づいて受けていることが前提です。

②福祉系サービスは、医療系と併せて利用する月だけ対象

訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)、訪問入浴介護などの福祉系サービスは、①の医療系サービスと併せて利用している場合に限って医療費控除の対象になります。単独で使っている月は対象になりません。

②①と併せて利用する場合のみ対象となる居宅サービス等(福祉系サービス)
訪問介護【ホームヘルプサービス】(生活援助中心型を除く)/夜間対応型訪問介護
訪問入浴介護/介護予防訪問入浴介護
通所介護【デイサービス】/地域密着型通所介護/認知症対応型通所介護/介護予防認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護/介護予防小規模多機能型居宅介護
短期入所生活介護【ショートステイ】/介護予防短期入所生活介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合および連携型事業所に限る)
看護・小規模多機能型居宅介護【複合型サービス】(①の居宅サービスを含まない組合せに限る)
地域支援事業の訪問型サービス・通所型サービス(生活援助中心のサービスを除く)

No.1127は、これらは介護福祉士等により行われる入浴、排せつ、食事等の介護などの日常生活上の世話ですが、厚生労働省の通知等において、医療系サービスと併せて利用した場合には療養上の世話等に当たるとされている、と説明しています。では「併せて利用した」とはどう判定するのか。ここが実務の分かれ目です。

国税庁 タックスアンサー No.1127「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」

「医療系サービスと併せて利用した場合」とは、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置付けられている場合をいい、具体的には、居宅介護支援事業者等から交付される「サービス利用票」に医療系サービスが記載されているかどうかで、医療費控除の対象となるかどうかを判断します。

判定は1か月単位のケアプランで行います。同じデイサービスの利用料でも、訪問看護が入っている月は対象、入っていない月は対象外、ということが起こります。月ごとに領収証を見る必要があるのはこのためです。

③生活援助中心型や施設系のサービスは対象外

訪問介護のうち生活援助中心型(調理、洗濯、掃除などの家事の援助)、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与などは、医療系サービスと併せて使っていても医療費控除の対象になりません。

③医療費控除の対象外となる居宅サービス等
訪問介護(生活援助中心型)
認知症対応型共同生活介護【認知症高齢者グループホーム】/介護予防認知症対応型共同生活介護
特定施設入居者生活介護【有料老人ホーム等】/地域密着型特定施設入居者生活介護/介護予防特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
福祉用具貸与/介護予防福祉用具貸与
看護・小規模多機能型居宅介護【複合型サービス】(生活援助中心型の訪問介護の部分)
地域支援事業の訪問型サービス・通所型サービス(生活援助中心のサービスに限る)/生活支援サービス

No.1127は、③のサービスは生活援助を中心とした日常生活上の世話等であることから、対価に係る自己負担額は医療費控除の対象とはならない、としています。有料老人ホームやグループホームの利用料は、この表では対象外です。「介護保険を使っているから医療費控除」と一括りにはできません。

領収証とサービス利用票で確かめる

実務では、事業者が発行する領収証を見れば足ります。No.1127は、居宅サービス事業者等が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることとなっている、としています。

領収証の「医療費控除の対象となる金額」の欄をそのまま集計してください。②の福祉系サービスが対象になっているかどうかは、居宅介護支援事業者等から交付される「サービス利用票」に医療系サービスが記載されているかで判断します。事業者側には同一内容の「サービス提供票」が交付されているので、領収証の記載はこれに基づいています。利用者側で「これは医療系だから対象」と判断し直す必要はなく、領収証の数字を信じてよい仕組みです。医療費控除そのものの要件や計算は医療費控除の基本で整理しています。

おむつ代・交通費・高額介護サービス費の扱い

No.1127の注記には、居宅サービスに付随してよく出てくる論点が書かれています。おむつ代、喀痰吸引等、通所の交通費、高額介護サービス費の払戻しです。

論点扱い
おむつ代医師等が発行する「おむつ使用証明書」がある場合に限り対象。市町村が主治医意見書の内容を確認した書類または主治医意見書の写しがあれば、証明書に代えられる
喀痰吸引等②(①と併せて利用しない場合)または③のサービスで行われる介護福祉士等による喀痰吸引等の対価(居宅サービス等の対価として支払った金額の10分の1に相当する金額)は対象
通所の交通費通所リハビリテーション・通所介護・短期入所生活介護などのため施設へ通う交通費は、そのサービスの自己負担額が対象になった場合で、かつ通常必要なものに限り対象
高額介護サービス費払戻しを受けた場合は、その金額を医療費の金額から差し引いて計算する

とくに高額介護サービス費の払戻しは、医療費から差し引く点を見落としやすいです。医療費控除で保険金や給付金を差し引くのと同じ考え方です。おむつ代は証明書があるかどうかで扱いが変わりますので、主治医に相談して書類を整えておくと申告のときに困りません。

よくある質問

介護保険のサービス利用料は医療費控除の対象になりますか

まず答えを書くと、介護保険の居宅サービスの自己負担額のうち、 看護や医学的管理の下における療養上の世話などに相当する部分 が医療費控除の対象です。国税庁のタックスアンサーNo.1127は、要介護者または要支援者が居宅介護サービス事業者等から受ける居宅サービス等の対価について、次のように整理しています。→ 本文で読む

訪問看護や訪問リハビリの自己負担は医療費控除になりますか

訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導など、看護師や保健師等が行う 医療系サービス は、自己負担額がそのまま医療費控除の対象です。ほかのサービスと組み合わせる必要はありません。→ 本文で読む

デイサービスや訪問介護の利用料は医療費控除になりますか

訪問介護(ホームヘルプサービス)や通所介護(デイサービス)、訪問入浴介護などの 福祉系サービス は、①の医療系サービスと併せて利用している場合に限って医療費控除の対象になります。単独で使っている月は対象になりません。→ 本文で読む

有料老人ホームやグループホームの費用は医療費控除になりますか

訪問介護のうち生活援助中心型(調理、洗濯、掃除などの家事の援助)、認知症高齢者グループホーム、有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与などは、医療系サービスと併せて使っていても医療費控除の対象になりません。→ 本文で読む

介護サービスの医療費控除の対象額はどこで確認できますか

実務では、事業者が発行する領収証を見れば足ります。No.1127は、居宅サービス事業者等が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることとなっている、としています。→ 本文で読む

介護のおむつ代や高額介護サービス費はどう扱いますか

No.1127の注記には、居宅サービスに付随してよく出てくる論点が書かれています。おむつ代、喀痰吸引等、通所の交通費、高額介護サービス費の払戻しです。 とくに 高額介護サービス費の払戻しは、医療費から差し引く 点を見落としやすいです。医療費控除で保険金や給付金を差し引くのと同じ考え方です。おむつ代は証明書があるかどうかで扱いが変わりますので、主治医に相談して書類を整えておくと申告のときに困りません。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1127.htm

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

介護サービスの領収証は、捨てずに月ごとにまとめておいてください。

居宅サービスの領収証には医療費控除の対象となる金額が記載されています。デイサービスや訪問介護は、同じ月に訪問看護などの医療系サービスを使っているかどうかで対象になるかが変わります。高額介護サービス費の払戻しがあれば差し引きます。ご家族の医療費と合わせて集計すると、申告したほうがよいかどうかが見えてきます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。