控除
バリアフリー改修工事の税額控除。
住宅ローンがなくても、標準的な費用の10%が所得税から引けます
手すりの取り付けや段差の解消、浴室やトイレの改修。親御さんやご自身のための工事を自己資金で行った方から、「ローンがないから控除はないでしょう」と言われることがあります。
答えを先に書くと、バリアフリー改修工事の税額控除(住宅特定改修特別税額控除)は、住宅ローンがなくても使えます。工事の標準的な費用の額の10%などを、その年の所得税額から差し引けます。
ただし、誰が工事をするか、どんな工事か、費用がいくらかに細かい要件があり、建築士等の証明書と確定申告が必要です。国税庁のタックスアンサーNo.1220で、要件・計算・手続を順に確認していきます。
この記事の要点
自分が所有して住む家にバリアフリー改修工事をして令和10年12月31日までに住み始めた場合、工事の標準的な費用の額(限度額200万円)の10%と、併せて行った工事費用などの5%を所得税額から控除できます。住宅ローンがなくても使えますが、工事をする人が50歳以上・要介護等・障害者・高齢者等と同居のいずれかに当たり、標準的な費用が50万円を超えるなどの要件があります。国税庁タックスアンサーNo.1220をもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
- 関連障害者控除
- ご案内会社員の副業の確定申告
住宅ローンがなくても使える税額控除
答えを先に書くと、自分が所有して住む家にバリアフリー改修工事をして、平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に住み始めた場合、一定の要件のもとで、工事の標準的な費用の額の10%などをその年分の所得税額から差し引けます。国税庁のタックスアンサーNo.1220は、この控除(住宅特定改修特別税額控除)は住宅ローン等の利用がなくても適用できる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1220「バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」
個人が、自己が所有している居住用家屋について高齢者等居住改修工事等(以下「バリアフリー改修工事」といいます。)を行った場合において、当該家屋を平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間にその人の居住の用に供したときに、一定の要件の下で、一定の金額をその年分の所得税額から控除(住宅特定改修特別税額控除)することができます。この控除は、住宅ローン等の利用がなくても適用できます。
所得控除ではなく税額控除ですから、計算した控除額がそのまま所得税から引かれます。手すりの取り付けや段差の解消を自己資金で行った方も対象になるのが特徴です。ただし、No.1220の注記は、前年以前3年内の各年分に同一の住宅についてこの控除を適用したときは、原則としてその年分では適用できない、としています。
適用を受けるための6つの要件
控除を受けるには、No.1220が挙げる次の要件をすべて満たす必要があります。家の広さ、住み始めた時期、所得、工事費用の額に条件があります。
| 番号 | 適用要件 |
|---|---|
| 1 | 自己が所有する家屋についてバリアフリー改修工事をして、平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に自己の居住の用に供していること |
| 2 | バリアフリー改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること |
| 3 | 工事後の床面積が50平方メートル以上(合計所得金額2,000万円以下)、または40平方メートル以上50平方メートル未満(合計所得金額1,000万円以下)で、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること |
| 4 | 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること |
| 5 | バリアフリー改修工事に係る標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額)が50万円を超えるものであること |
| 6 | 工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること |
3の床面積は、No.1220の注記によれば、登記事項証明書に表示されている床面積で判断します。マンションは共有部分を含めず専有部分の床面積、店舗との併用住宅は店舗部分も含めた建物全体、夫婦などで共有する住宅は持分を掛けずに建物全体で見ます。40平方メートル台の住宅が対象になるのは、令和8年1月1日以後に居住の用に供したものからです。なお、令和5年12月31日までに居住の用に供している場合の所得要件は3,000万円以下でした。
