申告
暗号資産は財産債務調書に記載します。
国外の取引所に預けていても国外財産調書ではありません
暗号資産の値上がりで、財産の総額が大きくなった方がいます。一定の基準を超えると、毎年、財産債務調書を税務署に出さなければなりません。暗号資産も、その記載の対象です。
迷いやすいのは、海外の取引所に預けている暗号資産です。国税庁のFAQは、居住者が国外の取引所に預けている暗号資産は国外財産調書の対象にはならず、財産債務調書の対象になるとしています。
提出が必要な人の基準、暗号資産の書き方、価額の出し方を、No.7457とFAQで確認します。
この記事の要点
12月31日に暗号資産を保有している場合、財産債務調書への記載が必要です。預けている取引所が国内か国外かは関係なく、種類別・用途別に記載し、所在別の記載は要しません。価額は12月31日の時価か見積価額です。暗号資産の所在は持っている人の住所で判定するため、居住者が国外の取引所に預けている暗号資産は国外財産調書の対象にはなりません。財産債務調書の提出義務がある人の基準も含め、国税庁タックスアンサーNo.7457と暗号資産FAQをもとに整理しました。
先に見ておくと分かりやすいもの
財産債務調書の提出が必要な人
財産債務調書を出す必要があるのは、次のどちらかに当たる方です。No.7457(令和8年4月1日現在法令等)は、所得と財産の両方の基準で決まる場合と、財産の額だけで決まる場合を定めています。
| 区分 | 提出が必要な人 |
|---|---|
| 1 | 確定申告書を提出する必要がある方など(一定の還付申告書を提出できる方を含む)で、退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超え、かつ、12月31日に価額の合計額が3億円以上の財産、または価額の合計額が1億円以上の有価証券等を有する方 |
| 2 | 12月31日に価額の合計額が10億円以上の財産を有する居住者の方(1に当たる方を除く) |
財産の価額は財産の価額の総額で、債務を差し引いた金額ではありません。暗号資産の値上がりで財産の合計額が大きくなった年は、この基準に当たるかを確認してください。
12月31日に保有する暗号資産は記載が必要
国税庁のFAQは、暗号資産を12月31日において保有している場合、財産債務調書への記載が必要になるとしています。預けている取引所が国内か国外かは、記載の要否に影響しません。
国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」7-1 財産債務調書への記載の要否
財産債務調書には、暗号資産の種類別(ビットコイン等の銘柄別)及び用途別(一般用及び事業用の別)に記載してください。
暗号資産の所在は、その財産を持っている方の住所(住所がない方は居所)の所在とされているため、所在別の記載は要しません。取引所ごと、ウォレットごとに分けて書くのではなく、銘柄ごと・用途ごとにまとめて書く形です。
価額は12月31日の時価か見積価額
記載する価額は、その年の12月31日における時価または見積価額です。活発な市場が存在する暗号資産は、調書を出す方が取引を行っている交換業者が公表する12月31日の取引価格を時価として記載します。
取引価格には、交換業者が求めに応じて出す残高証明書に記載された取引価格を含みます。購入価格と売却価格が別に公表されていれば売却価格を、複数の交換業者で取引していれば選択した交換業者の取引価格を記載して差し支えありません。相続税の評価と同じ考え方です。
時価による算定が難しい場合は、見積価額でも差し支えありません。FAQは、見積価額の例として次の順を挙げています。
| 順 | 見積価額の例 |
|---|---|
| ① | 12月31日における売買実例価額(なければ、同日前で同日に最も近い日のその年中の売買実例価額)のうち、適正と認められるもの |
| ② | ①がない場合、翌年1月1日から調書の提出期限までにその暗号資産を譲渡した場合の譲渡価額 |
| ③ | ①・②がない場合、取得価額 |
国外の取引所に預けていても国外財産調書の対象ではない
海外の取引所に預けている暗号資産は、国外財産調書に書くのではないか。FAQの7-3は、国外財産調書への記載の対象にはならないとしています。
暗号資産は、財産を持っている方の住所の所在で「国外にある」かどうかを判定する財産です。国外財産調書は居住者が出すものですから、居住者が国外の取引所に預けている暗号資産は「国外にある財産」にならず、財産債務調書の対象になります。取引所の所在地で判断しない点が、預金や株式と違うところです。
提出期限と、加算税の軽減・加重
財産債務調書は、その年の翌年の6月30日までに、所得税の納税地等の所轄税務署長に提出します。財産債務調書合計表を作成して添付する必要があります。
