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相続

暗号資産を相続・贈与したとき。
評価額の決め方と、贈った側の所得税

暗号資産を子に贈る。親の暗号資産を相続する。受け取った側に相続税・贈与税がかかるのは、ほかの財産と同じです。

見落とされやすいのは贈る側です。国税庁のFAQは、個人が暗号資産を贈与した場合、贈与の時の時価を贈った人の所得の計算で総収入金額に入れるとしています。値上がりした暗号資産を贈れば、贈った人にも所得税の対象になる利益が出ます。

評価額の決め方、贈る側の扱い、受け取った暗号資産の取得価額を、FAQにそって順に確認します。

公開 最終更新

この記事の要点

暗号資産を相続や贈与で取得すると相続税・贈与税の対象です。活発な市場がある暗号資産は、納税義務者が取引している暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格で評価し、売却価格で評価しても差し支えありません。一方、個人が暗号資産を贈与すると、贈った側の所得の計算で贈与の時の時価を総収入金額に入れます。時価の70%未満での売却も同じ扱いです。相続で受け継いだ暗号資産の取得価額は被相続人の評価額を引き継ぎます。国税庁の暗号資産FAQをもとに整理しました。

先に見ておくと分かりやすいもの

相続・贈与で取得した暗号資産は相続税・贈与税の対象

国税庁のFAQは、被相続人等から暗号資産を相続もしくは遺贈または贈与により取得した場合には、相続税または贈与税が課税されるとしています。金銭に見積もることができる経済的価値のある財産を取得すれば課税対象になる、という相続税法の考え方に当たるためです。

資金決済法は暗号資産を「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる財産的価値」と定めていて、FAQはこれを理由に挙げています。預金や株式と同じく、相続財産の一覧に入れる財産です。

評価は、取引している交換業者が公表する課税時期の取引価格

暗号資産の評価方法は、財産評価基本通達に定めがありません。そこでFAQは、通達の定めのない財産の評価の考え方にそって、活発な市場が存在する暗号資産は、相続人等の納税義務者が取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格で評価するとしています。外国通貨に準じた評価です。

国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」4-2 相続や贈与により取得した暗号資産の評価方法

暗号資産交換業者(暗号資産販売所)において、購入価格と売却価格がそれぞれ公表されている場合には、納税義務者が暗号資産を暗号資産交換業者に売却する価格(売却価格)で評価して差し支えありません。

FAQの注記をまとめると、次のとおりです。

場面FAQの扱い
取引価格の資料交換業者が納税義務者の求めに応じて出す残高証明書に記載された取引価格を含む
購入価格と売却価格が別に公表されている売却価格で評価して差し支えない
複数の交換業者で取引している納税義務者が選択した交換業者の取引価格で評価して差し支えない
活発な市場が存在しない内容や性質、取引実態等を勘案し個別に評価(売買実例価額、精通者意見価格等を参酌する方法など)

相続税がかかるかどうかの全体は相続税の基礎控除で確認できます。

贈った個人は、贈与の時の時価を総収入金額に入れる

ここからが贈る側の話です。個人が暗号資産を贈与した場合、贈った人の事業所得または雑所得の計算で、贈与の時の暗号資産の価額(時価)を総収入金額に算入します。相続人に対する死因贈与は除かれます。遺贈も、包括遺贈と相続人に対する特定遺贈を除いて同じ扱いです。

暗号資産をただで渡しても、税金の上では時価で売ったのと同じように、贈った人の側で収入が立ちます。取得価額より値上がりしていれば、その差額が贈った人の所得になります。受け取った人の贈与税と、贈った人の所得税の両方が出ることがある、ということです。

FAQはこの扱いを令和元年分以後の所得税について適用するとしています。生前に暗号資産を贈ることを考えている方は、贈与税の試算だけでなく、贈る側の所得の試算も必要です。

時価の70%未満で売ったときも同じ考え方

ただではなく、安く譲った場合も扱いがあります。時価の70%相当額未満で売却した場合は「時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡」に当たり、実質的に贈与したと認められる金額を総収入金額に入れます。この金額は、時価の70%相当額から対価の額を引いた金額として差し支えありません。

国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」2-10 暗号資産を低額(無償)譲渡等した場合の取扱い

450,000 円 + (700,000 円 - 450,000 円) = 700,000 円

FAQの設例は、450,000円で買った1BTCを、時価1,000,000円のときに450,000円で売った場合です。時価の70%相当額は700,000円で、売却価額はこれを下回りますから、総収入金額は700,000円、所得金額は700,000円から譲渡原価450,000円を引いた250,000円になります。取得価額と同じ値段で売ったので利益はない、とは扱われません。