5の「標準的な費用の額が50万円を超える」は、実際に払った工事代金ではなく、工事の種類ごとに定められた単位当たりの標準的な工事費用の額に床面積等を掛けた金額で見ます。補助金をもらった場合は、その額を差し引いた後で判定します。
工事をする人の要件。50歳以上・要介護・障害者・高齢者と同居
バリアフリー改修工事の控除は、誰でも受けられるわけではありません。No.1220は、工事を行う方が次の(1)から(4)のいずれかに該当する「特定個人」であることを要件としています。
- (1)50歳以上の方
- (2)介護保険法に規定する要介護または要支援の認定を受けている方
- (3)所得税法上の障害者である方
- (4)高齢者等(65歳以上の方、または上記(2)もしくは(3)に該当する方)である親族と同居を常況としている方
親御さんと同居している方が、親御さんのために手すりを付ける場合は(4)に当たります。50歳、65歳および同居の判定は、居住年の12月31日の現況で行います。(3)の所得税法上の障害者の範囲は、障害者控除の記事で整理しています。
対象になるバリアフリー改修工事の8種類
対象になる工事は、高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造および設備の基準に適合させるための修繕または模様替えで、No.1220が挙げる次の(1)から(8)のいずれかを含む増改築等です。
| バリアフリー改修工事 | |
|---|---|
| (1) | 介助用の車椅子で容易に移動するために通路または出入口の幅を拡張する工事 |
| (2) | 階段の設置(既存の階段の撤去を伴うものに限る)または改良によりその勾配を緩和する工事 |
| (3) | 浴室を改良する工事(床面積の増加、浴槽の取替え、移乗台などの設置、水栓器具の取替え) |
| (4) | 便所を改良する工事(床面積の増加、座便式への取替え、座高を高くする) |
| (5) | 便所、浴室、脱衣室その他の居室および玄関ならびにこれらを結ぶ経路に手すりを取り付ける工事 |
| (6) | 便所、浴室、脱衣室その他の居室および玄関ならびにこれらを結ぶ経路の床の段差を解消する工事 |
| (7) | 出入口の戸を改良する工事(引戸・折戸等への取替え、レバーハンドル等への取替え、戸車などの設置) |
| (8) | 便所、浴室、脱衣室その他の居室および玄関ならびにこれらを結ぶ経路の床の材料を滑りにくいものに取り替える工事 |
手すりの取り付け(5)や段差の解消(6)は、一般のご家庭でもよくある工事です。これらのどれかを含む増改築等であることが条件で、含まれていれば、併せて行った他の一定の工事の費用も次の節のBの計算に入ってきます。
控除額の計算。A×10%+B×5%
控除額は、No.1220によれば「A×10%+B×5%」で計算します。Aはバリアフリー改修工事の標準的な費用の額(補助金等を差し引いた後)で、控除対象限度額が上限です。Bは、Aの限度額を超える部分と、併せて行った増築・改築などの一定の工事の費用との合計額と、標準的な費用の額とのいずれか低い金額で、1,000万円からAを引いた金額が上限です。
| 区分 | 内容 | 率 |
|---|---|---|
| A | バリアフリー改修工事の標準的な費用の額(補助金等を控除した後)。控除対象限度額を限度 | 10% |
| B | 次の(1)(2)のいずれか低い金額(1,000万円からAを控除した金額を限度) (1) 標準的な費用の額のうち控除対象限度額を超える部分+併せて行う増築、改築その他の一定の工事の費用 (2) バリアフリー改修工事の標準的な費用の額 | 5% |
Aの控除対象限度額は、令和4年1月1日以後に居住の用に供した場合は200万円です。令和3年12月31日以前に居住の用に供した場合は、消費税の税率が8パーセントまたは10パーセントの工事費用なら200万円、それ以外は150万円で、Aに対する控除額のみとなります。
控除額は、AとBのそれぞれについて100円未満の端数を切り捨てます。省エネ改修(コード1219)、多世帯同居改修(コード1224)、耐久性向上改修(コード1227)、耐震改修(コード1222)、子育て対応改修(コード1228)と併せて受ける場合は、Bの上限を1,000万円から各改修工事のAの合計額を引いて計算します。
手続と提出書類
この控除は確定申告で受けます。No.1220は、必要事項を記載した確定申告書に書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要がある、としています。会社員の方も、この年は確定申告が必要です(会社員でも確定申告が必要な場合)。
- 住宅耐震改修特別控除額・住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
- 建築士等が発行した「増改築等工事証明書」
- 家屋の登記事項証明書などで、床面積が50平方メートル以上、または40平方メートル以上50平方メートル未満であることを明らかにする書類
- 介護保険の被保険者証の写し(要介護・要支援の認定を受けている方、または認定を受けている親族と同居を常況としている方の場合。認定に係るもの)