期限内に出した調書に記載がある財産について所得税・相続税の申告漏れが生じた場合は、過少申告加算税等が5パーセント軽減されます。反対に、期限内に提出がない場合や、記載すべき財産の記載がない場合に所得税の申告漏れが生じたときは、5パーセント加重されます。暗号資産の記載漏れは、そのまま加重の対象になりうるということです。申告の誤りに気づいたときの手続は修正申告と更正の請求で整理しています。
よくある質問
財産債務調書の提出が必要なのはどんな人ですか
財産債務調書を出す必要があるのは、次のどちらかに当たる方です。 No.7457(令和8年4月1日現在法令等)は、所得と財産の両方の基準で決まる場合と、財産の額だけで決まる場合を定めています。→ 本文で読む
暗号資産は財産債務調書に記載が必要ですか
国税庁のFAQは、 暗号資産を12月31日において保有している場合、財産債務調書への記載が必要になる としています。預けている取引所が国内か国外かは、記載の要否に影響しません。 暗号資産の所在は、その財産を持っている方の住所(住所がない方は居所)の所在とされているため、 所在別の記載は要しません。 取引所ごと、ウォレットごとに分けて書くのではなく、銘柄ごと・用途ごとにまとめて書く形です。→ 本文で読む
財産債務調書に書く暗号資産の価額はどう決めますか
記載する価額は、その年の12月31日における時価または見積価額です。 活発な市場が存在する暗号資産は、調書を出す方が取引を行っている交換業者が公表する12月31日の取引価格を時価として記載します。→ 本文で読む
海外の取引所の暗号資産は国外財産調書に書きますか
海外の取引所に預けている暗号資産は、国外財産調書に書くのではないか。 FAQの7-3は、国外財産調書への記載の対象にはならないとしています。 暗号資産は、財産を持っている方の住所の所在で「国外にある」かどうかを判定する財産です。国外財産調書は居住者が出すものですから、 居住者が国外の取引所に預けている暗号資産は「国外にある財産」にならず、財産債務調書の対象 になります。取引所の所在地で判断しない点が、預金や株式と違うところです。→ 本文で読む
財産債務調書の提出期限はいつですか
財産債務調書は、 その年の翌年の6月30日まで に、所得税の納税地等の所轄税務署長に提出します。財産債務調書合計表を作成して添付する必要があります。 期限内に出した調書に記載がある財産について所得税・相続税の申告漏れが生じた場合は、過少申告加算税等が5パーセント軽減されます。反対に、期限内に提出がない場合や、記載すべき財産の記載がない場合に所得税の申告漏れが生じたときは、5パーセント加重されます。暗号資産の記載漏れは、そのまま加重の対象になりうるということです。申告の誤りに気づいたときの手続は 修正申告と更正の請求 で整理しています。→ 本文で読む
出典
- 国税庁「No.7457 財産債務調書の提出義務」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hotei/7457.htm - 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」平成30年11月(令和7年12月最終改訂)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf
この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。
暗号資産の年末の残高は、毎年同じ方法で記録しておきます。
財産債務調書の暗号資産は、銘柄ごと、一般用・事業用ごとに年末の時価で書きます。複数の取引所やウォレットに分かれていると、12月31日の数量と価格をそろえるだけでも時間がかかります。調書の提出が必要かどうかの判定から、ご相談いただけます。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。
あわせて読む
同じテーマの記事
暗号資産の税金
暗号資産の税金は雑所得。交換や決済でも課税
暗号資産取引により生じた利益は、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。
暗号資産の税金
暗号資産の分離課税はいつから。所得税15%と住民税5%
暗号資産の利益を他の所得と分けて課税する改正は、所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第…
暗号資産の税金
会社員の暗号資産と20万円。売却額でなく所得で判定
給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収の対象になる会社員は、給与所得と退職所得以外の所得金額…
暗号資産の税金
ステーキング報酬の税金。受け取った時の時価が収入
マイニング、ステーキング、レンディングなどで暗号資産を取得した場合、取得した暗号資産の取得時点…