暗号資産で寄附したとき

暗号資産での寄附も、贈与と同じ考え方です。寄附をした時の暗号資産の時価が寄附金の額になり、帳簿価額との差額は暗号資産の譲渡に係る利益になります。

FAQの1-4の設例では、帳簿価額5,000,000円の4BTCを認定特定非営利活動法人に寄附し、寄附金の額が5,400,000円とされています。5,400,000円は認定NPO法人に対する寄附金の額、差額の400,000円は暗号資産の譲渡に係る利益です。個人であれば、その寄附金について寄附金控除か税額控除の有利な方を選べます。詳しくは公益法人等に寄附したときの寄附金控除をご覧ください。

受け取った暗号資産の取得価額

受け取った人が後でその暗号資産を売るとき、取得価額はいくらか。FAQの1-5は、相続と贈与で取得価額の決め方を分けています。

取得の方法取得価額
贈与または遺贈(下の場合を除く)贈与または遺贈の時の価額(時価)
相続人に対する死因贈与、相続、包括遺贈、相続人に対する特定遺贈被相続人の死亡の時に、被相続人が選択していた方法により評価した金額

贈与で受け取った場合は、贈った人の側で時価により収入が立っているので、受け取った人の取得価額も時価です。相続の場合は、贈った人の側で収入を立てないかわりに、被相続人の評価額(取得価額)を引き継ぎます。相続した暗号資産を売るときは、被相続人がいくらで取得していたかの記録が必要になります。

よくある質問

相続した暗号資産に相続税はかかりますか

国税庁のFAQは、 被相続人等から暗号資産を相続もしくは遺贈または贈与により取得した場合には、相続税または贈与税が課税される としています。金銭に見積もることができる経済的価値のある財産を取得すれば課税対象になる、という相続税法の考え方に当たるためです。→ 本文で読む

相続した暗号資産はどの価格で評価しますか

暗号資産の評価方法は、財産評価基本通達に定めがありません。そこでFAQは、通達の定めのない財産の評価の考え方にそって、 活発な市場が存在する暗号資産は、相続人等の納税義務者が取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格で評価する としています。外国通貨に準じた評価です。→ 本文で読む

暗号資産を贈与すると贈った側に所得税がかかりますか

ここからが贈る側の話です。 個人が暗号資産を贈与した場合、贈った人の事業所得または雑所得の計算で、贈与の時の暗号資産の価額(時価)を総収入金額に算入します。 相続人に対する死因贈与は除かれます。遺贈も、包括遺贈と相続人に対する特定遺贈を除いて同じ扱いです。→ 本文で読む

暗号資産を家族に安く譲るとどうなりますか

ただではなく、安く譲った場合も扱いがあります。 時価の70%相当額未満で売却した場合は「時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡」に当たり、実質的に贈与したと認められる金額を総収入金額に入れます。 この金額は、時価の70%相当額から対価の額を引いた金額として差し支えありません。→ 本文で読む

相続した暗号資産を売るときの取得価額はいくらですか

受け取った人が後でその暗号資産を売るとき、取得価額はいくらか。 FAQの1-5は、相続と贈与で取得価額の決め方を分けています。 贈与で受け取った場合は、贈った人の側で時価により収入が立っているので、受け取った人の取得価額も時価です。相続の場合は、贈った人の側で収入を立てないかわりに、 被相続人の評価額(取得価額)を引き継ぎます。 相続した暗号資産を売るときは、被相続人がいくらで取得していたかの記録が必要になります。→ 本文で読む

出典

  1. 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」平成30年11月(令和7年12月最終改訂)
    https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf

この記事は、記載時点で公表されている法令・通達・国税庁の資料にもとづいて書いています。制度は改正されることがあり、また個別の事情によって取扱いは変わります。実際のご判断にあたっては、税理士にご相談いただくか、所轄の税務署にお確かめください。当事務所は本記事の情報を用いて行われた判断について責任を負いかねます。

暗号資産は、相続人が存在を知らないことがある財産です。

暗号資産は通帳のような紙の記録が残らず、どの取引所やウォレットにどれだけあるかを、ご家族が把握していないことがあります。評価額を出すには残高証明書の取り寄せも必要です。生前に贈与を考えている方は、贈る側の所得税まで含めて試算してから進めることをおすすめします。ふじみ野市とその近隣の方は訪問でのご相談も承ります。初回30分は無料です。