「増改築等工事証明書」を発行する建築士等とは、一級建築士、二級建築士または木造建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関および住宅瑕疵担保責任保険法人です。工事の標準的な費用の額はこの証明書で確認しますから、工事を頼む前に、証明書を出してもらえるかを施工業者に確かめておくと安心です。被保険者証の写しは番号をマスキングし、登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を記載すれば添付を省略できます。
住宅ローン控除との選択。選び直しはできない
バリアフリー改修工事にローンを使った場合、この税額控除のほかに、住宅借入金等特別控除(コード1216・コード1211-4)や特定増改築等住宅借入金等特別控除(コード1218)の要件も満たすことがあります。No.1220は、この場合はこれらの控除のいずれか1つの選択適用となる、としています。
国税庁 タックスアンサー No.1220「バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」注意事項
この選択により、住宅特定改修特別税額控除を適用して確定申告書を提出した場合には、その後においても、その選択し適用した住宅特定改修特別税額控除を適用することになり、選択替えはできませんのでご注意ください。
いったんどちらかで申告すると、後から気づいても切り替えられません。No.1220は、住宅特定改修特別税額控除を適用しなかった場合も同様、としています。ローンを組んで工事をする方は、申告の前に両方を計算して比べる必要があります。
よくある質問
バリアフリー改修の税額控除は住宅ローンがなくても受けられますか
答えを先に書くと、自分が所有して住む家にバリアフリー改修工事をして、平成26年4月1日から令和10年12月31日までの間に住み始めた場合、一定の要件のもとで、工事の標準的な費用の額の10%などをその年分の所得税額から差し引けます。国税庁のタックスアンサーNo.1220は、この控除(住宅特定改修特別税額控除)は住宅ローン等の利用がなくても適用できる、としています。→ 本文で読む
バリアフリー改修の控除は誰が受けられますか
バリアフリー改修工事の控除は、誰でも受けられるわけではありません。No.1220は、工事を行う方が次の(1)から(4)のいずれかに該当する「特定個人」であることを要件としています。→ 本文で読む
どんな工事がバリアフリー改修工事に当たりますか
対象になる工事は、高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造および設備の基準に適合させるための修繕または模様替えで、No.1220が挙げる次の(1)から(8)のいずれかを含む増改築等です。→ 本文で読む
バリアフリー改修の控除額はどう計算しますか
控除額は、No.1220によれば「A×10%+B×5%」で計算します。Aはバリアフリー改修工事の標準的な費用の額(補助金等を差し引いた後)で、控除対象限度額が上限です。Bは、Aの限度額を超える部分と、併せて行った増築・改築などの一定の工事の費用との合計額と、標準的な費用の額とのいずれか低い金額で、1,000万円からAを引いた金額が上限です。→ 本文で読む
バリアフリー改修の控除に必要な書類は何ですか
この控除は確定申告で受けます。No.1220は、必要事項を記載した確定申告書に書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署長に提出する必要がある、としています。会社員の方も、この年は確定申告が必要です( 会社員でも確定申告が必要な場合 )。→ 本文で読む
住宅ローン控除とバリアフリー改修の控除は両方受けられますか
バリアフリー改修工事にローンを使った場合、この税額控除のほかに、住宅借入金等特別控除(コード1216・コード1211-4)や特定増改築等住宅借入金等特別控除(コード1218)の要件も満たすことがあります。No.1220は、この場合はこれらの控除のいずれか1つの選択適用となる、としています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1220.htm
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
工事の前に、「増改築等工事証明書」を出してもらえる業者かを確かめてください。
バリアフリー改修の税額控除は、住宅ローンがなくても使えますが、確定申告と建築士等の証明書が必要です。50歳以上、要介護・要支援、障害者、高齢者と同居のどれに当たるか、標準的な費用が50万円を超えるか、ローン控除とどちらが有利かを、工事の前後で確認します。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
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